出会い
(今日も綺麗な星空だなぁ……)
そう思いながらガーディのエンは一人で草原に座っていた。
(探検隊かぁ、僕何で探検隊になりたいなんて思ったんだろ。こんな口下手で臆病で弱虫な僕が……)
ただ何も考えずぼんやりと星空を眺めていたエンは、星がひとつ落ちてきているのに気づいた。
(流れ星?いや、あんなに遅くないよね)
流れ星とは思えない速さでゆっくり落ちてくるなにかは、近くの森に落ちてきた。
(ん?あれってポケモン……?)
落ちてくるなにかは隕石の石の形ではなく、ポケモンだった。
(あっちはダメだ!あそこはこの時間はガラの悪いポケモンが溜まってる……)
光はだんだん弱まっていく、このまま放っておけば、あそこのガラの悪いポケモン達に何をされるかわからない。
(でもっ……怖い、行きたくない。だからってギルドのみんなに頼みにいってたら時間がないっ!)
その時、だった。
「おいっ、エン」
エンが所属しているギルドのおやかたの一人息子、イーブイのフウだった。おやかたの子供であることを笠に着て、威張っている姿をよく見かける。印象はあまりよくない。
「なにしてんだよ、こんなとこにいてもパートナーになってくれる奴は来ねーよ。自分から動け」
「今っ、星空からポケモンが降ってきたんだよ」
「……おい、とうとう変なものが見えるようになったのか?言ったろ、お前探検隊に向いてないって」
「場所がダメなんだ!」
(こいつがしゃべるの得意じゃないのはよーく知ってるが、いろいろ抜けててよくわからん)
フウに呆れられながら、エンは話した。
「フウ、一緒に来て!」
「そうやって言えばパートナーになってくれるやつが……」
「もういいよっ!」
そう言い残してエンはポケモンが落ちていったところに向かった。
「待てよっ!おい!」
フウはエンの後を追って走り出した。
エンは走った。まだぼんやりとだが落ちてきたポケモンは光っている。
だが、落ちていっているところは森、ガラの悪いポケモン達の溜まり場になっているところだ、それもど真ん中。
近付いていくと、ガラの悪いポケモン達も落ちていっているポケモンに気付いたようで、ちょうど着地するであろうところに集まり、面白そうな玩具を見つけて、どうしようかと思っているような暗い笑みを浮かべていた。
「おい、エンあれ何だ?ポケモンか?」
振り返るとフウが後ろから走ってきていた。
「さっき言ったじゃないか!」
「お前は言葉が足りねーんだよっ!」
言い争いをしていると、ガラの悪いポケモン達の何匹かがこちらに気付いたようだ。
「なんだよオメーら、あれはこっちが先に見つけたんだ、横からしゃしゃり出んなよ」
ニヤニヤと見ていて気分が悪くなる笑いを浮かべながらコノハナとチャーレムが言った。
「お前らこそ、このポケモンどーする気だよ、俺らはちょっと遊んでやるだけさ」
「それとも一緒に遊ぶか?きっと楽しーぜ、ハハッ」
見ていて耐えられない、今にもポケモンはガラの悪いポケモン達のリーダー格に捕まりそうだ。
「お前らよりはましだよっ!」
エンはそう言ってコノハナにひのこは放った。
「おいおい、勝てると思ってんの?ばっかじゃね、数的にこっちの方が圧倒的に有利だってのにさ」
コノハナはそれをあっさり避けて、はっぱカッターを放った。
「お前らみたいなザコ集団何人いようと変わらねーよ」
フウもシャドーボールで応戦した。
それはチャーレムに見事命中して、チャーレムは立っていられなくなった。
それを見て動揺したコノハナに、エンはほのおのキバをぶつけて倒した。
「見ず知らずのポケモンのためにカラダ張るなんてなぁ、おめでたい奴らだ」
リーダー格のポケモン、ザングースがポケモンを囲む輪の中から出てきた。
「おいっ、こいつらボコにしてからそいつで遊ぼーぜ。楽しそうじゃねーか」
ぞろぞろとガラの悪いポケモン達がエン達を囲んだ、ザングースにバリヤード、ポチエナ、ビブラーバ。
(さすがにこれは分が悪い……)
「ヘヘッ、家に帰れるくらいで勘弁してやるよ……」
その時だった、
「あんたらウチの者になにやってんだ?」
立っていたのはエンとフウが所属しているギルド、サンセットのおやかた夫婦と、他のギルドメンバー達だった。
「父ちゃん、母ちゃん!」
「人前ではおやかたと呼べとあれほど言ってるでしょーが!」
「今はそれどころじゃないよ!あの子助けてあげてっ!」
ザングースは危ないと感じ、仲間に言った。
「おいっ、サンセットの奴らだ、そいつ連れてずらかるぞ!」
「はいっ!」
が、ザングース達が逃げようとした先には、すでにサンセットのギルドメンバー達が立っていて、道を塞いでいた。
「その子を離しな、わかってんだろ」
「チッ、おい」
ザングースは渋々仲間に命じてそのポケモンを地面に置いた。
「……行くぞ」
ザングースとその仲間は森の奥に消えていった。