04放浪
暑い…
なんだここは…
アイエンタウンの近くには広大な砂漠がひろがっている。タウンの周りは大変過ごしやすい気候なのだか、ある所を境に砂漠化している。これは急進的な近代化が影響していると言われている。そこには一匹のグラエナが立っていた。
「あっ、お前はエイトだな!?」
見ると一匹のワルビルが叫んでいた。
「おいおいやめてくれよ、おれらの土地がやられちまうよ。頼むから出ていってくれ」
…はぁ、まただ。
これで何回目だろう…
『落選組』のレッテルを押されてもう一年か…
『水流』を抜けてからのエイトの生活は想像を絶するものだった。
商売が商売だけに各地に敵がいる『水流』、その中の隊長かつ四天王までの地位にいたエイトには何処に行っても敵だらけだった。
また、今までは『水流』という最強の後ろ楯があったが、例選挙で独り身であるということがさらに敵の行動を大胆なものにした。
またその敵の行動も多様で、普通のポケモンバトルはもちろん闇討ちや毒殺、爆破等さまざまであった。
そのたびごとに周りに多大な被害を与えていたため、エイトは争いの火種として、無関係な一般のポケモンからも疎まれていた。
エイトは心身共に辟易していた。追放されたあとは生き残るため、また悪タイプとしての誇りを守るため悪事を働き、また強さを求めた。
ただ、その事については疑問を持ち始めていた。たしかに『水流』にいるときとやっていることは変わらないが、それでもその悪事で助けられる仲間がいた。頑張りを認めてくれる父がいた。ただ…いまは…
俺はなんのため生きているんだ?ただひとりでただ悪事をして生き残るだけの日々…なんの意味があるんだ…
「おーい、聞いてんのか? さっさと出ていってくれ!」
エイトはいい返す気力もなくただ迷い混んだ砂漠からでていった。
砂漠からでてエイトはひとまずアイエンタウンへと向かった。商売人から木の実を拝借しようと考えたからだ。悪タイプのエイトにとってこれくらい日常茶飯事であり捕まるなど考えてもなかった。今日はチーゴのみにしようかななどと考えていると、二番道路の草むらでオタチが出てきた。
「君君!!ここらへんじゃ見ない顔だね?勝負しないか?」
(こいつ、おれのこと知らないのか…?)
エイトは正直うっとうしかったがひさしぶりにマトモな勝負ができるとあって勝負を引き受けた。
「行くぜ!!たいあたり」
オタチはエイトに向かって直進する。いきなりたったのでエイトはギリギリのところでかわす。
「流石だな!!じゃあスピードスター!!」
(…やっぱりこんなもんか。)
今まで常に命を狙われ、生死の境界線を何回も跨いだエイトにとってこれくらいのバトルはなんてことなかった。
(もういいかな、まあひさしぶりに初心に戻れたよ)
シュン!!
「えっ!!?」
オタチは目の前からグラエナが消えたことにすっとんきょうなこえをあげる。
エイトは一瞬でオタチのうしろにまわり「たいあたり」をくらわし、オタチを気絶させた。
「まぁこんなもんだろ…じゃあさっさとアイエンタウンに…」
エイトが出発しようとしたとき、うしろから声がした。
『うわー!きみ強いんだね?!』