一、灰色のポケモンは何を思う
Episode 8


(めぐる視点)



「……ん?」

 学校への帰り、人通りの少ない田舎道で、不意に一匹のポケモンの姿が目の前を横切った。この世界に野良のポケモンはいくらでもいるし、目の前をポケモンが横切ることなんてなにも不思議なことじゃない。僕にとってはあまりいい気分ではないのだが。

 だが、ポケモンがポケモンだったため、僕はついそのポケモンを目で追った。

 ……あれは、茜のニャルマーじゃないか?
 実際に茜のニャルマーを見たことはないけど、確か首に白いリボンをつけているっていう話を聞いたことがある。今通ったニャルマーに丁度該当する特徴だ。
 そのニャルマーはすぐそこにあった細い脇道に入っていった。
 
 僕は、周りに茜がいないか探す。普段ニャルマーは茜と一緒に行動しているはずだ。ニャルマーがいるっていうことはきっと茜も近くにいるはずだ。特に会う必要はないがちょっと挨拶でもしておこう。

 と、思っていたのだが、一向に茜がみつからない。一応さっきニャルマーと遭遇した道辺りのところまでは戻ってみたのだけれど、それでもやっぱりみつからない。この場所にはいないのか、やはり森にいるのか、或いはあのニャルマーが茜のではなくて他の人の飼いニャルマーだったのかもしれない。

「まあ、別段用事もなかったし……いっか。」

 そう呟きながら、自宅に帰るため一歩を踏み出す。

 
 と同時に、先程ニャルマーが入っていった脇道から、再びニャルマーが、今度は勢いよく飛び出してきた。

「うわあっ!」
 丁度僕が今いるところとたいして距離を開けない場所だったため、ポケモン嫌いである僕は対処がし切れず後ろに尻もちをついてしまった。
 それに気付いたそのポケモン、ニャルマーがこちらを振り向き、数秒ほど僕をじっと見つめる。僕は動くことができなかった。嫌いなポケモンに、こんな至近距離で出くわして、しかも凝視されたんじゃあ、動けるはずもなかった。

「アンタ……あー。確か、宮野めぐる!」

 そいつが僕を指(?)差して言った。いきなり呼び捨てかよ。フルネームを知っているということは茜のニャルマーであることにまず間違いはないだろう。

「そ、そうだけど……。」
「だよね! 丁度良かった! アンタ茜見てない?」

 ……え?
 嫌な予感が頭の中を過った。

「見てないけど……、茜がどうしたの?」

「茜、どこにもいないの……! 家にいっても、森にいってもいなくて……!」
「……!?」

 予想が的中してしまった。だから行ったり来たりしてたのか。
 確か茜が、僕が下校するよりもずっと前に下校していたはずだ。学校からの距離で今くらいの時間なら茜の自宅だって森にだってのんびり歩いてでも充分間に合う位置にある。
 それで「どこにもいない」……。

「心当たりとか……ないの?」
「学校にいないんだとなるともうさっぱり。」

 茜は基本寄り道などせずに家か森に帰るタイプの人だ。……森に帰るのは寄り道なような気がしてならないけど。
 とすると、これはなにかあったのだろうなと思わざるを得ない。ようするに一大事だ。

「それ……大変じゃん! 早く見つけないと。」
「だからこうして探してんの! アンタ暇?」
「あ……まあ暇だよ。」

 正確に言えば家に帰って宿題とか色々を済ませないといけないが、そんなことは今はどうでもよかった。

「じゃあアンタも手伝って! アタシについてきてね!」
「え、一緒に行動するの!? こういうときは手分けして探した方が効率がいいんじゃ」
「いいから早く!」

 ダメだ、全然話聞いてないな……。
 ……少々気が引けるけど、仕方ない。僕はそのニャルマーの後についていき、先程飛び出てきたところとは反対側の脇道に入っていった。





 ……というか何で僕は嫌いなポケモンと一緒に行動しないといけないんだ!?









To Be Continued...

■筆者メッセージ
四月までぎゅんぎゅん更新できるとか言いやがったのはどこの誰だ(お前だ
ということでお久しぶりです。今回はめぐる君とルマちゃんのお話。
そういえばポケモン嫌いな男の子というとポケ映画のトオル君を思い出しますね。めぐる君は多分あの子よりはポケモン嫌いじゃないと思います。喋れてるし(?
では雫でした。
( 2012/10/08(月) 18:15 )