悠久の風と輝く光 〜時の風と未来と宝石の光〜








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第5章 未来の世界
48話 タイガの克服と星の停止の真実
.......................




 最近......夢を見る.........。


 『ーーー!起きて!』

 『またここで寝ているの?』

 のどかな村の丘にある大きな木の下で眠る僕を起こそうとする2匹のポケモン。その
 ポケモン達の顔は分からないが、とても親しい友達だと思っている。そのポケモン達
 と穏やかな時間を過ごす僕。とても平和で、楽しかった日々......。




 僕は今、絶賛迷子だ。サロファとエメリといたがはぐれた。はぐれたというか、僕が
 勝手に暴走して、勝手に迷子になったということだ......。事実だから、誤魔化せ
 ない....。昔から何故か怖いものが苦手なんだよね...。ゴーストタイプのポケモンが
 苦手になった原因は知っているが、怖いものが苦手になった原因は分からない.....。
 義両親も何故か物心つく前から僕はそういうのを怖がると言っていた。僕はこれを
 なんとかしようとしたが、逆にゴーストタイプのポケモンがさらに怖くなった....。
 けど、さすがに暴走するのはまずいな......。

 「はあ...。」

 僕はため息を吐いてしまう。サロファは後ろにいない.....。エメリが気絶したまま
 だしな......。来た道を戻っていればサロファとエメリと合流できるかな....と
 僕はそう思って回れ右すると、どこからか戦っている音が聞こえた。僕はその音が
 聞こえた方に行き、おそるおそる近づいて顔を出して覗いた。そこには、ミカルゲと
 戦うヒカリとヒルビの姿が見えた。

 (ヒカリ!ヒルビ!......戦っている....加勢した方がいい、けど.......ミカルゲ
  .........ゴーストタイプのポケモンがいる.....。どうしよう......。)

 僕はヒカリとヒルビに加勢したいが、ミカルゲがいることに歯痒い気持ちになった。

 (ああ...!どうしよう....。どうしたら........。)

 『...まったく、ーーーはいつまで振るえているの?』

 『だって、苦手なものは苦手なんだよ!』

 僕が悩んでいると、声が聞こえてきた。その声は僕にとってどこかで聞いたことの
 ある声で、その記憶にある僕はその声と親しげだった。

 『まあまあ......。ーーー、それって...そう思い込んでいるから、できないん
  じゃない?』

 『思い込み?』

 『うん。これは苦手だと思っているから、克服できそうなものをできないのかも..。』

 もう一つ別の声が聞こえ、その声もまたどこかで聞いたことのある声だった。僕はその
 声の話を聞いて、考えている様子だった。

 『まあ。私達は苦手をそう強制して克服してほしいと思っていないから。』

 『うん。ーーーが自然と克服するのが私もーーーも良いと思っているよ。』

 考え込む僕にその2つの声はそう言って笑った。どこかで会ったはずの......とても
 親しかったはずの2匹.....いったい.........いや。今はそれよりも...その声が
 言っていたことは当たっているかもしれない.....。

 (.......思い込むな!ディアノさんの時、僕はさすがに気絶するのはと思って
  頑張って耐えれた.....。だから、相手は普通のポケモンだ!僕は苦手じゃない!
  ヒカリとヒルビの加勢をするんだ!)

 僕がそう思って前に走り出した瞬間、僕のタイガーアイのペンダントが光り出した。
 その光が走っているタイガを包み込み、光が修まると、そこにはルカリオの姿が
 あった。

 「...はどうだん!」

 タイガは突然のことに驚きながらも地面に向けて攻撃を放ち、煙が舞った。タイガは
 攻撃の威力に驚き、パワーアップしていることを確信した。

 (この隙にもう一度攻撃したい....!次は、もっと........。)

 タイガがそう思うと同時に再びタイガの体が光り始めた。光が修まると、ルカリオとは
 少し違う姿になり、さっきよりも力が強くなっていた。

 「ボーンラッシュ!」

 「グワッ!?」

 僕は攻撃をミカルゲに当て、後ろに飛んだ後、ヒカリとヒルビの攻撃がミカルゲに
 当たり、地響きが起きて警戒したが、ミカルゲが逃げていくのを見た。

 「はあ.....。」

 「ヒルビ!大丈夫?」

 僕が安心して大きく息を吐くと、僕の姿は元に戻った。ヒカリとヒルビが僕を心配して
 駆け寄った。そういえば、あの2つの声は誰だろう?.........まあ。今はお互いが
 無事だったことを素直に喜ぼう。




.........................





 「......ということ。」

 「タイガ....。」

 「でも、克服できたのは良かったよ。」

 タイガは自分がゴーストに驚いてサロファ達とはぐれたところでヒカリとヒルビに再会
 したことを素直に話し、ヒルビはタイガに少し呆れ、ヒカリはゴーストポケモンの克服
 をお祝いし、タイガの慰めもした。

 「それにしても...なんだったんだろう.....あいつ......。」

 「急に弱気になって、逃げただけだ....。」

 「ジェード!」

 ヒルビがミカルゲのことを思い出してそう呟くと、ジェードが弱った状態で言った。
 ヒルビはジェードに近寄り、タイガはどうしてジェードが...と聞きたい様子だった
 が、ヒカリに後で話すと小声で言われ、渋々ヒカリと一緒にジェードのところに
 行った。

 「だ、大丈夫?」

 「ああ......大丈夫だ...。」

 「立てますか?」

 「....なんとかな......。うう.....。」

 ヒルビとヒカリはジェードを心配するが、ジェードは大丈夫だと言って、ゆっくり立ち
 上がった。

 「しかし...手強い奴だった。俺の鼻の穴から潜り込んで、身体を乗っ取り
  やがった...。」

 ジェードは小声でミカルゲのことを呟いていた。

 「あいつ、悪い奴だったんだね。」

 「いや。そうじゃない。おそらく、ミカルゲは自分の縄張りが荒らされたんで怒った
  だけだ。怒ると見境がなくなるし、恐ろしい奴だったが、さっきのように、一旦旗色
  が悪くなると逃げていったように、本当は臆病なポケモンなんだ。本来はとても良い
  ポケモンなのに、世界が闇に包まれているせいで心も歪む.....。未来にはそんな
  ポケモンがほとんどなんだ。」

 「.....そっかあ...。この世界のせいで良いポケモンも悪くなるのって、なんか
  悲しいよね....。」

 ヒルビの言葉をジェードは否定し、ジェードの話を聞いてヒルビは暗い顔をした。

 「...ねえ、ジェード。.......正直言うと、もう何がなんだか分からないんだよ。
  だから、少しでも情報がほしいんだ。それに、ジェードのことをまだ疑っている
  ところもあるけど....でも、ジェードの言うこと納得がいくっていうか、なんか
  筋が通っている気がするんだ。だから、お願い!ジェードの知っていることを聞か
  せて!未来のことや...何故ジェードが僕達の世界に来たのかも!」

 「俺の言うことが全てデタラメだったらどうする?」

 「大丈夫。鵜呑みにはしない。自分で判断するよ。」

 「........分かった。ついて来い。」

 ヒルビは意を決して話し出し、ジェードの質問にもすぐに答えた。ジェードは少し考え
 少し離れて歩き、ヒカリ達はジェードの後ろについて言った。





...........................





 「よし。ここがいい。ここなら、ヤミラミ達も見つけにくいだろう。」

 岩影になっている場所でジェードが辺りを見渡した。近くで誰もいないのを確認し、
 ジェードはヒカリ達の方を見た。

 「教えてよ。ジェード。未来では......何故星の停止が起こったの?」

 「星の停止が起きた原因.....それは、お前達が住んでいた過去の世界で、ディアルガ
  が司る....時限の塔が壊れたからだ。」

 「ディ、ディアルガ?何なの?それは?」

 「時間を操る伝説のポケモンだ。ディアルガは時限の塔で時を守っていた。しかし、
  時限の塔が壊れたのをきっかけに、少しずつ時が壊れ始め、ついには星の停止を
  むかえたのだ。」

 ヒルビに質問され、ジェードは語り始めた。時限の塔やディアルガのこと......
 ディアノの話では出て来なかった言葉だ。

 「.......ディアルガはどうなったのですか?」

 「ディアルガは時が壊れた影響で暴走した。そして、星の停止をむかえた未来世界の
  ディアルガに至っては、ほとんど意識もなく、今は暗黒に支配されている。もはや、
  あれをディアルガとは言えないだろう。全く別の世界.....そう....『闇の
  ディアルガ』というべき存在になっているのだ。」

 「......そうなんだ...。ううっ.....。」

 ヒカリの質問にジェードは答え、ヒルビはそれを聞いてディアルガのことを思い、暗い
 顔をした。

 「『闇のディアルガ』は感情を失ったまま、ただ歴史が変わるのを防ごうと働く。
  だから、俺はディアルガに狙われているのだ。俺は歴史を変えるため....つまり、
  星の停止を防ぐために......ある人のために.....未来からお前達の世界へタイム
  スリップしたのだから。」

 「「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」」

 ジェードの話にヒルビとタイガが驚いた。ヒカリも内心ではかなり驚いていた。

 「ジェードが星の停止を防ぐために、僕達の世界に来ただってえぇ!?」

 「......私達が聞いていた話と全く逆ですね....。」

 「ジェードは星の停止を起こすために未来から来たと聞いていたけど.......それ
  なら、ジェードはどうして時の歯車を盗んでいたの?」

 「冗談じゃない!俺が時の歯車を集めていたのは、星の停止を防ぐのに必要だったから
  だ。時限の塔に時の歯車を納めれば、壊れかけた時限の塔も元に戻る。また、時の
  歯車を取ると、確かにその地域は時間が停止するが、それも一時的なもので、時限
  の塔に時の歯車を納めさえすれば、また元に戻るのだ。」

 ヒルビは混乱し、ヒカリはディアノの話との違いを比べ、タイガは質問すると、
 ジェードはそれを否定し、話し始めた。ヒルビの顔がまた暗くなっていった。

 「あの人って誰のこと?フウヤっていうツタージャがいたけど、ジェードの仲間なの?
  フウヤというポケモンがあの人なの?」

 「いや。違う。確かにフウヤは俺の仲間で未来世界の者だが、あの人とは違う。」

 「それじゃ、あの人って誰?」

 ヒカリは気になっていたことを聞き、ジェードはあの人というポケモンに関して
 否定し、今度はヒルビが聞いた。

 「お前達も知っている。」

 「「「えっ?」」」

 ジェードの言葉にヒカリ達は首を傾げた。誰も心当たりがない様子だ。

 「...ルーアさんだ。と言っても、この未来世界のルーアさんだ。」

 「へっ?」

 心当たりのないヒカリ達の様子を見て、ジェードは静かにそう言い、それを聞いた誰か
 が間抜けな声を上げた。

 「「「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」」」

 ヒカリ達は大声で驚いた。これにはヒカリも驚いた。

 「えっ!?ルーア?」

 「そうだ...。時限の塔が別の空間にあるから、ルーアさん達アルセウスの使いも星の
  停止に気づけなかった。星の停止が起き、原因を調べて時限の塔が壊れたことを
  知ったルーアさんを含めたアルセウスの使いは時限の塔に向かったんだが、闇の
  ディアルガに倒され、ルーアさんを残して全滅した。」

 「「「えっ!?」」」

 ヒカリ達が困惑しているが、ジェードは話を続けた。ジェードの話を聞き、ヒカリ達は
 さらに驚いた。

 (ルーア以外全滅って........私も負けたということね...。今回は色々とまずい!)

 ヒカリは闇のディアルガに負けると知り、顔が少し真っ青になった。

 「アルセウスはその場に来ることはできなく、ルーアさん1匹でディアルガと戦うしか
  なかった.....。状況が悪く、ルーアさんはそこから逃げ、生き延びることができ
  た......。生き延びたルーアさんは時限の塔を調べるのではなく、別の方法を探す
  ことにした.......。そして、時限の塔が壊れ、時間が停止したこと、完全に壊れる
  前に時の歯車を時限の納めることができれば、時限の塔を元に戻せることを知った
  ルーアさんは星の停止が起こる前に戻り、歴史を変えることを決意した....。
  しかし、過去には過去のルーアさんがいるため、もし鉢合わせてしまうと悪影響が
  あるから、ルーアさん自身が行くことはできなかった...。そんな時に俺達とルーア
  さんは出会った。」

 ジェードはルーアとの出会いを思い出したようで、少し顔が緩んでいる。ルーアのこと
 をそれほど信頼し、尊敬していることがヒカリ達にはよく分かった。

 「この世界でいつ死ぬか分からない俺達をルーアさんが助けてくれた.....。ルーア
  さんは俺達に何を調べているのか....星の停止が起きる前の世界はどんな世界
  だったか...どんなにすばらしかったかとか他にも色々な知識を教えてもらった
  ...。俺達はルーアさんの役に立ちたいと考え、ルーアさんに代わりに過去に行くと
  志願した.....。ルーアさんは本当にいいのか、すごい危険なんだと言うが、俺達は
  その決意を曲げず、最後にルーアさんが折れた......。それから、俺達とルーア
  さんと時の歯車の場所や過去に行く方法などを考えて調べあげ、調査した...。準備
  ができ、ルーアさんは俺達の成功を祈っている.....。俺はルーアさんと約束して
  いるんだ...。この世界と過去の世界は全く違かった......。星の停止が起きる前
  の世界は今とは違って明るく、光り輝いていた。吹く風も揺れる葉の音も水の音も
  心地良かった。ポケモン達も笑顔だった......。この世界と過去の世界でいった
  ら、私は過去の世界が良い....捲き込んで悪いが、星の停止を防いでほしい。...
  と約束した......。俺もあの世界に行って同じことを思った....。だから、俺は
  絶対に星の停止を起こさせやしない!」

 ジェードの覚悟と強い意思にヒカリ達は黙った。

 「......じゃあ、ディアノさんが言っていたことは嘘なんだね?.....ジェードは
  未来で指名手配中の悪者だったとか...ジェードが未来から逃げ延びるために、過去
  の世界へやって来たとかの話は.......全部デタラメだっていうの?」

 「あいつ、そんなことを吹き込んでいたのか。当たり前だ。ディアノは俺達を捕らえる
  べく、闇のディアルガが未来から送り込んだ刺客だからな。」

 「「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」」

 ヒルビの質問に、ジェードはディアノがそれほど悪役にさせようとしていたのかと内心
 で少し呆れながらそう言い、その言葉にヒルビとタイガが驚き、ヒカリはどこか納得
 した感じだった。

 「ディアノさんが......刺客だって!!?」

 ヒルビは信じられずにジェードに聞き返した。

 「そうだ。さっきも言ったように、闇のディアルガは歴史を変えようとする者がいる
  と、それを防ごうと働く。だから、俺がタイムスリップしたことを知ると、ディアノ
  を刺客として、その後を追わせたんだ。そして.......闇のディアルガはおそらく
  ルーアさんのことも狙っている。」

 「えっ?......ああ!それで.....。」

 「現に、ルーアさんを過去で襲っただろう...。闇のディアルガにとって、星の停止を
  防ごうとするルーアさんもまた邪魔な存在だ。俺達はともかく、ルーアさんは勝敗は
  関係なく、闇のディアルガと互角に戦うことができるうえに、絶対に捕まらない。
  それに、ルーアさんが俺達に教えたことだ。俺達を処刑してもルーアさんがいる
  から、同じことが起きる。だから、邪魔にならないうちに過去のルーアさんを排除
  しようとしたんだ。お前達はそれに捲き込まれたんだ。」

 ジェードのルーアを狙っていることにヒカリは驚いたが、すぐに納得した。ディアノが
 言っていたことと辻褄があうからだ。

 「........ディアノさんが......そんな.....。」

 「お前達には信じられないことだが....。」

 「全然信じられないよ!だって、あのディアノさんだよ!?確かに、今のディアノさんは
  よく分からないけど......でも、僕が尊敬していたあのディアノさんが...そんな
  .....。やっぱり....信じられないよ......。」

 ヒルビはとても信じられない様子だった。目に涙が浮かんでいる。

 (確かに信じられないことだ思う...。けど、この未来世界でのこれまで起こったこと
  を振り返ると、ジェードの言っていることは筋が通っているし、納得がいく。タイガ
  もそうだと分かっていると思うし、そして....ヒルビも本当は心のどこかで分かっ
  ている......。分かっているからこそ、受け入れたくない........。でも、それを
  受け止めないと.....!)

 「ヒルビ。......私はジェードの言っていることを信じる...。」

 「ヒカリ!」

 ヒカリはヒルビを見てそう思い、意を決して言った。

 「私はルーアから聞いて覚悟していたし、ディアノのことを疑っていたから、ヒルビと
  は違うけど、そうじゃなくてもディアノの言っていたことは嘘だと思う....。今、
  見ているこの状況......ジェードが言っていることの方が筋が通っているし、嘘
  じゃないと思う。それに、はっきり言えるでしょう。この暗黒の未来世界では星が
  停止しているっていうこと...。これは本当のことなんだから。」

 「僕もヒカリと同じだ。ヒルビも本当は気づいているんだよね?信じたくないと思う
  けど...しっかり事実を受け止めないと......。」

 「ヒカリ......。タイガ......。」

 ヒカリとタイガがジェードの言っていることを信じると言い、ヒルビは少し迷いが
 あった。

 「.....ルーアさんはやはり気づいていたのか?」

 ヒカリの話を聞き、ジェードが聞いた。

 「未来世界のことは確証がなくて予想だけど、時の歯車がなくなることで星の停止が
  起きることやジェードが星の停止を起こそうとしていることは嘘だとは気づいて
  いたよ。」

 「.......そうか....。やはり...さすが、ルーアさんだな.....。」

 「私もそう思う。」

 ヒカリがルーアが言っていたことを簡潔に話すと、ジェードはルーアに尊敬の意を
 抱き、ヒカリはそれに同意した。

 「........じゃあ...。僕はどうすればいいの!?」

 ヒカリ達の話を聞き、ヒルビはますます混乱して聞いた。

 「どうすればいいだと。さっき、お前は言っただろう。自分で判断すると。何を信じて
  いいか分からないこそ、話を鵜呑みにせず、自分で考えると言っただろう。」

 「ううっ......。」

 ヒルビの言葉にジェードはそう言い返し、ヒルビは図星をつかれて黙った。

 「苦しい時だからこそ、気持ちを強く持つのだ。後は自分達で考えて行動してみろ。」

 「ジェードはこれからどうするの?」

 ジェードはそう言ってヒルビに背を向け、タイガはジェードに聞いた。

 「俺はまた星の停止をくい止めるために過去に行く。そして、そのために.....
  セラフィを探す。」

 「セ、セラフィ?」

 「そうだ。俺について来てもいいし、ついて来なくてもいい。お前達はお前達で自分の
  道を決めろ。」

 ジェードの話にヒカリ達は顔を見合わせた。ヒカリとタイガはヒルビに向けて頷いた。

 「うん.....。分かっているよ......。ジェードの言う通りだよね...。こんな時
  だからこそ....気持ちを強く持たなくちゃ......。」

 ヒルビはそう言ってヒカリとタイガに頷き、ジェードの方を向いた。

 「...ついて行くよ。」

 「そうか....。行くぞ。」

 ヒルビははっきりと言い、ジェードはそう言って歩き出した。

 「ヒカリ。タイガ。.....絶対に帰ろうね!自分達の世界へ!」

 「「うん!」」

 ヒルビの声にヒカリとタイガは頷き、ヒカリ達はジェードの後を追った。




.......................



 一方、その頃.........


 「グルルルルルルルルルル......。」

 「ディアルガ様。あの者達を捕らえる手筈は全て整っております。そして、時が来た
  ら、ディアルガ様のお力も必要になるかと....。」

 真っ暗な空間から現れた模様と赤い光、闇のディアルガにディアノはそう言った。

 「グルルルルルルルルルル.....。」

 「.......かしこまりました。では、予定通りに。」

 闇のディアルガの唸り声を聞き、ディアノはすぐにその場を去った。


 新たな波乱が近づいている.........。







グラシデア ( 2021/05/16(日) 19:17 )