第3話 ギルド入門!上
ギルドへ行く道中、気になっている物体Xについて聞こうと思った。
「ねぇねぇ」
「ん?」
レオが投げやりに応える。緊張してるからかな?心ここにあらずだ。過去に何か辛いことがあったのだろう。
そんなことはおいといて。
「まず、さっきの(君にとっての)宝物について少し教えてもらえない?」
「いいよー」
レオはきちんとこっちを向いて話した。
歩いてギルドに向かいながらでもいいと思うが…
「これは、遺跡のかけらなんだ。おいらは昔話や伝説が好きなんだ。そんな話を聞くたびにワクワクしない?」
しない。でも、ここは相手に合わせてあげるのが優しさだと俺は知っている。特別に頷いて差し上げたことに山よりも高く海よりも深い感謝をしてほしい。
「謎の遺跡や、隠された財宝に………」
もう自己満足の世界に突入してる。
「闇の魔境、誰も行ったことがない大陸…そんなところには黄金やお宝がザクザク!」
結局金か。お金は大切だからな。うむ。
「それに、ロマンもある!おいら、そんなことを考えてはワクワクしてるんだ!」
妄想で幸せになれるなんて。頭の中がお花畑なんだな。
「そしてある日、ふと拾ったのがこの遺跡のかけらなんだ。一見ガラクタに見えるけど…」
一見じゃなくて、普通にガラクタだろ。
「ここ見てごらん?ホラッここ。不思議な模様が描かれてるだろ?」
………確かに不思議だ。大昔の禁断の儀式にでも使ってたんじゃないか?こんな見たことがないような模様。
「この模様には意味があるに違いないよ!このかけらが伝説的な場所や秘宝への入り口になっている…そんな気がしてならないんだ」
悲報への入り口にならないことを願うか。
「だから、おいらも探検隊になって、このかけらがはまる場所を発見したい!おいら自身がこの謎を解きたい!そう思ってるんだ。……でも、定期的に弟子入りしようと思って、ギルドの前に立つんだけど…おいらは、意気地無しだからさ…」
待てよ、この流れだと俺はその儀式の道具の謎を解かねばならないのか?…1人でやってほしいが……それができないから意気地無しとか弱虫くんとか言われるのだろう。
探検隊についても聞こうと思っていたけど…まぁ、弟子入りするときに説明、あるよね!
ギルドの前で。
「ここが、プクリンのギルドだ」
震えながらレオが言った。そんなに怖いか?建物の外装がプクリンで、そういうセンスは恐怖そのものかもしれないが…
「探検隊になるならここでチームの登録をして、1人前になるまで修行を積む必要があるんだ」
はぁ。そうなんですか。
「ブルブル……なんか、怪しげなトコロだよな。………いや、今度はネオンもいるんだから、大丈夫。大丈夫に決まってる。勇気を出すまでもなく余裕で………」
最後の方は全然聞こえない。余裕で何すんだよ。自分に言い聞かせてるのか?
「僕が先にそこに立つね」
あの網目状の木の上に立つのか?一瞬で崩落しないかそれなりに不安だし、足、くすぐったくないのか?と、思っていたら…
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足型?誰の足型?」
「足型はワニノコ!足型はワニノコ!」
はぁ?そういうシステムだったの?これ。
「わわっ!」
驚きすぎだろ。
「い、いや。ここは我慢せねば」
あ、やっぱりこれが怖いんだね…そして、これが怖くて今の今まで断念してたんだな…
「…………………よし。そばにもう1匹いるな。お前も乗れ」
「ネオンのことだね。ここに乗れって」
………あ、はぁ。
乗った。すると、
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足型?誰の足型?」
「足型は…えーっと、その〜。あー、エーーーット。多分ピカチュウ!多分ピカチュウ!」
「あぁ?多分?お前は見張り番だろ!ディグダ、正確に言え!」
「分からないものは分からないんですよー」
「あああ、もう。面倒くさい!」
………なんか、もめてる…
「遅いね………」
レオ、君に同意だ。
「待たせたな。入っていいぞ」
下から声がした。あれから5分くらい?
怒鳴り声が何度も聞こえた…
「ネオン、早くはいろっか」
「そうだな」
そうして、ようやっと俺らはギルドの中に入った。
第3話 END