story5 復活!
エバが怪我を負ってから1週間。あちこちのダンジョンを転々として武者修行(笑)していたリンはギルドの医療室へてくてくと歩いていた。
「1週間ぶりか〜♪」
と、ギルドが揺れた。いや、何かが爆発した反動らしい。吃驚しているリンの横をギルドの一員、チリーンのシルがふわふわと通り過ぎて行こうとしていた。
「あ、あのっ!」
リンは思わず呼び止める。シルはくるっと振り向いた。
「どうしたの、リンちゃん?」
「シルさん、今の爆発は?」
「ああ、あれなら、医療室に行けばわかると思うわ。」
「ありがとう!」
リンはお辞儀をして走る。すぐに医療室の扉の前についた。ノックもせずに扉をあけると、
「エバ、黒焦げでどうしたの?」
黒焦げのエバが振り向いた。
「リンか。いや、波導を使う練習をしてたんだ。」
「なんでそれが爆発?」
リンのもっともな問いにエバは言葉を濁す。それをリオがフォローする。
「エバの波動に実体を持たせるとなぜだか破裂してしまうんだ。」
「そんなアブナイ波導って、あり?」
「知るか!」
リンの一言にエバが怒ったように言い返す。だがリンの一言が事実だろう。お尋ね者などと戦っているときに爆発されては困る。リオが呆れたようにため息をつき手を掲げると青色の刀が現れた。
「普通はね、こんな風になるのだけど。」
とあきれたような顔でエバを眺め(?)るリオにエバは口の中でうるせー、とつぶやく。言ったらすごいことになるのであえて言わないが。そんなエバにリンは笑って一言。
「大丈夫!才能がなくてもおバカでもきっと陽は上るさ!」
「どういう意味だよ!?」
爽やかにそんなことを言ったリン。エバは呆然としそうになりながらもつっこむ。それを見たリオが必死に笑いをかみ殺しているのを目の端でとらえながら、エバは小さくつぶやいた。
「リオの野郎いつか必ずぎゃふんと言わせてやる・・・・!」
リオは絶対にぎゃふんとか言わないだろうなあ、と聞こえていたリンは思った。当たり前だ。そんなところ想像すらもできない。
「エバ、依頼いこ!」
いきなりの一言にエバはうなずく。もうリンの前の話と一致しない言動には慣れた。走り出したリンを追い、エバは走り出す。
〜★〜
ここは滝つぼの洞窟。
「うぎゃああああああ!!」
哀れな一匹のお尋ね者の断末魔が滝つぼの洞窟に響いていた。そこにいたのはそう、
『チーム エクシード』だった。エバの手がしゅうしゅうと言っている。あの爆発する波導を使ったのだろうか。倒れているお尋ね者を完全に無視しリンが高らかに言い放つ。
「チーム、エクシードだいふっかああああつ!」
「大復活な。大声で叫ぶな。」
大きすぎて何言ってるかわからないリンの台詞もどきをエバが補足 ツッコミ。
何はともあれ、ここにチーム『エクシード』は復活したのだった。