第0話 運命〜2人の出会い〜レイサイド(加筆修正中)
―――6年前―――
「ご臨床です…。」
「は?……おい。嘘だろ…?嘘だよな?なぁ!嘘だって言ってくれよ!!」
「母さんっ!!!」
この日…俺の母さんが死んだ…。交通事故だった。
あれから半年…
「母さん………母さん…!!うぁぁ…っ!」
俺はまだどん底にいた。父さんが励ましてくれるけど、無駄だ…。だってもう…母さんは帰って来ないんだから…。
朝起きて朝食を食う、テレビを見つめる、昼飯を食う、またテレビを見つめる、夕飯を食ってテレビを見つめる、しばらくしたら寝る。
死んだように生きる日々を送っていた。
今日もまた同じ「作業」を繰り返すのみ。
そう思っていた。
翌朝…
「もう…だめだ…。誰か…助け…て……。」
誰かの声が聞こえた。気づいた時には体が動いていた。俺は自室の窓から勢い良く飛び出して声の主の元へ駆け出した。
「えっ……!」
そこにいたのは人ではなく、ポケモンだった。驚いた。ポケモンなんてテレビでしか見たことがなかった。
「な…!?にん…げん…!?」
艶やかな白い体毛と、漆黒の尾と顔を持つ赤い眼のポケモン、アブソルがこちらを睨み付けている。しかし、その体毛は埃と血に汚れていて後ろ足は直視できそうもない状態になっている。
「近…付くな…!人間…」