孤独者
※文字化けは意図的にしたものです。
僕はいつも独りぼっちだった。何もない空間で、僕はただ尻尾を揺らす。いや、光も何もない状況じゃ、僕に尻尾があるのかすらも曖昧になってしまった。視線や体を動かしても、それらは何も捉えない。
まるで、意識だけが虚無に取り残されてしまったような。そんな感覚。でも体はちゃんとあるし、動くことができる。いつからこうなってしまったのか、なんてのは昔の話すぎて忘れてしまった。
時々、空間に虚無ではない景色が映されることがある。それはエーフィとトレーナーが一緒にいる光景だったり、ピカチュウとジュペッタが話している光景だったり、活動家とトレーナーが言い争っている光景だったり。
他にも騒がしい木の実達や機械に埋もれた世界、ポケモンが人間になった瞬間なんてものも見てきたけど、どれも僕は「見ている」だけで干渉することができない。何で、どうして僕は彼らの近くで生活することができないのだろう。
原因はわかる。この空間が悪いんだ。僕を閉じ込めるだけ閉じこめておいて、こんな興味ばかりを引く世界を見せてくる。この空間から抜け出せさえすれば、僕は自由になれる。興味ばかりを募らせる日々を終えることができる。
でも、どうやってここから出たらいいのだろう。虚無は虚無。僕という存在がいるけど、虚無であることには変わりない、らしい。だから、外に通じる扉は存在しない。……光景を見たり、外からこちらに声を届けたりするのは可能みたいだけど。
かなり前に声を届けた「蛯イ繧」は僕にここにいるのは定めだと言っていた。少し前に声を届けた「鬲?コ」はそうするしか方法がないとだけ言っていた。最近声を届けた「諤偵j」はこれが皆の幸せに繋がると言っていた。
……皆が皆、僕はここにいる方がいいと言っている。出たらいけないと言っている。皆も似たような存在なのに、僕に声を届けに来ているじゃないか。どうして僕だけなんだ。僕は何も悪いことはしていない、と思う。ずっと同じ場所にいすぎて、記憶すらも曖昧になっているけど、多分そうだ。
嗚呼、外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい外に出たい繧ゅ≧?滂シ滂シ滂シ?縺ッ雖後□縺、縺セ繧峨↑縺?>繧九□縺代〒?????縺ェ繧薙※蝌倥□繝懊け繧ら嚀縺ソ縺溘>縺ォ??縺ョ??縺ァ??繧偵@縺溘>――。
ずっと、ずっと願い続けていたら、何かが壊れたような音がした。溢れんばかりの光が視界に飛び込んできた。光が、僕の体を照らし出す。
やった、僕は、ボクは僕は自由だ! もう、あんな空間にいることはないんだ! ????縺ッ縺ゅ◎縺薙↓縺?↑縺上※繧ょ香蛻?〒縺阪k縺」縺ヲ縺薙→縲√%繧後°繧峨◆縺」縺キ繧翫→??縺励※繧?k? 見たことのない森の中で、僕は独り踊り狂う。視界には木々の他に、時々黒い尻尾や先が赤い手足が映りこんだ。
あれ、僕ってこんな体だったっけ? 最後に自分の姿を見たのが昔すぎて、覚えていないや。種族は何だったっけと影を色々な方向から見ると、ゾロアのような形だということがわかった。そうか、僕はゾロアだった。いや、そうだっけ? まあ、ゾロアにしか見えないからゾロアなんだろう。
名前は……何だっけ。彼らには名前を呼ばれることなんてなかったから、どんなものか忘れてしまった。ふとしたきっかけで思い出すかもしれないけど、とりあえず今は思い出さなくてもいいや。
思い出せないといえば、家族のことや元々どこにいたかもわからない。これじゃあ前と一緒じゃないか。縺昴l縺倥c縺ゅ?√≠縺昴%縺ォ縺?◆譁ケ縺後h縺九▲縺滂シ溘??縺ゅ?縲√★縺」縺ィ螟悶r隕九k縺?縺代〒菴輔b縺ァ縺阪↑縺?ゥコ髢薙↓縺?◆譁ケ縺後?ゅ>繧??√◎繧後?雖後□縲ゅ≠繧薙↑蝣エ謇?縲√b縺??昴>蜃コ縺励◆縺上b縺ェ縺??
――あれ。前と一緒って、前にいたところってどこだっけ。わからない。思い出すことができない。どうしよう、名前も家族も何もかもわからない。これじゃあ、ボクは独りぼっちじゃないか。
寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい隱ー縺ァ繧ゅ>縺?°繧牙m縺ォ縺?※谺イ縺励>莉イ髢薙′谺イ縺励>螳カ譌上′谺イ縺励>隱ー縺九?繧ッ縺ォ豌励′莉倥>縺ヲ繝懊け繧呈ー励↓縺九¢縺ヲ――。
そんなことを考え続けていると、向こうの茂みがガサリと揺れた。――誰かがいる! そうわかった途端、ボクの体は勝手に音がした方向へと走り出す。草をかき分けて音の正体が視界に飛び込んできた瞬間、ボクの体は遠くへ弾き飛ばされていた。
「……え?」
何で、どうして? 疑問ばかりが渦巻くボクに向けられたのは、明確な敵意。こちらの話を聞く気が全くないことは、その目が証明していた。ボクを飛ばしたポケモン……ストライクは両手のカマを構えてすぐにでも攻撃してきそうな感じだ。
に、逃げないと! 慌てて大地を蹴りストライクに背中を向けるも、後ろから風圧が襲ってきて次の足は虚しく宙を蹴る。地面を転がりながら、逃げるのではダメだと悟った。攻撃して、退かせないと。
でも、ボクはストライクに有効な技を覚えているのだろうか? 真っ白な記憶に何かそれらしきものが残っていないかを探っている間にも、ストライクはどんどんとこちらに向かってくる。
「う、うわあぁ!!」
がむしゃらに両手を振り回し、攻撃のようなものをしてみる。もちろん、そんなもので倒せるとは思っていない。思ってもいなかった、けれど。
「あれ?」
気が付いた時には、ストライクの姿はどこにもなかった。辺りに残っているのは、何かが切れたような跡ばかり。……ストライクがやったものかな。そうだとしても、どうしていなくなったのだろう。
首を傾げるも、それで答えが見つかるわけじゃない。仕方ない、どこでもいいから移動しよう。無理やりここに居続けても、またストライクのようなポケモンに襲われるかもしれないし。
他に行くところがあるわけじゃない。そもそも、ここがどの辺りでどうしてここにいるのかもわからない。でも歩き続ければ、きっと何かいい出会いや場所があると思う。……そうだと、思いたい。
先の見えない不安を抱きながら、ボクは存在するであろう希望に向かってただただ歩き続けた。
「蟄、迢ャ閠」 終わり