第6話 サンギ牧場〜ココナの思い〜
新たな仲間を加えサンギ牧場へと入る俺達。やっぱり仲間は多い方がいい!俺はしばらくフィルと話していた。波長が合ってきたようで声が2重になって聞こえることは無くなった。そろそろリンクを制御出来るようにならなきゃな。
フィルも心を許してくれたようで今はルナの背中の上が定位置になっている。
「私もモーモーミルク欲しいです!」
「勿論フィルの分もあるよ!」
ここのモーモーミルクは美味いうえに安いと噂だ。
牧場には多くのポケモンたちがいて楽しそうに遊んでいる。
「あらあら!いらっしゃいトレーナーさん!」
俺達がウロウロしていると牧場主らしき人が歩み寄ってきた。
「あなたが牧場主さんですか?」
「ええ、そうよ。私はココナ。よろしくね。」
ココナさんはにこやかに答えた。
「で、ここに来た目的は?って聞かなくてもいいか!ちょっと待っててちょうだいね!」
そう言うとココナさんは走っていってしまった。
「愉快な人ですね。」ルナは苦笑する。
全くだ。俺もつられて苦笑する。
「はい、お待たせ!たーんと飲みな!」
戻ってきたココナさんは手に1つの瓶と2つの皿を持っていた。モーモーミルクだ!
ルナとフィルはココナさんと皿を交互に見ていたが「さぁさぁ、飲みなさい!」という一声で勢いよく飲み初めた。凄い飲みっぷりだ。さて、俺も飲もうか。ゴクゴクと勢いよく飲む。
あ〜美味い!史上最強の飲み物だなこれ!
ふとルナ達を見るともう飲み干してる…。すっげえな…。まぁ、満足してるようだし来て良かったな。
「美味しかったです!300円でしたよね?」
「いいのよいいのよ!サービスよ。その代わりまた来てちょうだいね!」
財布から300円を取り出そうとしたら止められ、悪い笑顔でそう言われた。商売上手だな…。
「それより…ここにいるポケモン達は?」
入ってきたときから疑問に思っていた事を尋ねてみた。
「ああ…ここのポケモン達は色々な理由でトレーナーに捨てられた子達なんだよ…。」
「そう…なんだ…。」
やっぱりポケモンを捨てる奴はいるんだな…。
でもここのポケモン達は楽しんでいる。
じゃれ合って笑っている。
「ココナさん遊んでぇ〜!」と駆け寄るポケモンもいる。
ここにいるポケモンにとってここは楽園のような場所なのだろう。
「実はルナとフィルも捨てられたポケモンだったんです。」
「まあ!そうだったの!?でもこの子逹あなたといるのが楽しいみたいね!」
改めて言われると少し恥ずかしい…。
「俺にはポケモンと会話出来る能力があって…そのおかげでこいつ達と出会えたんです。」
「凄いわね…。私にもそんな力があれば…この子達の気持ちが分かるのかしらね…。」
ココナさんは少し落ち込んだ様子で話す。
「そんなことないですよ!ココナさんとポケモン達は心が通じ合ってますよ。むしろ俺こそこの力が無きゃルナ達と出会えなかった…。だから自信持ってください!ほら!みんなもココナさん大好きだって言ってますよ?」
実際、ここのポケモンはみんな笑顔だ。
「そうだったのね…!やっぱりその力…ポケモンも人間も、みんなを幸せにすることが出来る。頑張ってね!新米トレーナーさん!」
「ありがとうございます!それじゃあ、また!」
気分転換をした俺達はいよいよ初のジム戦、ヒオウギジムに挑む。
ルナも、フィルも、そして俺も。気合いは十分だ!