story3 めざめしチカラ
濁流に流されたリンたち。チーム『エクシード』がたどりついたのは〜?
「ここは…?」
「きっと、あの濁流と海の水が合流するところ、だな。」
エバの言うとおりの場所である。あたりを見回したエバが見つけたのは、大きな岩で蓋されているところだった。明らかに怪しい。
「ここ…間欠泉か?」
「それに飛ばされればいいじゃん!万事解決!」
と歩き出したリン。なぜ、エバだけが気付いたのだろう?リンに近づく魔の刃に。
「リン、あぶなー!」
「え……?」
振り向いたリンが見たのは、走り出したエバと、紫色の刃。それがエスパータイプの技、
【サイコカッター】だと、そして狙いが自分ではないことをリンは明確に察知していた。
「エバ!さがっ…」
リンに近づく紫色の刃は、エバがとめた。自身の左腕を犠牲にして。エバの左腕は、肉が切り裂かれ、使える状態では、ましては、戦える状態では、なかった。エバは血の止まらない左腕を抑えながら、リンに叫んだ。
「リン、走れ!間欠泉の上に飛び乗るんだ!ここは、俺が何とかする!」
だから、逃げろ――と。
「へぇ、かっこいいね。じゃあ、君から、殺してあげるよ!」
と叫んであらわれたのは、ヤドキングだった。ぎらぎらと光る異様な目にリンは寒気が起こるのを必死で抑える。
「させない!【葉っぱカッター】!」
リンの放った【葉っぱカッター】を手を一振りするだけで消し去ったヤドキングはリンに向けたくさんの刃を作り出す。
「止めろ!」
エバは力の限りに叫んだ。
≪チカラがほしい?≫
その時聞こえた声。エバは朦朧とした頭で答えた。
「ああ、ほしいな。」
≪じゃあ、貸してあげるよ。ボクのチカラ そのかわり――≫
「そのかわり?」
≪『ボク』と会ったときに○○○○して?それならいいよ。≫
その言葉を聞いたエバは笑った。そんなことは関係ない。○○○○しようが、自分のすることは関係ない。大事なパートナーを、リンを守れればそれでいい。
「ああ。わかった。だから――」
≪いいよ。じゃあ――≫
その声を最後に、エバの意識は途切れた。
「さて、君は死んでもらおうかな?」
リンは震えながらもヤドキングをにらみつけていた。
「そう簡単に、死ぬわけには――」
いかない、と言おうとした時、リンの真横をすごいスピードで何かが通り過ぎた。その何か
はヤドキングの周りを超高速で周り始める
「な、なんだ!?」
ヤドキングとリンは同じ結論に達する。
『波導弾!?』
それを放ったのは、『エバ』だった。リンは『エバ』の違いに気付く。
「エバのバンダナ…赤くなっている?」
そう、エバの首に巻かれたバンダナの色が、銀から、血のような赤にかわっていたのだ。
『エバ』の放った五つの波導弾は、ヤドキングの周りで柱のようになる。『エバ』の左手には、青い、波導の刃ができあがっていた。『エバ』は、高くジャンプし、波導の刃を飛ばす。
「【波導連斬】!」
波導の刃は途中で五つに分離し、柱のようになっていた波導弾に命中する。当たった波導弾
も刃と化し、柱の中にいたヤドキングを襲った。
「ぐわあああああああっ!」
身の毛もよだつような悲鳴を上げて、ヤドキングは地面に倒れ伏した。それを見た『エバ』は薄く笑って、倒れた。
「エバ!?」
リンが駆け寄るが、エバは、虫の息で生きているのが不思議なくらいの血を流していた。
リンは探検隊バッジを掲げてすぐに脱出した。
〜★〜
「リン!?どうしたんだい!?」
リンは親方、ププルの姿を認めて走り寄った。
「ププルさん…!エバを…助けて…!」
そうとだけ告げて、リンは意識を手放した。