第2話 海岸の洞窟で
海岸の洞窟のなかで。
一通りの戦い方と技の使い方を教えてもらった後の会話。
「ねぇ、名前以外のこと教えてくれる?さっきの突飛なヤツ以外で」
俺にとっての大事件は突飛なヤツで軽やかにスルーされた。ちょっと傷つく。
「えーっとね、うん。思い出せない」
「なんで?」
うーん。なんでだろ。
「どうしてだと思う?」
聞いてみよっと!
「おいらが聞いてるんだけど…」
正論が飛んできた。
「それ、ホントの本当?」
レオが言った!
「そうだよ」
さっきから言ってんだけど。
ん?ってことは?
「あれ、俺、記憶喪失?」
すると、笑顔で肯定された。
頷くな、そこは。
「思い出せれば良いのになぁ」
「そうだね」
しばらくして。
「あれ、敵が来たかな?」
レオ、やっちゃえ!!
「せっかくだし、初バトル、やってみな」
…………は?俺がやるの?
「カラナクシかぁ。電気抜群だし大丈夫かな?」
疑問形ではなく、確信を持った断言をしてほしかった。
まぁ、頑張ってみよっか。
カラナクシが近づいてきた。
機会を待って…
「電気ショック!!!」
できた!!さて、どうかな?
………倒れてないですね。
「ドロかけ!」
相手からの攻撃。って、ウソ。抜群だし。
グハッッ。いってえ。
もう一回!
「電気ショック!」
やっと倒せた。
「うん。まぁまぁだね」
「どこの辺がまぁまぁなの?」
「ドロかけ、かわそうともしなかったろ」
はい、そうです。ショボーン。
海岸の洞窟、奥地に到着!
の、前に。
「レオ」
「何?」
「お前があいつらに話しかけて?」
「う……分かったよ。そのあとどうするの?」
「そのあとは、口撃して、攻撃する」
「口撃って君がすんの?」
「お前やりたいの?」
「いや、そういうわけではないけど…記憶ないのに大丈夫?」
「Of course!」
「はぁ、わかったよ」
……………………………
「お、オイ!」
「ああ?」
ズバットが振り返った。
「これはこれは、弱虫くんのお出ましだ」
ドガースも振り返ってレオを嘲笑った。
「ぼ、僕の宝物を返せよ!」
レオ、頑張れ!せいぜい。
「ほぉ、宝物、か。おい、売れば、案外儲かるかもしれないぞ」
ドガースに話しかけた。
「あぁ、そうだな。そうしようか」
レオが絶望的な目でこっちを見ている。なら、そろそろかな?
「おい、返してやれよ、アホな泥棒2匹」
さて、どうなるかな?
「おい、お前なんて言った?」
ドガースが真っ先に反応した。
「はあ?聞こえなかったか?この至近距離で。病院でいろいろ直して貰いな」
「ああああ?何ほざいてんだ?」
ズバットも参戦した。
「だから、行き止まりに逃げ込む貧相な脳細胞と、かわいそうな耳と、見るに耐えない醜い容姿を治してもらえ、と言ったんだ」
「コイツ……言わせておけば!!!!」
ドガースが言う。
うーん。これだけ挑発すれば良いかな?多分、レオのことは眼中にない。
「最終警告だ。今、レオの宝物を返せば許してやる。返さないなら、力づくで奪い返してやる」
「ちょっとお仕置きが必要らしいな」
「できないことは言わないほうがいいぞ、ピカチュウ腐勢が」
「一応聞いとく。障害者で耳が聞こえづらいわけではないよな?」
レオはすでに彼らの後ろにいる。コイツらチョロすぎだろ。
「「命が惜しくないんだな?」」
よし。相手もやる気満々だし。
「じゃあ、始めようか」
俺の声を引き金に、バトルが始まった。
まずは電気抜群のズバットから。
「電気ショック!」
「ひっかく!」
レオの後ろからの攻撃。ナイス!
「「いつの間に???」」
アホだな。コイツら。
「よそ見しない方が良いよ?電気ショック!」
ズバットは倒れた!御愁傷様でした。
「くっ、まだまだぁ!毒ガス!」
吸ったらどうなるか興味があると同時に吸ってはいけないものな気がする。
「レオ!」
「ひっかく!」
「ウッッッッ」
ドガースは倒れた!弱すぎだな。
ん?俺が言えることじゃない?…そんなのはどうでもいいんだよ。
「コイツらどうする?」
「まずはおいらの宝物を返してもらおっかな」
ま、そうだよね。
「次はどうする?」
俺が尋ねる。
「無視でもいいけど」
あまい、チョコラテよりも甘いよ。
「俺の意見だけど、海に放り込むのは?」
レオはニヤリと笑って、
「それがいいね」
その後の彼らは知らない。
ちなみに、毒ガスは吸わなければいい(レオ談)。
洞窟の外に出たらすぐに、
「そういえば、ネオンはこれからどうするの?」
と、話しかけてきた。これからの俺?うーん。
「何も無いなら、おいらと一緒に探検隊しようよ!」
「それは俺にとってメリットはあるのか?」
「もちろん!」
そうか。
「どんな?」
「(衣)食住に困らない&記憶の手掛かりが見つかるかもしれない!」
それはいいね。でもさ。
「何故俺を誘う?」
「うん、君なら信頼できるっていう勘と、先程の戦いから見出した戦いの将来性、最後に、この宝物を一緒に取り返してくれたから。だね」
それはそれは。
さて、ここで損得勘定をしてみよう。
まず、メリット。先に挙げた通り。
で、デメリットは多分、ない…よね?失うものはないと思うし。ってことで。
「探検隊、やってくれるかい?」
「良いよ」
(衣)食住は魅力的だ。それに、レオはなんとなく信用できる。ってか、この世の穢れを知らなさそう。
「じゃあ行こっか!」
ちょっと待て。
「どこに行くんだ?」
「ギルドだよ」
ふーん。
まず第一に、そんな簡単に探検隊になれるのか?書類とかいらないの?まぁいいけどね。
………そもそも探検隊って何すんの?
あのレオの宝物である物体Xは何だろう……?
第2話 END