story12 目標は高く
リンたちチーム『エクシード』はザングースを転送した後、長老の家の前に戻ってきていた。理由は一つ。ザングースを転送した以上、すぐに戻らなくてはププルに睨まれる。ププルに睨まれてから1週間はご飯の量が少なくなってしまうので、運動量がほかの探検隊よりはるかに多いエクシードにとって死活問題なのだ。
長老の家の前では、リースとリーアが待っていた。リンたちはふたりの前まで来ると頭を下げる。
「リースさん。お尋ね者は退治しましたので、これにて失礼します。」
「一日泊めていただき、ありがとうございました。」
笑ってうなずいたリースとリーアはリンたちに頭を下げる。リーアがちょこちょことよってくる。
「エバさん、リンさん…。『ギルドマスター』になろうと思っているのなら…。」
リーアはそこで言葉を切り、深く頭を下げた。
「ギルドができたとき、私を呼んでください!!」
静かに二人は首をかしげる。が、すぐにうなずいた。
「目標は高くっていうしね!オッケー、約束だね!」
それを見つめていたエバは口の中でつぶやいていた。
「目標が高すぎないか…?」
そんなことは口に出してはいけないよ。そんなエバの呟きはだれにも聞こえてはいなかった。
「はい、約束です。」
「…努力はしてみるな。」
「はい。」
エバたちはリーアと約束を交わし、帰り道をのんびりと歩いていく。それを見送っていたリースはリーアに声をかけた。
「それにしても、最後まで気付かなかったわね。」
その言葉にリーアは笑って首を縦に振る。
「はい、お姉ちゃん。」
笑いあった姉妹は家へと戻っていった。
〜★〜
3日後、エバたちは何とかギルドへ戻ってきていた。
「お帰り、エバ、リン。」
笑って出迎えたププルに二人は顔を見合わせ、同時に言う。
『ただいま。』
リンたち、チーム『エクシード』の長いお使いは幕を閉じた。