間章
32話 物語は加速する
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 その後、エメリもサロファも月に一回は手紙を書くと約束し、エメリの母もサロファの
 父も兄も帰っていった。子どもを頼むとエメリとサロファの家族達に言われた時、
 ヒカリもルーアもヒルビもタイガもモルガも他の弟子達も、快く承認し、頷いた。
 こうして、慌ただしかった家族騒動も終わりを迎えた。



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 「流石です、姉さん。」

 「ふふっ。こういうことは、ルーアにはまだ難しいわ。」

 事が一件落着し、ルーアはライドとルイとギルドの外にいた。久しぶりに会うんだ
 から、お兄さんとお姉さんと一緒にいたらとヒカリ達もギルドの皆もそう言い、ルーア
 は全員が夕飯の時間に外に出ることを許された。木の実を食べながら、ルーアとルイは
 楽しそうに話していた。

 「ルーアの成長も速かったわね....。そういえば、ライドもルーアもあまり世話を
  焼かなかったけど、あの時のライドとルーアの喧嘩は凄かったわね...。」

 「ははは......。」

 ルイの思い出話に、ルーアは苦笑いした。ちなみに、ライドは、先程アルセウスから
 連絡がきて、話し合っていた。

 「.....分かりました。...姉さん、仕事です。」

 ライドはアルセウスに返事をすると、ルイにそう言った。

 「何かあったの?」

 「実は.........」

 ルイが真剣な顔になり、ライドに聞き、ライドは説明し始めた。



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 その頃、ヒカリ達は......。

 「みなさーん!晩ごはんの時間ですよーー♪」

 ルリラの声が聞こえ、全員食堂に向かった。

 「いやー、色々あったね...。」

 「大半はヒルビとタイガのせいだけどね。」

 「エメリだって家出したじゃん。」

 「まあまあ。」

 「もうすぐ夕飯だから止めろ。」

 「ははは.....。」

 食堂に向かっている最中、ヒルビとエメリが言い合いを始め、タイガが落ち着かせよう
 とし、サロファは呆れながらそう言い、ヒカリはその様子を見て、苦笑いしていた。

 「わあーーーーーーーーー!!いたっだっきまぁー........」

 「みんな!ちょっと待った〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 全員が食堂に着き、夕飯を食べようとした時、リコラが全員を制止した。

 「えー。今日は夕飯を食べる前に、みんなに伝えたいことがある。」

 「ヘイヘイヘーーーーイ!」

 「なんだよ!早く食べさせろよ!」

 「静粛に!静粛に!」

 リコラの言葉に、全員が不満を隠さず騒ぎ出し、リコラが翼を羽ばたかし、静かに
 させた。

 「えー。これは、先程入った情報だが.....ときのはぐるまがまた盗まれたらしい。」

 「「「「「「「「「「「「「ええ〜〜〜〜〜〜!?」」」」」」」」」」」」」

 リコラの衝撃発言に、全員が驚きの声を上げた。

 「ときのはぐるまが!?」

 「また盗まれただってえ〜〜〜!?」

 「それって....もしかして...きりのみずうみの?」

 全員が騒ぎ出すなか、マックがリコラに聞いた。

 「いや、違う。盗まれたときのはぐるまはきりのみずうみの物ではなく、どうやら別の
  物らしい。しかし、盗まれたときのはぐるまは、これで2つ目だ。これ以上盗まれる
  のは非常に良くない。みんなのことは信用しているが、でも念を押しておく。遠征
  でみんなが見たことについては、絶対誰にも言わないように!分かったな!!」

 リコラはマックの言ったことを否定し、全員にきりのみずうみのことを言わないように
 と念押した。

 「当たり前だ!」

 「言うわけないだろうが!うがーーーーーーーーーー!」

 「カルサとの約束を破るわけにはいかないですわ!」

 リコラの言葉に、弟子達が大声で言った。

 「分かった、分かった!みんな、静粛に!それではお待たせしたな。改めて、せーの!」

 「「「「「「「「「「「「「「いっただっきまーーす!!」」」」」」」」」」」」」」

 リコラは騒ぎ出した全員を落ち着かせ、全員はいただきますと言った後、勢いよく
 食べ始めた。

 「またときのはぐるまが盗まれたって言ってたね。これで二つ目かあ。誰が盗んでいる
  か分からないけど、ときのはぐるまを集めて、どうするつもりなんだろうね?」

 「分からないけど、何かするつもりじゃないかしら?」

 ヒルビが食べながら言った質問に、エメリが適当に答えた。

 (確かに分からないけど....。でも、きりのみずうみで初めてときのはぐるまを見た
  時、なんで私は、あんなにもドキドキしたんだろう......。いや。それは、考え
  過ぎかな。私がときのはぐるまを見て胸騒ぎすることと、ときのはぐるまが盗まれた
  こととは、あまりにも関係ないよね。)

 ヒルビとエメリの会話を聞いて、ヒカリはきりのみずうみで見たときのはぐるまのこと
 を思い出し、考え込んだ。

 「...なんか今思うとさあ.....。きりのみずうみまで遠征に行ったのがもう随分昔の
  ことのように感じるよね。あそこの景色は綺麗だったなあ。」

 「まるで夢のようだったよね。カルサはどうしているんだろうね。」

 「いつも通りあの時の景色を見ているんじゃないか?」

 ヒルビがきりのみずうみのことを思い浮かべてそう呟き、タイガはヒルビの言ったこと
 に同意し、カルサのことを考え、サロファの言葉に、ヒカリはその様子を思い浮かべ、
 笑顔で笑った。





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 「まさか、ときのはぐるまを二つも........。」

 「私達はカルサのところに行ってくるわ。見つかるとは思わないけど、念のために、
  ね......。ルーアも来たいかもしれないけどだめよ。理由は分かるでしょう?下手に
  動かない方がいいわ。」

 一方、ルーアもルイ達からときのはぐるまが二つも盗まれたことを聞き、動揺している
 と、ルイがルーアを落ち着かせ、しっかりと説明した。

 「.....分かりました。姉さんも兄さんも頑張ってください。」

 「ええ、行ってくるわ。」

 「ああ、行ってくる。」

 ルーアは渋々身を引き、ルイとライドを見送った。ルイとライドはルーアに一言ずつ
 言った後、テレポートでその場からきりのみずうみに移動した。

 「....何事もないといいんだけど.......。カルサは大丈夫かな....。」

 残されたルーアは、カルサとときのはぐるまのことに不安を感じ、きりのみずうみの
 ある方向を見た。きりのみずうみで、その不安が的中してしまったことを知らぬ
 まま........。





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 「......あの子達が言うから信用しましたが、やっぱり信用するべきではなかったの
  ですね。」

 カルサの目の前で、自身が作ったグラードンの幻影が倒れていった。

 「こんなにも早く....別のポケモンがやってくるとは...。しかも、今度は本当に
  .....本当にときのはぐるまを盗みに来るとは!」

 グラードンの幻影が消え、カルサは目の前にいるポケモンを睨み、声を荒らげた。

 「やはりあの時......あの者達の記憶は消しておくべきでした。.....いや。あの子
  達なら、こんなことが起こる前に何か手を打つはず.......」

 「........なんのことか分からんが、違う。俺は誰かに聞いてこの場所に来たわけ
  じゃない。俺はここにときのはぐるまがあることを前から知っていたのだ。...悪い
  が、もらっていくぞ!3つ目のときのはぐるまを!」

 カルサの呟き声を聞き、そのポケモンはカルサにそう答え、宣言した後、カルサに襲い
 かかった。







グラシデア ( 2020/05/25(月) 00:18 )