part1
今時珍しい赤煉瓦の壁。
やけに大きな門。
雑草で埋まるだだっぴろい庭。
大きいだけの古い屋敷。
それらがそろった館のことを、人々は口をそろえて言う。
―――――幽霊屋敷、と。
残念なことにそんな幽霊屋敷が俺の家である。
そして突然だが、読者諸君は幽霊という物を信じるだろうか。
非科学的。非現実。なにかと非がつくアレだ。
俺は信じる。信じたくはないが・・・。
「あ、リュリュだ。お帰りー。」
・・・こんなに堂々といられては信じるも信じないもない。
俺をたちまち不機嫌がおにする天才、ロイはスナック菓子をぼりぼり食べていた。
「ロイ、お前物食べれんのかよ。幽霊のくせに。」
「ふふふ、今時の幽霊をバカにしているな?リュリュ〜。」
なーにが『今時の幽霊』だ。
俺は毎度のことながら深くため息をつく。そんな俺に、ロイは若干透けているしっぽをゆらゆらふった。
ロイは見ての通り幽霊だ。
幽霊だ。
・・・幽霊なのだろう。
まぁそれはおいといて。ロイは俺の屋敷にいそうろうしている。
俺がまだヒノアラシだったころにフラリとやってきて、
「ちょっといさせてもらうね」
といって言葉どおりにするからたまったもんじゃない。
俺は何度もロイを追い出そうとした。・・・追い出せなかったが。
「あら、リュー様いらしたんですかー?」
ふと聞こえてきた声に、俺は顔を上げる。
シストだ。
彼女は・・・いや、彼女も、幽霊である。
毛で前髪が隠れていて、彼女の目のなにもかもがわからない。
シストはロイが拾ってきた。行き場がなかったとかで責めることもできず・・・。
この屋敷には、そんな幽霊達が沢山居着いている。全員ロイが連れてきたポケモン達だ。中には人間もいるかもしれない・・・。
とまあ、日記とはこういう物でいいのだろうか?
読むポケモンもヒトもいないので、問いかけても答えは返ってこないが・・・。
ごめん、なにかと思ったから読んじゃった。
口でいうとリュリュおこるから、ここに書いとくね。 追記
さて、ロイを怒るのは買い物に行ってからにしようか。
それとも今怒ろうか。