1話
「うわぁっ!!化け物だ!!」
「何でここにいるのよ!!」
道を歩いたとたんに、色んな声が、僕の小さな体に突き刺さる。
今僕は、普通のキュウコンの少女の姿。
なのに…みんな、ゴミを見る目で、僕を見る。
僕に異変が起こったのは、一年位前。
朝起きたら、僕は、前に親から聞いた「人間」の姿になっていた。
キュウコンの耳と尻尾はそのままに。
「嘘…何で!?」
当然その姿じゃ、親にも仲間にも気持ち悪がられる。
僕は、「化け物」と蔑まれ、今に至る。
もう、僕の心も、限界。
僕は、この森を捨てる決心をした。
深夜。
僕は、この森を出て、しばらく別の森をさ迷った。
そしてたどり着いたのは、古びて、苔の生えた祠。
まるで苔の洋服を着ているような古いキュウコンの石の置物が、小さな台の上に乗っていた。
「ここに…するかな…」
めったにこの森の住人も来なさそうなこの祠は、「一人ぼっちの化け物」には、むしろ最高の場所だった。
僕は、祠の近くの小さな洞窟に入り、人間の姿のまま、眠った。