悠久の風と輝く光 〜時の風と未来と宝石の光〜








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第5章 未来の世界
49話 セラフィ
....................




 ヒカリ達が少し歩くと、黒い霧に包まれた森が見えてきた。

 (........!...あ、あれ?......何.....今の感覚は.....。前にも感じた
  ような.......。)

 ヒカリはその森に着いた瞬間、何かを感じて周りを見た。

 「ここはどこなの?」

 「ここは黒の森。絶えず黒い霧がかかっているので、そう呼ばれている。そして、この
  森の奥深くにセラフィがいるはずだ。」

 ヒルビがその森について聞くと、ジェードは詳しく教えてくれた。

 「ねえ、ジェード。さっきも言っていたけど、セラフィって何なの?」

 「セラフィは伝説の時渡りポケモンであり、時間を越える力を使う。まあ....
  ちょっと変わった奴ではあるんだけど。とにかく、俺が過去に行けたのもセラフィ
  の力を借りたからだ。ルーアさんの知り合いってことで、話を通してもらった。」

 タイガはさっきから気になっていたセラフィのことを聞き、ジェードは普通に答えた。
 ヒルビとタイガは伝説のポケモンということとルーアの知り合いっていうことに驚いた
 が、そこまでではなかった。おそらく、これまでに色々あったからだろう......。

 「じゃあ.....そのセラフィに会えば、僕達も元の世界へ帰れるってこと?」

 「ああ。帰れる。ただし、セラフィは俺を過去に送ったポケモンだ。つまり、セラフィ
  もまた、歴史を変えることに協力したことになる。」

 「それは......。じゃあ。もしかしてセラフィも!?」

 「そうだ。セラフィもまた、闇のディアルガに狙われているのだ。グズグズしては
  いられない。早く準備して、セラフィを捜しに行くぞ。」

 ヒルビの質問にジェードは頷くが、ジェードはセラフィも闇のディアルガに狙われて
 いることを話し、ヒルビもタイガもジェードも早く行こうと準備するが、ヒカリだけ
 は動かず立ち続けていた。

 (.........やっぱり、何かを感じる......。)

 「ん?.....ヒカリ。どうしたの?」

 (...そういえば......確か、以前にも似たようなものを感じたような........
  あれは....そう!あの時の........濃霧の森や北の砂漠の流砂のところに来た時と
  似ているのよ...!私はこの場所を知っている....!でも......どうして.....。)

 ヒカリは何かを感じ、ヒルビやタイガが声をかけているが、ヒカリの頭の中には入って
 来ず、考えていた。

 「おい!何やっているんだ!早くしろ!」

 「分かってる!」

 「早く行こう!ヒカリ!」

 「う、うん!ありがとう!」

 ジェードの声でヒルビは頷き、タイガはヒカリの分の準備を整え、ヒカリの腕を
 引っ張り、ヒカリはそれに戸惑いながら頷き、礼を言った。ヒカリ達は森の中に
 入っていった。

 「ウイィ!」

 その後ろ姿を誰かに見られていると気づかずに..........。





............................




 黒の森


 「100万ボルト!」

 「かえんほうしゃ!」

 「はどうだん!」

 「リーフブレード。」

 ヒカリ達は森の中を順調に進んでいた。ヒカリの10万ボルトが100万ボルトに進化した
 のや相性のバランスもあると思うが.........。

 「しっぺがえし!」

 ((タイガがゴーストポケモンを克服してくれて本当に良かった......。))

 タイガがムウマージに攻撃して倒したのを見て、ヒカリとヒルビはタイガが本当に
 克服したことにほっとした。





.......................





 「.....森を抜けたみたいね...。」

 ヒカリ達は森を抜け、草や木や岩したない広い場所に出た。

 「ここに......セラフィがいるの?」

 「そうだ。前に出会ったのもここら辺だった。闇のディアルガにこの場所を知られて
  いたら、セラフィはここからもう逃げているだろうが....まだ知られてないようで
  あれば、セラフィはきっとまだここにいるに違いない。」

 ヒルビが周りを見渡して聞き、ジェードはそれに答え、1歩前に出た。

 「おーい!セラフィ!俺だ!ジェードだ!いるなら、姿を現してくれ!」

 ジェードの大声が辺りに響くが、誰も返事をしない。

 「..........出て...来ないね....。やっぱり......闇のディアルガに追われて、
  逃げちゃったのかな.....。ま、まさか....もうディアルガに捕まっていたり
  したら........。」

 「捕まるですって?」

 「わっ!どこからか声が!?」

 ヒルビが誰の気配も感じず、最悪の可能性を言った時、突然声が聞こえた。ヒルビは
 驚いてすぐに周りを見渡した。しかし、姿が見えず、声も聞こえなかった。

 「......何も聞こえないね。さっきのは気のせいだったのかな...。」

 「うふふふ!気のせいじゃないわ!私が捕まるですって?失礼ね!私が捕まるなんて、
  絶対にあり得ないわ!うふふふ!」

 ヒルビが気のせいだったのかと呟いた時、再び声が聞こえ、ジェードの目の前に光が
 現れ、光が消えた時、ピンク色の小さなポケモンがいた。

 「お久しぶりです。ジェードさん。」

 「ああ、久しぶりだな。セラフィ。」

 そのポケモンはジェードに挨拶し、ジェードもそのポケモン、セラフィに挨拶した。

 「ええっ!?こ、これがセラフィ!?」

 「ちょっとー君ねー。私、貴方にこれ呼ばわりされる筋合いはないんだけど.....。」

 ヒルビが驚き、セラフィはヒルビにこれと呼ばれたことを怒っている様子だった。

 「あ...ああ。ごめん。時間を越える力を使うって聞いていたから、なんかものすごい
  ポケモンを想像していたんだけど.....。」

 「失礼ね。見た目で判断するのは良くないわよ。でも、許してあげる。だって、それっ
  て....私が思いの他可愛くて、特別ってことでしょ?うふふ!」

 ヒルビは素直に謝り、セラフィはその様子を見た後、そう言ってご機嫌の良い様子
 だった。

 「ま、まあ......。」

 ヒカリ達はその様子に少し戸惑った。

 「セラフィ。また力を貸してほしいんだ。」

 「分かってます。こうやって、ジェードさんがまたやってきたということは、過去の
  世界で失敗したから戻ってきたんでしょ?」

 「うっ.....まあ、そうだが......。」

 セラフィの言葉に、ジェードはいたいところを突かれて反論しなかった。事実だから。

 「しっかりしてくださいよね。私、もう嫌ですから。こんな暗い世界で生きて行くのは
  もう。ルーアも聞いたら、ため息を吐くわ。」

 「...悪いが、無駄口をたたいている暇はないんだ。ヤミラミに追われている。早く
  行かないと、ここにも迷惑をかけてしまう。」

 セラフィからルーアの話が出て、ジェードは話を変えようと別の話をした。

 「うふふ!フウヤさんもこちらに来て、色々と話を聞いてますので大丈夫ですよ。私、
  ヤミラミが来たってどうってことないですから。あ!それと、フウヤさんとその仲間
  の他に、サロファさんとエメリさんという方がいます。」

 「!!...その2匹は僕達の仲間です!」

 セラフィの話を聞き、ヒカリ達はサロファとエメリの無事にほっとした。

 「そう。良かったわ。フウヤさん達は先に時の回廊の方に向かっています。」

 ヒカリ達の様子を見て、セラフィは微笑んでいた。

 「ジェードさん。もし星の停止をくい止めることができて、この暗黒の世界を変わる
  なら、私も命を懸けて.....ジェードさんとフウヤさんに協力しますよ。」

 「そうか......。それで、時の回廊は?」

 セラフィはジェードに向けて覚悟を決めた目をして言い、ジェードはそれに頷き、別の
 ことを聞いた。

 「はい。近くにあります。この森を越えた高台の上に、時の回廊はあります。」

 「良かった。早く案内してくれ。」

 セラフィの答えにジェードは安心した様子を見せた。

 「はい!今回、時の回廊に渡るのはフウヤさん達とジェードさんと後ろの3匹も
  ですか?」

 「ああ。そうだ。」

 セラフィの確認にジェードが頷いた後、セラフィはヒルビとタイガとヒカリを見た。

 「あら?そっちの子は....?」

 「えっ?私?」

 セラフィがヒカリのことを凝視し、ヒカリはそれを不思議そうに見ていた。

 「.......いえ。まさかね...。」

 セラフィは誰にも聞こえないくらいの声でそう呟いた。

 「どうかしたのか?セラフィ。」

 「ううん。なんでもないです。では、皆さん。行きましょう。時の回廊へ。」

 ジェードは不信に思って尋ねると、セラフィは首を横に振り、案内した。

 「ねえ、ジェード。その.....時の回廊って何なの?」

 ヒルビは歩きながらさっきから気になっていたことを聞いた。

 「時の回廊はセラフィの時渡りに使われる回廊で、時空を越えることができる秘密の道
  だ。」

 「小さな時渡りは私だけでもいけるんだけど、時代を越えるような大きな時渡りは...
  時の回廊を使わないといけないの。」

 「じゃ、じゃあ。僕達もその回廊を通れば......。」

 「ああ。過去へ戻ることができる。」

 ジェードとセラフィの話を聞き、ヒルビは顔を輝かせ、ジェードはヒルビが言おうと
 していることを察して頷いた。

 「あ!見えてきました!あそこが高台に通じる入り口です。時の回廊はあそこの上に
  あります。」

 「よし。準備ができたら、すぐに出発しよう!」

 セラフィがダンジョンの入り口を指差して言うと、ジェードはすぐに準備をし始めた。

 「ねえねえ。ちょっと内緒話なんだけど.....ジェードさんって、実はすごくせっかち
  なの知ってた?急ぐのは分かるんだけど、もうちょっとゆっくりしてくれた方が、私
  も嬉しいんだけどなあ....。できるだけ長い時間一緒にいたいし......。」

 ((あっ...。))

 「確かに、せっかちだよね。」

 ヒカリ達が準備していると、セラフィが小声で話しかけてきた。セラフィの話を聞き、
 ヒカリとタイガは察し、気づかなかったヒルビは頷いていた。

 「あ....あ!そういう意味じゃないからね!私、特に何も思ってないからね!」

 ヒカリとタイガの反応で気づいたセラフィは慌てて弁解するが、ヒカリとタイガは
 あまりの必死さに苦笑いしていた。ちなみに、ヒルビは不思議そうにセラフィを見て
 いた。

 「準備はできたか?」

 「「「うん。」」」

 「わ、私も大丈夫です。」

 「よし。行くぞ。」

 ジェードの声にヒカリ達は頷き、セラフィは顔を真っ赤にしたまま頷いた。ジェードは
 その様子を気にせず先に進み、ヒカリ達はその後を追った。







グラシデア ( 2021/05/28(金) 18:41 )