第三章 再会と遠征
23話 グラードン 前編
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 熱水の洞窟 入口

 「あっ!あそこに裂け目が見える!あそこから入ろう!」

 ヒカリ達は、あちこち歩きまわり(途中でルーアに降ろしてもらった)、洞窟のような
 場所を見つけた。

 「確かに、ここから入っていけそうだ。」

 タイガが見つけた入口をサロファが確認した。

 「それにしても暑いわね...。」

 「僕は平気だよ。」

 「お前は、炎タイプだからな。水蒸気を出ているし、中はもっと暑そうだな...。」

 熱水の洞窟は、気温がとても高いので、入口でもとても暑かった。エメリは、暑そうに
 自分の頭の葉を使って扇ぎ、ヒルビは不思議そうな顔でそう言い、サロファは、ヒルビ
 の言葉にツッコミを入れながら、洞窟の中を覗いた。

 「本当に暑いね。ヒカリ。............ヒカリ?」

 タイガは、その様子を苦笑いしながら見て、隣にいるヒカリに聞いたが、ヒカリは何も
 言わないので不思議に思い、ヒカリの方を見ると、ヒカリは、グラードンの像がある
 方向を見つめていた。

 「ヒカリ、どうしたの?」

 「うん。......モルガのことが少し気になって...。」

 「あっ!」

 タイガがヒカリに聞くと、ヒカリは、不安そうにそう言い、タイガも、ヒカリの話を
 聞いて思い出し、表情が曇った。

 「...大丈夫よ。」

 「ルーア...。」

 そんなヒカリとタイガに、ルーアは、見ていられず話しかけた。

 「大丈夫よ。モルガは、有名な探検隊......あのドクローズとは違うわ。それに、
  今は私達の親方なんだから、信じないとだめでしょう?」

 「......そうだね。」

 ルーアの話に、ヒカリは頷き、タイガも表情を明るくした。

 「さて、ここは、確かに暑いから、涼しくしないとね。」

 「ん?ルーア、涼しくできるの?」

 「ええ、できるよ。"冷空間"」

 ルーアの話に、エメリがくらいつき、ルーアが笑いながらそう言うと、辺りが涼しく
 なってきた。

 「涼しい!生き返るわ。」

 「どうやったんだ?」

 「こごえるかぜを使い、コントロールして、辺りの気温を下げたの。これで、暑さは
  解決したから、行こう。」

 「よし!行こう!僕、ワクワクしてきたよ!この中に、何が待ち受けるのか、そして、
  この上がどんなところなのか分からないけど、でも、まだ誰も行ったことがない
  場所に、僕達が挑む、そう考えるだけでドキドキしてきたよ!」

 エメリは喜び、サロファが気になって尋ねた。ルーアは、簡単に説明し、早く行くよう
 急かした。ヒカリ達は、気合いを入れ、この先のことにドキドキしながら熱水の洞窟に
 入っていった。

 「......まあ。モルガの実力なら、あの3匹に負けることはないのは確実なんだよね......。」




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 一方、グラードンの像の前では.........

 「おい、モルガ!」

 「なあに?」

 ルブンクはモルガを睨みながら言い、モルガは、ニコニコと笑いながら返事した。

 「どうしたの?友達♪そんなに怖い顔して........あっ!分かった♪僕とにらめっこ
  したいんだね♪それなら、僕負けないよ♪ベロベロ...ンドゥバー♪」

 モルガは、不思議そうにルブンク達を見て、少し考え、何か分かったようにそう言い、
 口をおかしな形にして笑わそうとした。

 「.....アニキー、この空気にはもう耐えられません......。」

 「悪いが、貴様には、ここでくたばってもらう!くらえ!俺様とクンスの毒ガス
  スペシャルコンボ!」

 クンスはそれを見て、小声で隣のルブンクに言い、ルブンクは、モルガが変顔しようが
 関係なく続きを言い、クンスと同時に毒ガスを放った。モルガの周りを毒ガスが
 覆った。

 「アニキー、あっけなかったですね。」

 「早くあいつらを追いかけましょう。」

 「ああ、そうだな。ククククッ。」

 ルブンク達は、モルガを倒したと思い、ヒカリ達を追いかけるため、背を向けた時、

 「あーあ...。残念だな...。何もしなかったら見逃そうと思ったのに......。」

 そんな声が聞こえ、ルブンク達は振り向いたが、そこには、モルガの姿がなかった。
 あの声は、間違いなくモルガの声だった。

 「あ、あれが効かなかっただと!?いったい、どうやったんだ....!?どこに行った!?」

 ルブンクは困惑し、辺りを見渡しモルガを探した。ルブンク達は、毒ガスが効かなかっ
 たことに動揺し、的確な判断ができなかった。そのため、後ろにいるモルガに気がつか
 なかった。

 「...まったく、あの子の読み通りだね...。君達の噂は聞いていたんでね。僕も注意
  していて...あの子とも話をつけて正解だったよ。.......そもそもあの子を敵に
  まわしたのが間違いだったんだよ...。」

 モルガは、そう言いながらルブンク達に近づいた。ルブンク達も、モルガの声で気づ
 き、声の聞こえた方に振り返った......。





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 熱水の洞窟

 「みずのはどう。」

 「コロトックがきた。......ヒルビ!お願い!タイガは、エメリの注意を別に
  逸らして!」

 「了解。......!エメリ、あっちからブルーがきた!」

 「ええ、分かったわ。相性が良いポケモンがいなかったから、ちょうどいいわ!
  つるのムチ。」

 「...今のうちよ。シャドーボール。」

 「うん。はじけるほのお。」

 サロファがマグマッグを倒し、ヒカリがコロトックのことに気づき、ヒルビとタイガに
 小さな声で指事し、タイガが頷きながら辺りを見渡し、ブルーを見つけて、エメリに
 教えると、相性が悪くてあまり攻撃できず、不機嫌になっていたエメリは、それを
 聞いて、機嫌を良くして攻撃しにいき、ルーアはそれを見て、ブビィに攻撃しながら
 ヒルビにタイミングを教え、ヒルビは、タイミングに合わせて攻撃した。熱水の洞窟
 にも、虫ポケモンがいて、急遽ヒカリ達は、エメリに虫ポケモンを見せないよう連携を
 とり.........

 「カモネギが右から、ヤンヤンマが左から、ドンメルが後ろから来た。ヒカリ!
  ヒルビ!サロファ!」

 「うん。10万ボルト。」

 「分かった。ほのおのキバ。」

 「ああ。みずのはどう。」

 できるだけ相性の良い技で倒し、早く先に進めるようにした。こういう感じで、
 ダンジョンを結構早く進んでいった。




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 熱水の洞窟 中間部

 「だいぶ登ってきたよね。」

 ヒカリ達は、ガルーラ像の前で少し休憩していた。

 「頂上までは、あと少しかもしれないね。」

 ヒルビの話に、タイガは、そう返事した。

 
 グォォ......。


 ヒカリ達の耳に、小さな鳴き声のような声が聞こえた。ヒカリ達は、聞こえた方、この
 先の道の方を見た。

 「ん?なんだろう......。」

 ヒルビがそう呟き、耳を澄まし、ヒカリ達も耳を済ました。


 グォォォォ.........。


 さっき聞こえた声と同じ声が聞こえた。

 「......今、何か.......聞こえた?気のせい......かな...?」

 「何かの鳴き声だったな......。」

 「この先に何かあるのかな...?」

 「確かめて見ましょうよ!」

 「......そうね。気をつけて行きましょう。」

 ヒカリ達は互いに話し合い、先を急ぐことにし、準備をし始めた。

 「.........とにかく、後ちょっとだから、頑張ろうね。」


 グォォォォォォォォォォォォ......。


 準備をし終え、ヒルビがそう言った時、再び鳴き声が聞こえた。

 「...今の聞こえた!?」

 「やっぱり気のせいじゃなかったね。」

 「...鳴き声というより...叫び声だったな......。」

 「この先に何が待ち受けているのか分からないから、気を引き締めて行かないとね。」

 「ヒルビ!怖じ気づくんじゃないわよ!!あと少しなんだからね!!」

 (そうね。あと少し。ここを越えれば、ユクシーに会えるかもしれない。そして、
  記憶を失う前、私が人間だった時の私が何者だったのかも分かるかもしれない。)

 ヒルビが驚き、タイガとサロファとルーアが冷静にそう言い、エメリがヒルビを睨ん
 で、カツを入れるなか、ヒカリは、この先のユクシーのことを考えていた。

 「よし!勇気を出して行こう!」

 ヒルビの声と同時に、ヒカリ達は、先に進んでいった。先のダンジョンで、コロトック
 やヤンヤンマの他に、バルビートとイルミーゼ、ツボツボというような虫ポケモンが
 いっぱいいて、ヒカリ達は、その対処で急がしくなることをまだ知らなかった。




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 その頃、他の弟子達は............

 「ヘイヘイヘーーイ!みんなー!こっちだぜ!」

 アズニがグラードンの像の前に来て呼ぶと、弟子達全員がついてきた。

 「これか。グラードンの石像というのは。」

 リコラは、グラードンの像の上に止まり、グラードン像を観察するかのように
 見つめた。

 「しかし...誰もいないですね。」

 「おい、アズニ!お前、本当に親方様も見たんだろうな?」

 「ヘイ!確かに!おいらがベースキャンプに帰る途中、セカイイチとおいかけっこして
  いる親方様とすれ違ったんで。おいら、声をかけたんだけど、親方様は、それどころ
  じゃなかったみたいでさあ。ヘイ!あいつらは先に行っているはずだし、多分親方様
  も、その後を追っているんじゃないかと思うぜ!?」

 アマラが周りを見渡してそう言い、リコラがアズニに尋ねると、アズニは、その時の
 ことを思い出しながら説明し、予想も話した。


 グォォォォ......。


 アズニ達が話し合っていると、突然何かの叫び声が聞こえてきた。

 「今のは、何でしょう?」

 「鳴き声......かな?」

 「ヘイ!この上で何か起こっているのかもしれねえ!みんな、急ごう!」

 弟子達全員、その声が聞こえ、何か起こったのかもしれないと考え、早く上に行こうと
 した。

 「あれ?お父さん。あっちの方から、今、何か聞こえなかった?なんか、うめき声の
  ような声が.........。」

 「気のせいだ。急ごう。」

 「うん。」

 ラチアが何かを聞き、父親であるプルトに尋ねると、プルトは、気のせいだと言い、
 ラチアも深く考えず頷き、先を急いだ。弟子達は気づかなかった。グラードンの像から
 離れたところでうめき声を上げている3匹のポケモンの姿に.........。

 「いててて......。」

 「や、やられた...。体が動かねえ...。」

 「うう......な、何故だ...。」

 倒れていたのは、ドクローズだった。

 「何故、モルガは、毒ガススペシャルコンボをくらって、平気でいられるのだ...。」

 「そ、そして、そのあとのモルガの反撃....はっきり言って...スゴすぎるぜ...。
  ガクッ.....。」

 「ガクッ.....。」

 「ガクッ.....。」

 ドクローズ達は、口々モルガのことを言うと、気絶した。




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 熱水の洞窟の頂上

 「だいぶ上まで登ってきたけど、ここは、なんか妙な感じがする...。」

 「はりつめたような感じもするし、波動も妙な感じがするね...。」

 「ああ。体中の皮膚が逆立つような感じがするな...。何か起きる気しかしない。」

 ヒカリ達は頂上に着き、そう言いながら周りを見渡し、ヒカリ達(タイガは波動を使って)調べた。


 グォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーー!!


 「ひっ...。こ、この声、さっき聞こえた声だよ!」

 「...間違いなく、やっぱりあれは、何かの鳴き声だったんだな...。」

 すると、また叫び声を上がり、ヒルビはそれに驚き、サロファは冷静に状況を分析
 していた。

 
 グオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーー!!


 ドン!...ドン!


 「何かが...近づいてくる!」

 そして、大きな声でまた叫び声が聞こえ、足音が聞こえ始めた。その足音は、ヒカリ達
 に聞こえていた。ヒルビがそれを聞いて、パニックになっていった。


 グオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーー!!


 「わわっ!?あ、あれはっ!?あの石像の!?やっぱりあの石像のポケモンは、本当にここ
  にいたんだ!?」

 そんな叫び声を上げて、そのポケモンは出てきた。そのポケモンは、石像と同じ
 ポケモンだった。ヒルビは、それを見て驚き、ヒカリ達も困惑した。

 「グオオオオオオオオオオオオ!」

 「ひぇぇ......。」

 そのポケモンはまた雄叫びを上げ、ヒルビは、怯んでしまっていた。

 「グオオオオ!お前達!ここを荒らしに来たのか!!帰れ!!」

 「そ、そんな...。僕達は、ただ、きりのみずうみに行きたくて......」

 そのポケモンは、ヒカリ達をここから追い出そうとし、ヒルビがおずおずと言った。

 「何!きりのみずうみ!?我が名は、グラードン!きりのみずうみの番人だ!侵入者は、
  生きては帰さん!」

 「ええっ!!?」

 ヒルビの話を遮り、グラードンは、威圧感を出してそう言い、ヒルビは驚き、ヒカリ達
 は、身構えた。




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 一方、その頃、他の弟子達は.........

 「あれっ?地面が.........」

 「少し揺れているでゲスね......。」

 「急ごうぜ!」

 地面が揺れていることに驚きながらも、上を目指して登っていた。

 「はあはあ......。ヘイ!リコラ!走りながら聞きたいんだがよ......リコラは、
  知っているのかい?グラードンっていうポケモンのこと。」

 「バカにするな!私は、情報屋だぞ!バサバサ!グラードンは、神話の世界に語り
  つがれた伝説のポケモンだ。」

 アズニが走りながら近くにいたリコラに聞くと、リコラは、翼を羽ばたかせながらそう
 答えた。

 「伝説のポケモン?」

 「そうだ。言い伝えには、大地を盛り上げて大陸を広げた......とされている。」

 「ひええ...。なんか凄そうなポケモンだな......。」

 アズニの疑問に、リコラは、頷きながら説明し、アズニは、その説明を聞いて、そう
 感想を呟いた。

 「ヘイ!もし、グラードンってのと戦ったら、...どうなるんだい?」

 「ええっ!?戦うなんてとんでもない!バサバサ!もし、グラードンと戦ったとしたら、
  そのポケモンの命は、ないと思った方がいい!!それほど強いのだ!
  伝説のポケモンは!」

 アズニの質問に、リコラは、とんでもないと翼をさらに羽ばたかせ、そう言った。
 ヒカリ達がちょうど今、グラードンと対峙していると知らずに............。




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 「グオオオォォォォォォォォ!」

 「ううっ、怖い......。」

 「ヒルビ、落ち着いて!」

 「大丈夫だから!」

 グラードンの雄叫びに、ヒルビが怖がっていると、ヒカリとタイガがヒルビを
 励ました。

 「......そうだね。勇気だ!勇気を出さなきゃ!みんな!頑張ろうね!!」

 ヒカリとタイガの励ましで、ヒルビは、勇気を出して身構えた。

 「覚悟!!グオオオオォォォォ!!」

 「いくよ!!」

 グラードンは、そう言って雄叫びを上げながら腕を振り上げ、ヒカリ達は、掛け声と
 同時に、その攻撃をかわした。






グラシデア ( 2020/03/22(日) 23:47 )