悠久の風と輝く光 〜時の風と未来と宝石の光〜








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第4章 謎の探検家
41話 水晶の洞窟の3つの大きな水晶
 「僕達も行こうよ!水晶の洞窟へ!」

 「だが、待て!準備はできていないんだ。焦っても仕方がないだろう!」

 一直線に水晶の洞窟に向かおうとするヒルビをサロファが止め、ヒカリ達はトレジャー
 タウンに来た。オレンのみが少なくなってきたからだ。

 「お店で買い物すれば、すぐに行けるから。もう少しの辛抱だよ。」

 タイガがヒルビにそう言っていると、目的の店が見えてきた。

 「あれ?お店の前に見馴れないポケモンがいるわね?」

 エメリに言われて見ると、お店の前にこの近くには見馴れないポケモンが3匹いた。
 ちょうど買い物し終わったところのようで、店から離れた。その3匹は、身体が
 オレンジ色の少しぽっちゃりとした体型で、四足で耳が黒くて長く、尻尾が赤くて
 丸く、鼻が大きくて、鼻の近くの毛が黄色のポケモンと、白くて丸くそばかすがある顔
 に、青い耳と茶色の丸い鼻、水色の身体と青色の尻尾、お腹にホタテがついたポケモン
 と、身体が細長く緑色で、草のような尻尾で、目付きが鋭いポケモンだった。

 (......確か、ポカブとミジュマルとツタージャだったような...。)

 ヒカリはその3匹を見てそう思いながら、その3匹とすれ違うと、その3匹のうち、
 ツタージャと目が合った。しばらくすると、ツタージャの方が目を剃らした。

 「.........どうしたの?」

 「...なんでもない。」

 3匹はそんな会話をしながら通り過ぎていった。

 「なんなのかしら?」

 「さあ....。」

 エメリとヒカリはその3匹の後ろ姿を見ながらお店に向かった。

 「いらっしゃい〜!」

 「オレンのみをください。」

 「いくつありますか?」

 買い物をサロファとタイガに任せて、ヒカリは何もしないでいると、突然後ろから軽く
 誰かに叩かれた。ヒカリが驚いて後ろを向くと、エスラとメイトがいた。

 「エスラさん!メイトさん!お久しぶりです。」

 「久しぶりね。ヒカリちゃん。それと、ヒカリちゃんの仲間の......」

 「ヒルビです!」

 「エメリよ。」

 「タイガです。」

 「サロファだ。」

 ヒカリがエスラに挨拶し、エスラも挨拶し、メイトは軽く会釈した。ヒカリとエスラの
 会話で気づき、ヒルビ達も挨拶した。

 「ヒカリちゃん達は買い物?」

 「そうです。エスラさんもですか?」

 「そうよ。色々なところに行ったから、道具が少なくなってきちゃって.....。」

 「ほぼお前のせいだろう。」

 ヒカリとエスラが笑って会話していると、メイトがそう呟き、エスラの尻尾で頭を
 叩かれた。

 「エスラさん達は何をしているのですか?」

 「....簡単に言うと、環境調査のようなものだ。俺達はあちこち色々な場所を旅して
  まわっている。」

 「そうなんですか!」

 タイガの質問にメイトが答え、ヒルビが色々な場所を旅したという言葉に目を
 輝かした。

 「ヒカリちゃん達はこれからどこかに行くの?」

 「そうです。...あ!すみません。そろそろ出発しないと...。」

 「あら。ごめんなさい。頑張ってね!」

 「はい!」

 エスラの質問でヒカリは水晶の洞窟のことを思い出し、エスラに謝ると、エスラは笑顔
 で言い、ヒカリはそれに応えるように元気良く返事し、走り出した。エスラは走って
 いくヒカリ達の後ろ姿に手を振った。





.............................





 「ここが水晶の洞窟だね。」

 「この洞窟のどこかに、アグノムの湖につながる道があるはずだよ。」

 水晶の洞窟の入口を覗きながらヒルビとタイガはそう話していた。

 「...と言っても、いちいち調べていたんじゃキリがないから、行けるところまで行く
  ことにするのはどうか?」

 「それいいと思う。」

 「それなら、さっさと行きましょう!」

 「よし!頑張ろう!」

 サロファの話にヒカリが賛成し、その会話を聞いたエメリが張りきり出して、洞窟に
 入っていき、ヒルビとタイガも続いて入り、その後をため息を吐くサロファと苦笑い
 するヒカリがついて行った。




.......................




 「ぎゃあああああああああああ!?」

 「エメリ!ヒルビを抑えろ!」

 「分かっているわよ!」

 何が起こっているかというと......この水晶の洞窟にはハブネークがいて、それを
 ヒルビが見て、暴れ始めてしまったのだ。それを止めるため、エメリがヒルビをつるの
 ムチで抑えているということだ。何故エメリが止めているのかというと、つるのムチで
 抑える方が暴れ続けるヒルビを抑えられるからという理由だ。それと、もう一つ理由が
 あり、それは..........

 「サロファ!ミノマダムが来た。エメリがヒルビの相手をしているうちに早く....。」

 「分かった。」

 ヒカリの言葉にすぐ反応し、サロファが動いた。どうやら、水晶の洞窟にはミノマダム
 もいるらしく、ミノマダムに気づいたらエメリも暴れ出すので、エメリがヒルビの方を
 向いている間に気づかれずに倒しているのだ。ヒカリ達はジュプトルの件の他にそれも
 あり、早く洞窟の奥に進んでいった。




........................




 「ここが.......洞窟の一番下なのかな...。」

 「そうだと思うよ。」

 洞窟内と違う広い場所に出て、ヒルビは洞窟を抜けたことに気づき、落ち着いて周りを
 見渡していた。

 「あ!あそこに!」

 大声を上げたヒルビが指さすと、大きな3つの水晶があった。

 「ここに水晶が3つある!」

 「それぞれ色が違うみたいだね。他の水晶とは明らかに違う感じがする。」

 ヒルビは水晶に目を輝かせ、隣でタイガが水晶を見ていた。

 「ここに来るまで特に変わった場所もなかったから、やっぱりこれかな。」

 「だろうな.....。何故これを見過ごしたんだ......。」

 ヒカリが呟くと、サロファは先にここを調査したマック達を思い浮かべ、ため息を吐き
 ながらそう言った。

 「この水晶に、何か秘密が隠されているんじゃないかな!?」

 「はあ...。そのことを話しているんだ.....。」

 ヒルビの言葉にサロファはさらに大きなため息を吐いた。ヒカリはそれに苦笑い
 しながら水晶を見つめた。

 (カルサのいた湖の時はグラードンの石像に秘密があって、エルサのいた湖の時も流砂
  の中から湖につながっていた....。ここがもしアルサのいる湖につながっているの
  なら、あの2つの場所と同じように、ここにも何か秘密があるはずだ...。)

 「わわっ!?」

 ヒカリが考え込んでいると、ヒルビの驚いた声が聞こえ、ヒルビの方を見た。

 「この水晶、触ると色が変わるよ!?」

 ヒルビがそう言って水晶に触れると、その水晶の色が変わった。

 「こっちの水晶も色が変わるわ!?」

 「...もしかしたら、これが秘密を解く謎に関係あるかもしれないね....。」

 エメリが他の水晶に触れると、その水晶の色も変わった。タイガがそれを見て近づき
 ながらそう言った。ヒカリも他の水晶に触れると、その水晶の色も変わった。

 (確かに触ると変化する。しかも、いろんな色に変わる。色は赤、オレンジ、黄色、
  緑、青、紫ね......。3つの水晶.....。そして、変化する色....。これが
  いったい何を意味するのかな........。)

 ヒカリは水晶に触れて、変わっていく色を見ながら考えていると、眩暈が起き始めた。

 (.........始まった...。時空の叫びだ.....。)

 眩暈が強くなり、ヒカリの目の前が真っ暗になり、一筋の閃光が通った。

 『なるほど。知識、感情、意志という3つの精神のうち、アグノムは意志を司る神
  だ。意志とは成し遂げようとする心。』

 『つまり、意志の色を......水晶の色を一つに合わせれば、道は開くということ
  なのか...。』

 男性の声を聞き、少年の声が納得したように言った。

 『問題はアグノムの心の色だな。』

 『アルサは水晶の湖に住んでいる。それなら、アルサの心もまた水晶のように...。』

 『透き通っている.....。いや。冷たい水のような色.....。』

 『正解よ。』

 男性の声に女性がそう言い、少女の声が答えた。その答えを聞き、女性は少し微笑んだ
 ような声で肯定し、そこで元に戻った。

 (...い、今のは......今まで見た物と違う?.....声しか聞こえなかったし......
  いや。そうじゃない。....確か、前にも一度あったはず...。あれは.....そうよ!
  グラードンの石像の時よ!あの時も声だけ聞こえたはず....。でも、どうしてあの時
  と今回だけ声のみ聞こえたのかな......。それに、あの女性の声.......ルーアに
  似ている.....。)

 「ん?どうした?」

 ヒカリが声のことを考えていると、サロファが声をかけてきた。サロファの声を聞き、
 今はそれよりもすることがあるとヒカリは思い、ヒルビ達の方を向いた。

 「もしかしたら....分かるかもしれない。」

 「もしかして、時空の叫びが聞こえたの?」

 「うん。」

 「何か掴めたようね。」

 「分かった。ここはヒカリに任せるよ。」

 ヒカリの話にタイガがそう聞き、ヒカリは頷いた。ヒカリの様子を見て、ヒルビ達は
 ヒカリに任せることにし、水晶から離れた。

 (あの男性と少年と女性の声によると.......確か.....アルサは意志を司る......
  つまり、意志の色を一つに合わせればって言っていたよね....。意志の色を一つに
  ...つまりは3つの水晶の色を一つに合わせればいいのね......。後は何色にする
  か...。意志の色......アルサの心の色....。アルサは水晶の湖に住んでいる
  から、アルサの心もまた、水晶のように透き通っている、あるいは冷たい水のような
  色......つまり、青っていうことね...。)

 ヒカリは時空の叫びの声を思い出しながら考え、水晶に触れて青色に変えた。3つの
 水晶が全て青色に変わった瞬間、3つの水晶が光り、地面が揺れ始めた。

 「わわっ!地響きが!」

 離れたところにいるヒルビ達が驚いている間に、3つの水晶の上の部分から光が出て、
 その3つの光線が中心に集まった。

 「ヒカリ!危ない!」

 「そこから避難して!」

 タイガとエメリに言われ、ヒカリはヒルビ達のところに避難し、振り向くと、大きな
 水晶が地面から競り上がってきた。大きな水晶には中に入れそうな入口があった。

 「わわっ!!こ、これは!?」

 「真ん中に大きな裂け目がある.....。」

 「あそこから先に行けそうだな。アグノムの湖にも通じてそうだ。」

 「やっぱり。さっきの3つの水晶は時の歯車へ導くものだったのね....。」

 ヒルビが驚き、タイガとサロファとエメリは入口らしき裂け目を見てそう言った。

 「行こう!アグノムのいる湖を目指して!」

 ヒルビの声にヒカリ達は頷き、先に進んでいった。







グラシデア ( 2021/03/19(金) 18:08 )