第三章 再会と遠征
24話 グラードン 後編
 「でんこうせっか。」

 「はっけい。」

 グラードンの攻撃をかわした後、ヒカリが後ろから、タイガが前から近づいた。

 「マッドショット。」

 グラードンは、それに気づき、前後に技を放った。ヒカリとタイガは、動揺せずに
 グラードンの腕が届きそうなところまで近づき、グラードンが腕を下ろしたのと同時
 に、グラードンの腕の狙いを少しずらすくらいのタイミングで、少し触れてかわした。

 「今よ!」

 「りゅうのいかり。」
 
 「はっぱカッター。」

 「みずのはどう。」

 「マジカルリーフ。」

ヒカリの合図と共に、ヒルビ達は、一斉に攻撃を放った。

 「げんしのちから。」

 グラードンは、咄嗟に攻撃を放ったが、ヒルビ達の攻撃を防ぎきることができず、何発
 か喰らった。しかし、グラードンは、そんなことを気にぜず、再び攻撃を放った。
 ヒカリ達は、その攻撃をかわしながら近づいたり、離れたりした。

 「でんこうせっか。.....アイアンテール。」

 「はどうだん。」

 ヒカリは、接近攻撃で注意を引いていた。ヒカリの電気タイプの攻撃は、地面タイプの
 グラードンには効かないうえに、ヒカリはすばやいため、囮のような役割をしていた。
 タイガは、接近攻撃が主だが、はどうだんなどの中距離の攻撃も使えるので、ヒカリの
 サポートをした。

 「もう一回、りゅうのいかり。」

 「つるのムチ。はっぱカッター。」

 「ねっとう。」

 「シャドーボール。こごえるかぜ。」

 ヒルビは、炎が地面には効果はいまひとつなので、ドラコンタイプの攻撃を放った。
 エメリは、グラードンと相性が良いので、効果抜群の技を使ったり、つるのムチで動き
 を止め、ヒカリ達のサポートをしたりした。サロファも相性が良いので、近づいたり
 遠ざかっていったりして、攻撃してきた。ルーアは、遠距離からの攻撃が主なので、
 ヒカリ達全員のサポートやグラードンの効果抜群の攻撃をしたり、指示をしたりした。
 グラードンは、それらの攻撃を受けたが、多少効いているが、致命傷を受けて
 いなかった。

 「げんしのちから。マッドショット。げんしのちから。」

 グラードンは、ヒカリ達に向けて、攻撃を繰り返し放った。

 (.....同じ攻撃を繰り返している......。何か考えていているのかな...?
  それに、このグラードン.........違う。何かが違う!)

 ヒカリは、グラードンの様子を見ながらそう思っていると、グラードンが口を開け、口
 からエネルギーを溜めていた。ヒカリは、それを見て、何をしようとしているのか気づ
 き、グラードンの目線をたどり、その方向に駆け出した。

 「ソーラービーム。」

 「10万ボルト。」

 「はどうだん。」

 グラードンは、サロファにソーラービームを放ち、ヒカリとタイガは、それぞれ攻撃を
 放ち、相殺させた。

 「ヒカリとタイガ....助かった。気づけなかった。.......勢いも威力も凄まじ
  かった。」

 「威力の強い技で、相性が悪いが、ソーラービームには相性が良いサロファを倒そう
  と考えたんだろうね...。」

 「そうだと思う。.......なんか雄叫びを上げて、思い通りにいかなくて悔しそうに
  している......。」

 サロファは、ヒカリとタイガに礼を言い、ヒカリ達は、近くに集まれたので、
 グラードンの様子を見ながら話し合った。

 「.........でも、少し違うみたいよ。」

 すると、突然ルーアがテレポートでヒカリ達の後ろに移動してきた。

 「サロファを倒すのはついでで、他に何かを狙っていたんだと思う...。」

 「何かってなんだ?」

 「.....まだ分からないわ。もう少し様子を見ないと.........」

 「ちょっと!話してないで戦いなさいよ!!」

 ルーアの話に、サロファが尋ねると、ルーアは、難しい様子で話していると、エメリが
 怒鳴った。エメリとヒルビだけで戦っていることに怒ったらしい。

 「あ!ごめんね。」

 「話している場合じゃなさそうだね。...エメリの機嫌が悪くなっているし.....。」

 「...どちらかと言うと、機嫌が悪い方が威力が上がっていいと思うがな.....。」

 「そんなことを言わずに加勢しましょう。...油断せずにね。」

 ヒカリは、戦っているのがヒルビとエメリだけになっているのに気づき、謝って加勢
 し、タイガも苦笑いしながらそう言って、加勢した。サロファは、タイガの言葉で
 思ったことを呟き、ルーアがサロファの言葉に苦笑いしながら言い、サロファも、
 ルーアの話に頷き、サロファとルーアも加勢しに行った。ヒカリ達が攻撃を続けている
 と、グラードンが再び雄叫びを上げた。ヒカリ達は、それに身構えた。

 「....じしん。」

 「サイコキネシスで宙に浮かすよ。」

 グラードンの言葉を聞き、ルーアは即座にサイコキネシスを使い、ヒカリ達は、宙に
 浮き、地震をかわした。しかし、地震で周りが崩れだした。特に、攻撃を当たって、
 少し崩れていた壁は、他のところより崩れていた。

 「!狙いはこれだったのね!!」

 「...ただ攻撃をしていただけというわけではなかったようだな。」

 ヒカリは、グラードンの狙いに気づき、サロファは、グラードンを恨めしそうに見なが
 ら呟いた。

 「でも、どうする?」

 「地震は続いているけど、降りてかわすしかなさそう。けど、効果抜群のヒカリと
  ヒルビは、このまま私が動かすわね。」

 「待って!危険だけど、考えがあるの.....だから、私達も降ろして....。」

 タイガはどうするか慌てていると、ルーアは、冷静にそう言い、ヒカリとヒルビ以外を
 降ろそうとすると、ヒカリがそれを止め、考えを言った。

 「......いくよ。」

 壁が崩れて、それが岩になって、落ちてくるのを見計らってから、ルーアは、合図を
 して、サイコキネシスを解除した。ルーア達は、普通に重力に従い、地面に落ちたが、
 ヒカリとヒルビは、落ちてくる岩に乗り移りながら上に登っていた。ヒカリが考えたの
 は、ヒカリとヒルビが落ちてくる岩に乗り移り、上に登っていくことによって、地震の
 効果から避けるということだった。ルーア達も同じことができるかなと思ったが、
 さすがにそんなに多いと乗り移れる範囲が狭くなってしまうため、地震に効果抜群の
 ヒカリとヒルビがやることにした。

 「...アイアンテール。」

 「きりさく。」

 ヒカリとヒルビは、乗り移った時に先程乗っていた岩を壊していた、下にいるルーア達
 に少しでも負担をかけないようにしている。ヒカリとヒルビが順調に岩を壊し、ルーア
 達も地震に耐えていた。だが、地震は止まらなかった。

 「おかしい.....。いくら何でも地震の効果が長すぎる.....。」

 「そうだな。.........ヒカリとヒルビも乗り移るのも大変そうだが...........
  ヒカリ!?」

 ルーアがいつまでも続く地震に、疑問に思っていると、サロファが頷きながらヒカリと
 ヒルビの様子を見ると、突然叫んだ。ヒカリの後ろで、グラードンが攻撃を放つ準備
 万端でいた。ヒカリは、ちょうど空中を跳んで、次の岩に乗り移ろうとしている最中
 だった。

 (...まずい。空中でかわすことが難しいし、距離も結構近いし.........耐えられる
  かどうか分からないけど.....受け止めるしかない.........)

 「ヒカリ!危ない!!」

 ヒカリは、かわすことができないと考え、覚悟を決めた瞬間、ヒルビが岩に乗り移って
 ヒカリに近づき、ヒカリを突き飛ばした。それにより、ヒカリは攻撃を受けず無事だっ
 たが、まだ空中にいたヒルビがその攻撃を受け吹き飛び、壁に激突した。

 「ヒルビ!!」

 「ヒカリは攻撃に耐えていて!私が様子を見てくる!!」

 ヒカリは、ヒルビに突き飛ばされ、ちょうど岩が降っていない場所に落ちた。ヒカリは
 ヒルビの名前を呼び、ヒルビのところに駆け寄ろうとしたが、まだ続く地震により
 ダメージを受け、体がうまく動けなかった。ルーアは、ヒカリの様子を見てそう言い、
 ヒルビのところにテレポートした。それと同時に、ヒルビが壁に激突したことが原因
 なのか、急に壁がひどく崩れ出した。ヒカリ達は、地震に耐えながら自分に当たりそう
 な岩を防いでいた。しばらくして、地震が修まり、降ってくる岩もなくなった。
 しかし、ヒカリ達は、落ちてきた岩でバラバラに離れてしまった。

 「......みんな!大丈夫?」

 「大丈夫。」

 「無事よ!」

 「ああ。怪我はない。」

 「こっちも大丈夫よ!ヒルビの怪我も、そこまでのことじゃないみたい!!」

 ヒカリは、周りの様子を見て、用心しながら聞き、タイガ達から大丈夫そうな声が
 聞こえた。ルーアも、ヒルビの容態を言った。

 「よかった。......ルーア、どこら辺にいるの?」

 「...壁際よ。崩れていない壁が近くにいるのから....。」

 「......とりあえず、そこで合流だ。」

 ヒカリは、ほっとしながら場所を聞き、ルーアが答えると、そう言った。

 「...ちょっと!あたし...ここから動くの、難しいじゃない!!」

 遠くからエメリのいつも通りの声でそう叫んだ。どうやら、エメリは、動きにくい場所
 にいて、うまく動けずイライラしているらしい...。ヒカリは、それを聞いて苦笑いし
 ながら壁に手を当てた時、何らかの殺気を感じ、振り返った。すると、壁を突き破り、
 グラードンが出てきた。

 「げんしのちから。」

 「!でんこうせっか。」

 それを確認した瞬間、グラードンは攻撃を放ち、ヒカリは、慌ててかわし、距離を
 とった。

 「ヒカリ!どうした!」

 「......運悪く、グラードンのいる場所と近かったみたい...。今、グラードンと
  戦っているの!」

 何か起きていることに気づき、サロファが叫ぶように聞き、ヒカリは、簡潔に状況を
 説明した。

 「!!分かった!僕がいる場所からは、ヒカリの声がよく聞こえるから....どうやら、
  ヒカリの近くにいるらしいから、そっちに向かうよ!!」

 「.....俺はヒルビの治療をしてから、ルーアとそっちに向かう!」

 「あたしは.......移動しやすくなったら、近い方に真っ先に行くわ!」

 ヒカリの話を聞き、タイガはそう答え、サロファは、ルーアと目で会話しながらヒルビ
 の治療をしている状態で言い、エメリは、考えながらイライラしてつるのムチで壁を
 叩き、やけになったように言った。

 「........よし!」

 ヒカリはタイガ達の声を聞き、その様子が頭に浮かんで、緊張を少し緩めながら覚悟を
 決めて、グラードンと対峙した。

 「......マッドショット。」

 「10万ボルトをいくつかに分裂させて...........。」

 グラードンのマッドショットを放ち、ヒカリは、即座に10万ボルトをコントロール
 して、マッドショットと相殺させた。電気タイプの技は、グラードンに効果はないが、
 攻撃を相殺させることはできる。だが、ヒカリには、グラードンにダメージを与えられ
 る技は、でんこうせっかとアイアンテールだけで、大きなダメージを与えることはでき
 ない。だから、ヒカリは、タイガ達が来るまで時間稼ぎすることにした。

 「グォォォォ。じしん。」

 「!!アイアンテール!」

 グラードンは、ヒカリ達の会話を聞き、ヒカリの様子を見て、ヒカリの意図に気づき、
 唸り声を上げながらそう言い、ヒカリは、その技名を聞き、アイアンテールで地面を
 叩きつけ、高く跳び、攻撃を回避した。しかし、タイガ達にも被害があり、回復して
 いる最中のヒルビが大ダメージを受け、タイガ達は、地震に耐えながら壁となっている
 岩が崩れて、埋めつくされそうになるのを回避していたが、道が悪くなり、動ける
 スペースが狭くなっていき、いずれ岩に押し潰されそうだ。

 「!!!でんこうせっか!アイアンテール!」

 ヒカリはその様子を見て、ヒルビ達が危険なことに気づき、それと、跳ぶ勢いが落ち、
 ヒカリは、それを利用して、でんこうせっかで空中だがグラードンに近づき、勢いに
 任せて、アイアンテールで喰らわしにかかった。グラードンは、それに気づき、地震を
 止め、右腕でヒカリの攻撃を受け止め、押し合いになった。結果的には、地震を止める
 ことができた。

 「ググッ...!」

 「ううっ!」

 ヒカリとグラードンの押し合いは、体型の差があり、グラードンが徐々に拮抗し始め、
 ヒカリを押し返した。ヒカリは、慌てて体勢を整えたが、グラードンの方が速く、壁に
 叩きつけられた。

 「ソーラービーム。」

 「...10万ボルト。」

 グラードンの攻撃に、ヒカリは、そこまでダメージがなく、すぐに対応できた。再び
 押し合いが始まった時、

 「はどうだん。」

 「はっぱカッター。」

 「グワアアアアアア!?」

 二つの攻撃がヒカリの電撃に加わり、グラードンの攻撃を押し返し、グラードンに
 ダメージを与え、少し後ろに吹き飛んだ。

 「タイガ!エメリ!いいタイミングだったよ。ありがとう。」

 「ヒカリ、少し遅くなってごめん!」

 「さっきの地震で岩が崩れて、通れるようになったおかげで、なんとかここに来れた
  わ。さあ!早く倒しましょう!」

 ヒカリを援護したのは、タイガとエメリだった。ヒカリは、タイガとエメリにお礼を
 言い、タイガは遅れたことを謝り、エメリは息を吐きながらそう言い、やる気満々
 だった。

 「...ふむ。.....新手か....。我もダメージを負った...。他の者達が来るとなる
  と......ここにいるお前達を早く倒した方が良さそうだ...。」

 グラードンは、体を揺らしながらヒカリ達を見て、そう言った。

 「何よ!言っとくけど、あたし達は、そう簡単に倒れないわよ!!」

 「...ああ。それは知っている。先程までの攻撃を見て、我もそう思うが.........
  我の力はこんなものではない。」

 エメリがイライラしたように噛みつき、グラードンは、エメリの言葉に、先程までの
 ヒカリ達の攻撃を思い出しながらそう言い放った。

 「力を隠していたのかしら?それなら、もっと早く出しなさ..............」

 「我の力は大地を広げることができる力だ。だから、あまり使わないしていたが...
  もはや、そういうことではないな...!」



 グオオオオォォォォォォォォ!!



 エメリは挑発したが、グラードンがそれを遮って言った後、雄叫びを上げた。そして、
 グラードンの体が光に包まれた。ヒカリ達は、眩しさのあまり何も見えなかった。
 光が修まった時、ヒカリ達はおそるおそる目を開け、グラードンの方を見て、絶句して
 いた。そこには、一回りも大きく、ラインの部分が黄色に変わったグラードンがいた。


 グオオオオォォォォォォォォォォ!!


 グラードンの歓喜している声を上げた。

 「.........ゲンシ.....カイキ..........!?」

 ヒカリの呟き声が辺りに響いた。





グラシデア ( 2020/03/29(日) 23:42 )