Story1 遠征に行こう!
エバたちが帰ってきて少したったある日の夜。エバたちの所属するギルド、「プクリンのギルド」の親方ププルはパートナーのペラフィと『あること』を話し合っていた。
「あのね、ペラフィ。遠征に行こうと思うんだ。」
「遠征ですか。いきなりですね〜いつごろ行くんですか?」
「思い立ったが吉日って言うでしょ。というわけで、
明々後日にでも行こうと思うんだ。
いいかな?ペラフィ。」
ププルの言葉にペラフィはうなずくペラフィ。もともとこの親方は
奇天烈な言動が多い。といってもそれを見せるのはパートナのペラフィの前だけだったので他のギルドのでし達はこの奇天烈な言動を知らないものが多く、ペラフィはため息を一つつくと、話し合っていた部屋――親方の部屋だ――を出て行った。それを見送ったププルはひとり呟く。
「このポケモンたちの見張りを頼まれちゃったからね・・・。」
ププルの視線の先には3匹のポケモンが写った写真と、『ポケモン探検隊連盟より』と書かれた封筒があった。
〜★〜
「ひとーつ!仕事は絶対サボらなーい!!」
「ふたーつ!脱走したらお仕置きだ―!!」
「みぃーっつ!みんな笑顔で明るいギルド!!」
「皆、ちょっといいかな?」
ギルドの決まりを暗唱したギルドの弟子たちにププルが一言。すぐに静かになり、親方の次の言葉を待つ。ププルは一つ咳払いしてから話し始めた。
「僕ら、『プクリンのギルド』は久しぶりに遠征をしたいと思う。」
その言葉にいきなりテンションMAXになるギルドの弟子たち。状況が呑み込めず首をかしげるリンとエバに2匹のポケモンが近寄ってきた。
「リンさん、エバさん!!遠征ですよー!!きゃ――!!」
とてもハイテンションなのはチリーンのリリア。動きが激しいためちりんちりんとうるさい。
「リリア、落ち着きなさい。」
リリアとは対照的に落ち着いているのはキマワリのサン。この2匹はギルドの中でも案外古株である。
「遠征というのはギルドを上げて遠くまで行くことです。」
「準備も必要だし、大変ですけれど、楽しさMAXなんですのよ――!きゃ――!」
リリアのほうに少々引きながらもうなずくリンとエバ。そこに苦笑ぎみのリオが割って入る。
「リリア、少しは落ち着いたら?」
「そ、そうですね・・・。」
すーはーす―はーと、リリアが深呼吸を繰り返す。少し落ち着いたらしい。周りが静かになっている中、リリアのハイテンションにおろおろしていたペラフィがほっとしたようにため息を一つ着くと号令をかけた。
「皆、頑張ってこ――!!」
「おお――!!」
ギルドの弟子たちが自分の持ち場に戻っていく中リオとサンはふたりで何かを話している。気になったエバとリンが近寄っていく。
「サン、この依頼でいいかな?」
「いいと思う。」
「分かった。」
そういう風に話す二人に耐えきれなくなったかのようにリンが質問した。
「二人って…どういう関係ですか!?」
「パートナー。」
リンのある意味アウトな質問にリオがにこやかに答える。それを聞いていたサンが少し悲しげに顔を伏せるがそれには誰も気づかない。そうしてリオがサンを振り返る。
「いこっか。」
「ええ。」
歩き去っていく二人を眺めていたエバは既視感を覚えて軽く首をひねる。
〜何かサンの様子が変だったような・・・・・?〜
「エバ!!行こう?」
「あ、ああ。そうだな、行くか。」
少し首をかしげていたエバはリンと一緒に依頼掲示板へと向かった。