遭遇
僕はライト。友達のセンリ、ロディと一緒に世界一のポケモントレーナーになるために旅をしている。そんな、何処にでも居そうなトレーナーの僕たちの身に起こった、忘れられない出来事について話そう。
ーーーーー数年前ーーーーー
ライト「何か焦げ臭いな……」
ストライク『近くの森が燃えているみたいだ』
ライト「何だって…!?彼処には確か沢山のポケモン達が居たはず…!」
僕は全速力で走った。間に合うか間に合わないかではない、僕はそこに向かわなければならない気がしてならなかった。そして、森に着いた。
僕の目の前には、イーブイが居た。そして、そのイーブイの前には、彼が住んでいた森が、激しく燃え盛り、煙をはいていた。イーブイは、ショックのあまりか泣くことも出来ず、その場に立ち竦んでいた。
イーブイ『とう……さん……かあ……さん………ううう………
僕も……連れていって………』
イーブイは、火の海に飛び込もうとした。
ライト「よせ、やめろ!!」
僕は咄嗟にイーブイにしがみついた。しかし、イーブイはその手をすぐに振りほどき、
イーブイ『来るな!!人間!!』
と叫び、シャドーボールを放った。僕は咄嗟に避けた。
イーブイ『人間なんて居なければ……こんなことにはならなかった!!!!』
どうやらこの火事は、人間の仕業らしい。後で聞いたことだが、なんでもここに大きな建物を建てるんだとか……しかし、僕たちはそんなこと知らされていなかった。その事については、また後で触れることになるが……
イーブイ『もう僕はこの世に居たって意味なんか無いんだ!!友達も家族も皆死んじまった!!独りぼっちで寂しい思いをするだけなんだ!!そんな思いを一生抱えるくらいなら死んだ方がましだ!!』
ライト「君の家族や友達は、本当にそんなこと望んでいるのか!?」
イーブイ『うるさい!!お前に何がわかる!!!』
ライト「わかる!!」
しばらく沈黙が続いた。
ライト「僕も父さんと母さん居ないからさ」
イーブイ『……!?』
ライト「僕が幼い頃、二人とも交通事故で死んだんだ。そして一人になった僕は今の君と同じように死のうとも考えた。けれどもポケモン達がこう言ってくれた…!『お前は一人じゃない!!俺たちが居る!!死んではならない!!まだ埋めるべき穴がある!!』ってね」
イーブイ『埋めるべき…穴…?』
イーブイはしばらく考えていた。
イーブイ「お前は……どうしてそこまで僕を……」
ライト「僕は、同じ運命を辿っている君の助けになりたいんだ!!!」
イーブイは、ここで初めて涙を流して泣いた。
ライト「僕は絶対に君を一人にしない!!約束する!!」
僕はそう言ってモンスターボールをイーブイの前に出した。
ライト「僕と一緒に…来る気はないか?」
イーブイは泣きながら、小さく『アリガトウ』と言って、モンスターボールの中に入った。
ライト「よく耐えたよ……イーブイ、君の埋めるべき穴を…埋める手伝いをさせてくれ…」
僕は、家に戻った。