story8 輝きの森の「ボス」
「さて、行くか。」
「おおーー!」
朝。リンゴを半分にした簡易的な朝食をとったリンたちは、[輝きの森]へと入って言った。
「お出迎えだね♪」
「こんなお出迎えは嫌だがな。」
入ってすぐあらわれたポケモンたちにリンとエバは戦闘態勢をとる。
「あたし一人でやる!」
「ハイハイ。」
リンの言葉に肩をすくめながら後ろに下がったエバ。
「よーっし!」
リンは蔓のムチを出し、どんどん伸ばしていく。
「こなくそーっ!」
その蔓のムチをうまく体全体を使って回しポケモンたちを薙ぎ払った。
「こんなアブナイ方法かよ・・・・。」
「よーし、レッツGO!!」
顔をひきつらせぎみのエバを無視してリンは走り出す。
と…。
「わあい♪モンスターハウス!運いいね♪」
「こんな運いらねえよ!!」
モンスターハウスにぶち当たって喜ぶリンに精いっぱいツッコミするエバ。まあそんな運があっても困る。
「ま、さっさと片付けちゃお?」
「お前な…。」
にこっと笑ったリンに怒ろうとするエバだが言葉がみつからず沈黙。代わりのように両手に
【波導爆弾】を構えた。
「いぇーい♪」
「10分の8はお前がやれよ!」
嬉しげなリンにエバ冷たく一言リンは泣くしぐさをして「こんなか弱い乙女になんてことを…」と涙ながらの訴え。エバ完全に無視。・・・どうでもいいけどお前らとっとと片付けろや。
「【波導爆弾】!!」
エバは二つの波導爆弾を固まっているポケモンたちに投げつける。二つともきれいに大爆発を起こした。
「【ツイン・ウィップ】!!」
リンは【蔓のムチ】の強化版、【ツイン・ウィップ】でポケモンたちを薙ぎ払う。一つ目のムチで十体以上のポケモンを空に放り投げ、二つ目のムチで空に投げられたポケモンたちを狙い撃つというどっちが悪者なのかわからない戦い方をしているが、強いのは事実だ。
【ツイン・ウィップ】と【波導爆弾】であらかた殲滅・・・じゃなかった、倒せたが、少しばかりの生き残りがいた。
「それにしても…。」
「どうした?」
「[輝きの森]というだけあって、電気タイプが多いね。」
リンの言葉にエバは黙ってうなずく。ここ、輝きの森には電気タイプがうじゃうじゃいる。まあ知ってのとおり、ダンジョンにはここら辺のボスがいる。それを倒さなくてはどうしようもないのだが…
「電気タイプがいっぱいてことは、ボスも電気タイプだよね…」
「だろうな。」
とたわいもないことを話しながら二人は奥地へとやってきていた。
「リン!」
「!」
エバは左に飛びながらリンの名を呼ぶ。リンはとっさに近くに生えていた木の枝に蔓のムチをまきつけて上にあがる。
「あっれえ〜?外しちゃったかな?」
リンのいたところに矢のような電撃が突き刺さる。上からみながら冷や汗を流すリン。そこにひどく場違いなピクニックに行く時のような声が・・・。
「誰だ…?」
エバはつぶやく。額を流れ落ちる冷や汗を拳で拭いとった。そのまま右に飛ぶ。エバの立っていたところに雷が落ちた。エバはそのまま止まらず俊敏に動き回る。右、左、後ろに下がってさらに右。エバが動くたびにいたところに雷が落ちた。
「うっとおしいなあ〜!」
「なっ・・・・!?」
動いていたエバの少し横に雷が落ちる。その雷は地面にあたりはじけてエバを直撃した。
「エバ!?」
リンが自分の名を呼ぶ。その声を最後にエバの意識は途切れた。そんなエバを見つめて意識がないことを確認したリンはぶら下がっていた木から飛び降りる。
「うわ・・・大ピンチかも…」
とぎれとぎれに発された言葉はかすれていた。
「あはははは!!君も同じようにしてあげるよ!」
デンリュウは狂ったように笑いながら雷を落としつづける。
「狂ってるわ・・・・。」
とつぶやいたリンは戦闘態勢をとった。