story9 トレジャータウンにて
「おーい!エバ、リン。ちょっといいか?」
「はーい!どうしたの?ペラさん。」
「ペラじゃなくてペラフィだ―!」
朝礼を終えたエバたちは、ギルドの副親方(笑)のペラフィに呼び出されていた。
「ペラフィ、どうしたんだ?」
「うむ。実にいい質問だよエバ。今日、チーム『エクシード』にはお尋ね者退治をやってもらう。覚悟はいいか―!?」
「おたずねもの?」
「悪い人のことね。」
聞いたことのない単語に首を傾げるエバにリンが説明する。と言ってもそれは説明といえるものだったのかどうかは疑問だが。
「へえ、てことはそのお尋ね者とやらを捕らえるのが仕事か。」
「(捕らえるって…)まあ、そういう事だ。」
「ってことは準備がいるな。」
「ああ。誰にするか…そうだな。リオ!リオ!?」
「ここにいるよペラフィ。」
リオ、と呼ばれたのは、一匹のルカリオだった。
「はじめまして。かな?ボクはリオ。よろしくね。」
「エバ。」
「リオさん、仕事は?」
「まあ、いいじゃないか。いくよ〜」
「あ、お、おい!」
走り出したルカリオの後を追ってエバたちは走り出した。
〜*〜
「ここがトレジャータウン。」
「ここのことは知っていますから。大丈夫ですよ。」
「そっか。じゃあ。」
走ってギルドを抜けたリンたちは、『トレジャータウン』に来ていた。
「いっくよー!」
「おい!リン!……やれやれ。」
軽くため息をついたエバはリンの後を追った。
〜★〜
「カクレさん!」
私はエバと一緒に『カクレ オン商店』に来ていた。
「リン、ここは?」
と、聞いたエバに私はここ、トレジャータウンについて教え、カクレさんに声をかけた。
「はーい!お客だよ、オン!」
「はいはーい!?」
「うわぁっ!?」
上から、カクレさん、オンさん、エバ。いっつもこの二人は隠れているから、いつも人が驚いちゃうんだよね。
「リンちゃん!どうしたんだい?」
「うーん、リンゴと、オレンの実を二つ下さい。」
「はーい!」
私はカクレさんに代金を払った。
「おーい、ルリ早く来いよ―!」
「待ってよ、お兄ちゃん!」
マリルとルリリの兄妹が走ってきていた。この二人は、とっても仲良し。私もたまに会う。
マリルのリルくん、ルリリのルリちゃん。名前がそっくりで驚いた。と。
「あ・・・」
ルリちゃんが落としたリンゴが私の足元にころがってきていた。拾って渡そうとしたのだけれど
「これ・・・めまい、かな?」
≪た、助けてっ!≫
「ね、ねえ、ルリちゃん、何か言った?」
ルリちゃんは首を振って先に行ったリル君を追って走っていった。さっきの声は…一体?
「リン?何があった?」
心配そうに聞いたエバに笑って。心配させるわけにいかないもの。
「ううん。大丈夫。」
エバは、そうか。とだけ言ってカクレさんからいろんなものを買っていた。歩き出したエバを私は追いかける。大丈夫。ばれていない・・・はず。
「わーい!はやくいこう!」
ふたりの兄妹と一緒に歩いているのは一匹のスリープ。
「きゃっ!」 「失礼。」
スリープとぶつかった瞬間何か、変なビジョンが見えた。スリープがルリちゃんをどこか、山のようなところで脅しているような。
「リン?」
「エバ、ちょっといい?」
エバにその話をしてみる。エバは軽くうなずいている。
「だったら、お尋ね者ポスターを見てみるか?そいつがもしもお尋ね者なら、載ってるだろう?」
信じてくれるんだ!うれしいかも。てなわけで私たちはギルドへと走った。
そして、私たちは、『お尋ね者退治のスペシャリスト』 と呼ばれる第一歩になる。