story1 始めの出会い
「おーい、大丈夫?」
一匹のチコリータが海岸に倒れていたリオルをゆする。
「ん、うう……」
「あ、起きた――!ねぇ、名前は?」
そのリオルは軽くかぶりを振り、記憶の糸を手繰り寄せるように遠くを見つめた。
「エバ。俺は、エバだ。お前は?」
ふとこぼしたように自分の名前を呟いたリオル――エバはチコリータの名を聞く。
「エバ。いい名前だね。私は、リン。元人間のチコリータでーす。」
「元、人間?」
エバは目を見開く。「ニンゲン」なんてことをあっけらんかんというチコリータを初めて見たからだ。
「ねぇねぇ、エバはどこから来たの?」
「分からない…記憶が、ないみたいだ。」
「わー!私と一緒だね。私もなの。ここにあるギルド――プクリンのギルドの親方に拾われたの。」
「プクリンのギルド?」
エバは首をかしげる。分からない単語ばかり聞かされて、そろそろ嫌気がさしていた。
「そうだよね!分かんないよねぇ〜。よし、いこう!」
「どこに!?」
エバのツッコミを完全無視でリンはエバを蔓で引きずる。エバは流れに任されるまま
プクリンのギルドへと向かった。