【2-0】シンプルストーリー
「なあじいちゃん。俺はその女を捕まえてくればいいんだよな? そうすれば皆の役に立てるんだよな?」
「そうだ」
「そいつは、すっごく悪いやつなんだよな?」
「ああ」
「この村を滅ぼそうとしているんだよな?」
「ああ」
「俺じゃなきゃそいつを捕まえられないから、俺に頼んでくれたんだよな?」
「その通りだ」
「俺嬉しいぞ。こうやって、初めてまともな仕事をもらえて」
「嬉しいばかりで、油断はするなよ。お前は強いが、奴も強い」
「あれを受け継いでいるやつなんだから、強いのはわかってる。後、悪いやつだってこともわかってる。だから油断なんてしないよ」
「ならいい。頼りにしておるぞ」
「おう。……ああそうだ、俺の前のやつは、どうなったんだ? 帰って来ないってことは、やっぱり失敗したのか?」
「どうだろうな。失敗したのかもしれないし、まだやっているのかもしれん」
「なんだ。じゃあ俺は援軍、になるかもしれないのか」
「ああ」
「ちぇ、どうせやり合うなら一対一で真っ向からやりてえな」
「遊びではないぞ。捕まえてくるのがお前の仕事だ」
「わかってる。でも、そいつより俺の方が強いって、見せつけてやりたいんだ。それで、あんな風に逃げ出す奴より、俺があれを受けついた方が良いに決まってるってわからせてやるんだ。そうすれば俺はこの村をずっと守れるし、じいちゃん達の役にもっと立てる。なあ、そう思うだろう?」
「そうかもな」
「だろ? やっぱ、俺がやるべきなんだよ。じいちゃん、安心して待ってろよ。俺がささっとやってやる。あいつを倒して引きずってきてやる。任せとけ」
「頼もしいな、ナオトは」
「当たり前だぞ。俺は、じいちゃんに助けてもらったんだ。頼もしいに決まってるぞ」
「いい笑顔だ。お前はそうやって笑っていればいい。そうしていれば、お前は強い」
「笑わしてくれたのも、じいちゃんなんだからな。じいちゃんの前では笑っていたいんだ。……なあ、じいちゃんは、俺のこと好きか?」
「好きだとも。よく笑うし、頼もしいからな」
「ありがとう。俺も、じいちゃんのことが好きだぞ」
「ああ。だが笑ってばかりいてもだめだ。そろそろ行くんだ」
「わかった行ってくる。すぐ帰ってくるからな。期待していてくれよ」