ホラーらしき何か
ピンクの悪魔
最近、近所のトレーナー仲間達がポケモンセンターへ駆け込むのをよく見かける。
今日は親友が大慌てでポケモンセンターへ駆け込むのが見えた。僕はポケモンセンターから出てきた親友に話を聞いてみる。
すると、親友はワナワナと震え出し「ピ…ピンクの悪魔だ…!ピンクの悪魔だ〜!!」と叫び走り去っていく。その時パートナーのポケモンの目は生気を失っていた。


おかしい。何かおかしい。あの異様な様子はポケモンの技によるものだろう。ただ、あのような状態にする技なんて僕は知らない。とにかく僕のポケモンたちによーく注意しとかなきゃ。
はぁ…。とりあえず今日はもう寝よう。考えるのは…明日にしよう。


次の日、僕は衝撃な光景を目にする。
なんと親友が手持ちいっぱいのイーブイを連れ歩いている!しかもそのイーブイたちは全てニタァッと不気味な笑顔を貼り付けている。その笑顔を見て、親友もニタァッと笑う。思わず身震いする。怖過ぎる…!
ふとまわりを見てみると親友と同じように6匹の不気味な笑顔のイーブイを連れ歩き、すれ違うたびに不気味な笑顔を向けてくる人間であふれている。あぁ…。あまりの異常事態に目眩がする。家に隠れよう。今すぐに。

自室に入り、鍵をしめる。
これは悪夢か…?震えてしまう体を必死に押さえ震えを止める。
どうする?どうしたらいい?
考えが纏まらず絡まる。あぁ…ダメだ!落ち着け…落ち着くんだ!
まずは僕のポケモンたちを全て出す。みんな僕の事が心配だったらしく頬を擦り付けてくる。みんなの温かさで安心して急に眠気が襲ってくる。そのまま眠ろうとする僕の耳にガサガサという音が聞こえる。
「な、何が来るんだ!?」
僕とポケモンたちは怯える。
ペタ…ペタ…。ノシノシ。
2つの足音が近づいてくる。
ペタ…ペタ…。ノシノシ。
ペタ…ペタ…。ノシノシ。
ペタ…。ノシ。
僕の部屋の前で足音が止まる。
心臓の鼓動が速くなる。
ガチャ!ガチャガチャガチャ!
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!
バキッ!
凄い音でドアノブが回され、壊れる。
いよいよ終わりか…。目を閉じる僕。
「スリーパー、催眠術。エーフィ、夢食い。」
人間?うっすらと目を開くと1人の男が2体のエスパーポケモンに指示するのが見えた。
「ちょっと!僕のポケモンに何するんですか!」
僕のポケモンたちは夢を食われ生気を失ってしまっている。男はニタァッと笑う。そして、窓から帰っていく。
僕は急いでポケモンセンターへ連れて行く。
「また被害者…。」
事情を説明すると疲れた顔で言うジョーイさん。とりあえず、ポケモンたちをジョーイさんに預けて家へ帰る。疲れた。もう寝よう。


翌日、起きると枕元に手紙とボールが。嫌な寒気がするが、手紙を読んでみる。

「素晴らしい…!」手紙を読んだ僕は涙を流して呟く。内容を一言で言うとエーフィがいかに素晴らしいかを説き、もしエーフィの素晴らしさが分かったのなら6匹のイーブイを差し上げます。というものだった。僕はエーフィの崇高さが痛いほど良く分かったので有難く頂くことにした。



この日僕はエーフィの虜になった。

ささくれ ( 2019/01/13(日) 19:13 )