story11 麗しい女長老
「エバ!!」
「ああ、わかってる…。」
大暴れしているザングース。少し焦った様子でリンがエバに呼び掛ける。エバは軽くうなずき、左手に【波導爆弾】を構え走り出す。
「暴れてんじゃねえ!」
投げつけられた【波導爆弾】はザングースを吹き飛ばす。ゆらりと立ち上がったザングースは怒り、突っ込んできた。
「突っ込んでくるな!」
怒号しながら振り下ろされたリンの【ツインウィップ】がまたザングースを吹き飛ばす。エバの横にやってきたリンは朗朗と口上を述べ始めた。
「私たちは、チーム『エクシード』!!あなたの命運…!!」
「もらいに来たぜ!」
リンとエバが走り出す。追いかけているザングースは気付いていない。これが作戦だということに――。
〜★〜
袋小路になっているところにリンが駆け込む。そのあとを追ってきたザングースは、残忍な笑みを浮かべた。
「はん、これで終わりだな!!」
ザングースを見上げていたリンはふっと笑った。
「そうかしら?あなた、私のパートナーがどこへ行ったか知ってる?」
「な…に…?」
ザングースはゆるゆると振り返る。そこにリオルの姿を認め、ひっと悲鳴を上げた。
「【はっけい】!」
「【ツインウィップ】!!」
前と後ろからの攻撃にザングースは短いうめきを漏らしたがすぐに反撃に出た。
「この野郎…!【ブレイククロー】!!」
エバに向かった振り下ろされた【ブレイククロー】を紙一重の差でよけ続けるエバ。が、すぐに追い詰められる。
「くっ……」
振り下ろされる【ブレイククロー】。エバが腹をくくったその時!
「【ソーラービーム】」
目をつぶったエバのまぶたに強力な光が突き刺さる。その光がやみ、そろそろと目を開いたエバは逆光でシルエットになっている誰かを見た。
「リン、あれ…。」
「リースさん……?」
その誰かは一歩づつ近づいてくる。
「ザングースさん。バトルで大事なことってわかりますか?」
「はあ?力に決まってんだろう!?」
その問いかけにザングースは狂ったように笑った。
「いいえ、違います。大事なのは、『さりげなさ』ですよ。」
そう誰かが言った瞬間、桃色の花びらがリンたちの視界を奪った。狂ったように舞い落ちる花びら。
「何…?」
「【花びらの舞】」
「ぎゃああああああ!!」
その桃色の花びらが一斉にザングースを襲う。悲鳴を上げたザングースはまだ立っていられるようだった。
「ここから先はあなたたちの仕事です。」
そうエバたちに言い放った誰かは去っていった。呆然とそれを見送ったリンたちは、急いで戦闘態勢をとった。
「エバ!すっきりしっかり終わらせるよ!!」
「わかった。」
エバが【波導爆弾】を作り出す。そのままザングースの懐に飛び込んだ。
「【波導爆弾】!!」
0距離から放たれた【波導爆弾】にさすがのザングースも片膝をつく。その隙を逃さずリンが走り高跳びのように飛びあがった。
「【ツインウィップ】!!」
リンが振り下ろした二つの蔓のムチはザングースの後頭部を直撃。ザングースはゆっくりと倒れた。
「終わったぜい!」
「うるせえ。」
ブイサインをするリンを無視し、エバはザングースに探検隊バッチを掲げる。暖かな光があふれ、ザングースを転送した。
この探検隊バッチ、たくさんの能力がある。まあ、後々わかるだろう。今エバが使ったのは『転送』だ。ほかにも遠くのものと会話できたりなど、など。たまにリンが「これを一つ一万円で売ったら…。」なんてことを言っていたりする。まあ、ヒットするだろうなあ。ってそういうことはどうでもいい。ザングースを転送したエバたちは広場へと戻って言った。