story6 親方からの依頼はめっちゃムチャぶり
今日も今日とてチーム『エクシード』は元気に依頼を・・・・・?
『ええええええ!?』
こなしていなかった。
「はい!?え、え、Sランク!?Sランクですと!?」
驚いてぴょんぴょん飛び跳ねているのはチーム『エクシード』リーダー、リンだ。
「うん。Sランク。」
にっこりとうなずいているのは、プクリンのギルド ギルドマスターププル。このギルドマスター少々ムチャぶりが過ぎる。
「親方。もう一回説明お願いします。」
理性を保っている唯一のポケモン、エクシード副リーダーエバがププルに一言。
「分かった。まず、この手紙を[花咲の都]の長老に届けてほしいんだ。で、ついでにそこらへん一帯で大暴れしているお尋ね者を殺って来てほしい。それがボクからの依頼だよ。」
ププル、一息で説明。
「・・・・・・お尋ね者のランク…Sなんですよね・・・・?」
「うん。」
エバの最後の望みをかけた問い。ああ無情。ププルの一言でエバは倒れそうになるが気力で押しとどめた。
「できるよね?『お尋ね者殺し』っていうほどだもの。」
ダメ押し。『お尋ね者殺し』それはチームエクシードについた異名だ。本人たちからすれば非常にめちゃくちや非常にいやーな感じなのだが、付いてしまったのだから仕方がない。
「俺たちはブロンズ…」
ランクなんですよ、と言おうとしたエバだが、隣から無言の視線を受けて押し黙る。その視線はこう告げていた。
―もういいよエバ。これ以上しても仕方ないよ。ププルさんに勝てるわけないんだよ。―
と。エバは口の中で何やらもごもご呟きながら一歩下がる。リンは一歩前に出た。
「分かりました。[花咲の都]へ行けばいいんですね?」
「うん。」
リンはエバを引きずって、(蔓のムチで腕を引っ張ったため、エバが肩が外れると泣き顔でつぶやいていた)親方の部屋を出た。
〜☆〜
「行くしかないよなあ・・・・(涙。」
「エバ、へたれになったの?」
「違うわっ!」
珍しくへたれ気味なセリフを口にしたエバにリンが一言。エバツッコミ。
「Sだぞ。S。俺たちはやっとこBランク殺れるってとこだぞ。」
そう。お尋ね者にはランクがあり、一番低いのがEランク、一番高いのが、GMランクだ。
GMランクとは、ギルドマスターランクの略称である。リンたち、エクシードはブロンズランクという称号を手にしている。まあ、通常のブロンズランクはBランクのお尋ね者を捕まえたりはしないが。
「何とかなるっしょ!」
「なったら苦労しねえんだよ!」
リンのボケにエバがツッコミ。まったくもってその通りだ。BからS。間にあるAランクでも退治しに行った探検隊が返り討ちに合うくらいなのだ。それが、S。S、S。エバは頭を抱えてうめいていたが頭を切り替えてお尋ね者に関する資料を読み始めた。が、すぐに頭を抱える。
「どうしたの?」
「見ろよ、これ…」
エバがしめしたのは、罪状の部分。
「ザングース♂ 窃盗罪、空き巣、強盗、恐喝、その他もろもろ…」
「悪の親玉かっつの。」
エバはあきれたように肩をすくめる。がリンは高らかに拳・・・・・じゃなかった、葉っぱを高く掲げて叫んだ。
「悪の親玉がどうした!当たって砕けてやるぜいっ!」
「砕けてどうする!?」
リンの高らかな宣言に一度はうなずきそうになるエバ。が、ツッコミ。よくやった、エバ。
「そうでした♪」
「はいテイク2.」
リンは高らかに拳・・・・・じゃなかった葉っぱを高く掲げて叫んだ。
「悪の親玉がどうした!チームエクシードの名においてフルボッコにしてやるぜいっ!」
「よーしよく行った〜。」
「ええー!?もうチョイ、もいちょいさ!」
高らかに宣言したリン。がエバの投げやりな合いの手(?)にずっこけて抗議。
「しょうがねえなあ。・・・・よーし!よく言ったぞ、リン!エクシードの名において叩きのめしてやる!」
「・・・エバすごーい。」
投げやりな感じのため息をついてからのこの差。なんだこれ。
「と、オフザケはこのくらいにして…」
「おふざけだったのかよ!」
リンの一言にエバ猛ツッコミ。打って変わって真面目な顔になったリン。資料をめくりながら考えをまとめる。
「やっぱりノーマルタイプってことは、エバが主体のほうがいいよねえ。」
「ああ。【波導爆弾】でも当てればいいんじゃないか?」
波導爆弾とはエバの爆発する波導のことだ。エバは練習の末、波導を玉状にできるようになった。(といっても爆発はするが)それを、【波導爆弾】と呼ぶ。
「あれ?おっかしいな?」
リンがある一面を見てしきりに首を(どこにあるんだ!?)をひねっている。
「どうしたんだ?」
「あのさ…普通ほかの探検隊が捕まえに行って返り討ちにあった時の資料とかあるよね?」
「まあ、あるな。」
「無いんだけど・・・・・?」
普通ならあるはずの技などの資料(返り討ちにあった探検隊が残したもの)がない。
「逆に捕まえられたんだろうな。」
「エバ!?そんな笑えないボケはやめて!?」
「または…もう死んでるか、だな。」
「sonnnabakana!?」
「おいリンどうした!?」
冷静に分析するエバの恐ろしい仮説に壊れたリン。が、すぐに元に戻って呟いた。
「うーん・・・・・」
ふたりは同時にこうつぶやく。
『親方の依頼…めっちゃムチャぶり…。(涙」
といってもやるしかない。ふたりはトレジャータウンに向かった。