22話 グラードンの像
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翌朝、ヒカリ達が起きてしばらくすると、他の弟子達が続々と到着してきた。そして、
全員が到着し、説明が行われた。
「えーというわけで、皆、無事にベースキャンプに来られたようだし、これより、
きりのみずうみの探索を行う♪見ての通り、ここは、深い森に覆われている。
そして、この森の何処かに、きりのみずうみがあるらしいのだが、今のところ噂で
しかない。これまで、色んな探検隊が挑戦してきたが、まだ発見されていない
のだ。」
リコラが周りを見渡しながらそう説明した。
「ヘイヘイヘイヘイ!本当にあるのかい!?きりのみずうみってさ!?」
「まあ、アズニったら。それを言ったら、あまりにも夢がないですわ。」
「今さらそんなこと言って、どうするよ!」
「ヘイヘイヘーイ...。」
リコラの説明を聞いて、アズニが聞くと、アマラとコゴムにそう言われ、アズニは、
仕方がないという感じで返事した。こういうことには気が合うんだからと誰かが言った
ような気がしたが、気のせいだろう......。
「あのう...私、ここへ来る途中で、ある伝説を聞いたのですが......」
「伝説?」
「はい。きりのみずうみにまつわる伝説です。なんでも、きりのみずうみには、
ユクシーという、とても珍しいポケモンが住んでいるそうです。そして、その
ユクシーには、目を合わせたものの記憶を消してしまう力があるそうなんです。」
ルリラは、おずおずと話し出し、リコラの質問にも答えながらそう説明した。
(!?記憶を消してしまう力だって!?......私は、何故かこの場所を知っている...。
そして、記憶を消す力があるというユクシーの伝説...。この2つのことは、偶然
なのだろうか?...。ルーアの様子を見る限り、二度目の記憶喪失は、関係なさそう
だけど.........でも...もしかしたら、人間だった頃の記憶を失う前の私は、
ここに来たことがあって、そして、ユクシーに出会い、記憶を消された。そうなの
かもしれない....。違うのかもしれない...。)
ヒカリは、ルリラの言った言葉に驚き、ルーアの様子を見ながらそう考えた。ルーア
は、ヒカリの視線に気づき、首を横に振ったので、二度目の記憶喪失に関係ないのは
確かだ。
「なので、もし、きりのみずうみに訪れた者がいても、ユクシーによって、記憶を
消されてしまうので、湖の存在を伝えることができない、ユクシーは、そうやって
きりのみずうみを守っていると。そういう伝説が残っているそうなんです。」
「ううっ......ちょっとおっかない話でゲスね...。」
「ワシ、記憶を消されたらどうしよう......。」
「あら!あなたは心配ないですわ。だって、そうでなくても、あなた、物忘れが激しい
じゃない。」
ルリラの話に、マックとコゴムは不安そうにし、アマラは、そんなコゴムにそう
言った。マックとコゴムの他にも、ルリラの話を聞いて、不安になっていた。
「こほん......。まあ、こういった場所には、大抵言い伝えや伝説が残されている
ものだ。そして、我がギルドは、これまでもそういう困難を乗り越えて、探検して
きたのだ♪」
リコラは、咳払いをしてそう言い、弟子達を落ち着かした。
「そのとおりですわ!」
「それこそが、親方様のギルドが一流とされる由縁だからな。」
リコラの話を聞き、弟子達も元気を出してきた。
「フフフ。心配はいらない。きっと大丈夫だよ♪今回の冒険も成功を信じて、頑張ろ♪
頑張ろ♪」
モルガも活気にそう言った。
「それで、今回の作戦だが、まず、私と親方様はここに残り、みんなからの情報を
集める。そして、みんなは、各自、森の中を探索してくれ。但し、この森は、奥へ
進むと靄がかかっていて、非常に分かりにくい。たぶん、きりのみずうみは、この
靄のせいで、発見しにくいのではないかと考えられる。もしかしたら、この靄をとる
方法があるのかもしれない。なので、もし、探索中に、きりのみずうみを見つける
か、もしくは、靄をとる方法を見つけたら、ベースキャンプに戻って、私か親方様に
伝えてほしい。以上だ。それでは、みんな♪頑張ろーーーーーー!!」
「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」
リコラが説明の続きを言い、最後に掛け声を言うと、弟子達全員、大声で掛け声を
上げた。
「頑張って行きましょう!」
「見つかるといいでゲスね。」
「見つかりますわ!絶対!」
「最初に見つけるのは、ワシだからな!!」
弟子達は、やる気満々にそう言い合っていた。
「お父さん。きりのみずうみって、もしかして、地下にあったりして。僕達は、地下
から調べてみようよ。」
「おお。さすがは我が自慢の息子。そうしよう。では、皆さん。お先に。」
ラチアがプルトにそう言い、プルトは賛成し、ラチアとプルトは、地面に潜って、先に
行ってしまった。
「ヘイヘイヘイ!おいら達もこうしちゃいられねえ!」
「早く行くでゲス。」
アズニ達も追いかけるように、森の中に入っていった。
「では、俺様達も行くとするか。ククククッ。」
「へへっ。」
「ケケッ。」
ルブンク達もタイミングを見計らって、森に入っていった。
「僕達も早く行かなくちゃね。」
「分かれ道だけど、濃霧の森の方が可能性がありそうだから、そっちから行こう。」
「...森だから...虫ポケモン、いるよね...?」
「でも、靄のせいで見えにくいから、少し安全かも...。邪魔だった場合は、風で見え
やすく調整できるし...。」
「ああ。...対策も昨日と同じ手順で行くぞ。」
ヒカリ達も準備をして、濃霧の森の方に向かい、ヒカリとタイガとルーアとサロファ
は、軽く確認し合った。
「よし!行こう!」
ヒルビの言葉で、ヒカリ達は、森の中に入ろうとした。
(......とにかく、私の、人間だった時の記憶を解くカギがここにあるのかも...。
きりのみずうみに行けば、何か分かるかもしれない...。)
「あれ?なんだろう?」
ヒカリがそう考えていると、ヒルビが森の入口辺りで声を上げた。ヒカリがヒルビに
走り寄ると、ヒルビの近くに赤色の石が落ちていた。
「何か......石のようだけど...赤くて綺麗だね。まるで、宝石みたい。珍しいし、
取っておこう。」
ヒルビは、赤色の石を拾うと、
「わあ〜!この石、暖かいよ!?石の中から熱を出しているような...不思議な感じ
だよ。溶岩でもなさそうだし、なんだろうね?」
ヒルビはそう感想を言いながらバッグの中に仕舞った。
「おい!行くぞ!」
サロファの声で、ヒカリ達は、濃霧の森に入った。
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濃霧の森
「ルーア、周りが見えにくくなってきたから風を!」
「ええ。......!
カイロスよ!ヒルビ!」
「了解。ほのおのキバ。」
「右からオドシシだ。はどうだん。」
「はっぱカッター。」
「後ろからミミロルとパチリスか...みずのはどう。」
「加勢するよ!ほうでん。」
ヒカリ達は、これまでのことで新しい技が使えるようになっていた。今の状況は、
ヒカリがルーアに頼み、ルーアか風で靄を吹き飛ばして見えやすくし、カイロスが
いることを、エメリに知られないように小声で言い、ヒルビに頼み、ヒルビがカイロス
を攻撃し、周りが見えやすくなり、タイガが近づいてくるオドシシに気づき攻撃し、
エメリも加勢した。サロファの方も見えやすくなったことで気づいて攻撃し、最後に
ヒカリが全体攻撃のほうでんで全員を倒した。大体こんな感じで、ヒカリ達は、靄など
関係なく、濃霧の森を進んでいった。
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「すごい!水が所々から滝のように流れているよ!」
「いったい、どこから流れているんだ?」
「ここ、どの辺りなのかしら?」
ヒカリ達は、濃霧の森を抜け、水が流れて滝のようになっているところが数ヶ所ある
場所に出た。
「ここが森の一番奥なのかな?」
「そうだと思う。」
「でも、進むにも、靄が深くて、どっちに行けばいいのか分からないよ。それに、
適当に行って、はぐれちゃいそうだよ。」
ヒカリ達は、どっちに行けばいいのか分からず、その場から動けずにいた。
「ヘイヘーイ!!」
「あっ!アズニ!」
すると、誰かが呼ぶ声が聞こえた。声の主は、アズニだった。
「ヘイヘーイ!何か手掛かりとかあったかい?」
「いや、まだ何も......。アズニは、どうなの?」
「おいらもさっぱりだぜ。ヘイヘーイ..。でも、ちょっと気になる物があってよ..。」
ヒカリ達は、アズニと情報交換した。ヒカリ達の方は特になかったが、アズニの方は、
少し気になることを言った。
「気になる物?」
「あれを見てくれよ。」
ヒルビが聞くと、アズニの遠くにある物を指差した。それは、ポケモンの像だった。
「な、なんなのよ!?これ!?」
「おいらもよく分からねえ。なんか、ポケモンの石像みたいなんだけど....。」
「何のポケモンなんだろう?これは?」
「おいらも見たことねえよ。こんなポケモンは......。」
「この像......グラードンね...。」
ヒカリ達はその像に近づき、エメリが驚き、アズニとヒルビがそう話していると、
ルーアは、冷静に呟いた。
「グ、グラードン?」
「...伝説のポケモンよね?」
「ええ。こんなところに像があるなんて......」
ヒルビの質問に、ヒカリは、頭を抑えながら確認するように聞き、ルーアは、頷き
ながら像を見上げ、思案していた。
「...........あれ?ここに何か書いてあるよ?」
「...えっ!?......本当だ。足形文字で書かれている。...えーと....『グラードン
の命灯しき時、空は日照り、宝の道開くなり。』......だって。」
ヒルビが像を調べていると、何か書かれているプレートを見つけた。タイガは、ヒルビ
に近づき、そのプレートを声に出して読んでみた。
「宝の道?...宝って!?もしかして、きりのみずうみにあるお宝のことかな!?」
「落ち着け。......宝の道が開く......きりのみずうみに行けるということか....
この像には、その謎が隠されているのかもしれないな...。」
ヒルビがプレートの言葉に興奮していると、サロファは、そう言って落ち着かせ、
プレートの言葉について考えた。
「ヘイヘイヘーーイ!!ほ、本当か!?そいつぁ、頑張って謎を解こうぜ!ヘイヘーイ!!」
「だが、難しそうだよ。...足形文字のこの部分....この『グラードンの命』って、
なんだろう?」
「つまり、この石像に命を灯せばいいんだな!ヘイヘーイ!」
「でも、命を灯すって、どうすればいいのよ!」
「逆ギレするな。それを考えているんだろう。」
アズニはそれを聞いて、テンションを上げ、気合いを入れた。しかし、タイガは、
アズニと違って、曇った表情をして言った。アズニは、タイガの話を聞いていないかの
ようにそう言い、エメリは、意味が分からないのとアズニがうるさいことでムカムカ
して、暴れようとしたが、サロファに止められた。
(......石像に触ってみたら、何か見えるかもしれない...。もしかしたら、私の
過去を紐解くためのカギが、この石像にあるのかもしれない......。)
ヒカリは、そう思いながら石像に触れ、目を瞑り、集中した。すると、ヒカリに眩暈が
襲いかかってきた。
(......きた.......あの眩暈だ.........)
そう思うのと同時に視界が真っ暗になり、一筋の閃光が通った。
『そうか!ここに!!.........があるのか!』
そんな男のような声が聞こえた。
(い、今のは?今の声は、誰だったの?)
ヒカリがそう思っている間に、再び眩暈が襲いかかってきた。
(ま、またくるのか.....連続で.........。)
再び視界が真っ暗になり、一筋の閃光が通った。
『なるほど!グラードンの心臓に日照り石をはめる。それで、霧は晴れるのか...。
さすがだな!やっぱり俺のパートナーだ!』
『へへん!』
『あ、ありがとう。でも、恥ずかしいよ...。』
『ほら、そんなことしてないで、早く行きましょう。』
一回目と同じ男のような声がそう言い、少年のような声が威張り、少女のような声が
恥ずかしいそうに言い、最後に女性のような声がため息混じりにそう言った。
(........今のは.....いったい....。今まで見えたものとはちょっと違う...。
今回は声しか聞こえなかったし、また誰の声かも全く分からなかった....。あの声
は、いったい誰だったんだろう?男のような声と少年のような声は、印象すら残って
なかったんだけど、でも、何故なのか、凄く気になる......。少女のような声は
どこかで聞いたことがある。女性のような声は、なんか...............)
「ヒカリ、どうしたの?大丈夫?」
ヒカリが色々と考え込んでいると、ルーアがヒカリの様子に気がつき、ヒカリのことを
心配し、話しかけてきた。
(.....声が何を言っていたのか思い出さないと...。あの時の言葉.....確か...
グラードンの心臓に日照り石をはめる...それで霧が晴れると.......日照り石?
日照り石って、もしかして、あの時、ヒルビが拾ったあの石がそうだったと
したら......。)
「ルーア、グラードンの像の心臓辺りにくぼみのようなものはある?」
「...え、ええ。胸の部分に小さな凹みがあるわよ。」
ヒカリは、夢の話を思い出し、ルーアにそう聞くと、ルーアは、グラードンの像を
見て確認した後答えた。
「やっぱり...。ヒルビ!ベースキャンプで拾ったあの赤色の石を石像の胸の凹みに
はめてみて!」
「えっ?僕がベースキャンプで拾った石?あの石をこの石像の胸にはめる?.......
分かった!やってみるよ!この凹みに入れるんだよね?」
ヒカリは、ルーアの言葉に納得し、ヒルビに向かってそう言い、ヒルビは、疑問に思い
ながらも頷いた。ヒルビは、ヒカリに言われた通り、グラードンの像の胸にある凹みに
赤色の石をはめた。すると、グラードンの像の目が赤く光り、地面が揺れ始めた。
「わわっ!危ない!離れよう!」
ヒカリ達は、慌てて像から離れた瞬間、像が光を放ち、辺りが光に包まれた。ヒカリ達
は、思わず目を瞑った。光が修まり、ヒカリ達が目を開けると、先程まで視界を悪く
していた霧が消え、晴れていた。
「...靄が......消えたな...。」
「...晴れちゃったね...。お日様が眩しいよ。」
ヒカリ達は、目を見開きながら辺りを見渡した。
「...えっ!?...あ!あれって!」
「......なるほど...。靄が晴れて、やっと分かるということね......。きりの
みずうみが、今まで誰にも見つからないはずね.........。」
「ヒカリ、ルーア、どうしたの?」
「みんな!上を見て!!」
ヒカリが上を見て、驚きながら言い、ルーアも、ヒカリと同じことに気づき、上を
見ながら感想を言った。ヒルビは、ヒカリとルーアの様子に不思議に思い聞き、ヒカリ
はそう言い、ヒルビ達も上を見た。
「ええーーーーーーーー!?」
「う、嘘でしょーーー!?」
「うわっ!?なんだあれは!?ヘイヘイ!」
「...まさか、きりのみずうみは、あの上にあるということか?」
「...そうだと思う。きりのみずうみは、きっとあの上にあるんだよ!」
ヒルビ達も、上に浮かんでいる湖を見て、驚きの声を上げた。
「おいらは、親方様やギルドのみんなに伝えてくる!お前達は頑張って、先を目指して
くれ!」
アズニはそう言って、ベースキャンプへと戻っていった。
「よし!行こうか!きりのみずうみを目指して!」
アズニを見送った後、ヒルビがそう言い、ヒカリ達がきりのみずうみを目指して歩こう
とした時、
「待ちな!!」
その声と同時に、3匹のポケモンがヒカリ達の行く手を阻んだ。そのポケモン達は、
ドクローズだった。
「お前達は!?」
「ご苦労だったな。ククククッ。」
「ケッ、謎さえ解いてくれれば、もうお前達に用はねえ。」
「へへっ、お宝は、俺達がいただきだぜ!」
ヒルビが睨みつけながらそう言い、ルブンク達は、不気味な笑みを浮かべながら言い、
ヒカリ達全員は、やっぱりと思った。
「お前達!やっぱり、最初からこれが目的で遠征隊に入ったんだな!」
「ケッ、当たり前じゃねえか!」
「ククククッ。悪いがお前達には、ここでくたばってもらおう。」
「また凍らされたいの?」
タイガの話に、ルブンク達は、不気味な笑みのままそう言い、そんな様子を見て、
ルーアは、挑発した。ルーアの挑発に、ルブンク達は、怒っているような表情に
変わった。
「この前とは違げえ!」
「言っておきますけど、こちらもあなた達をきりのみずうみに行かしません!!」
ルブンクは怒鳴り、ヒカリは、ルブンクに言い返した。ツァイトは、その様子を見て、
後ろに下がった。
「くらうがいい!!俺様とクンスの毒ガススペシャルコン........」
「あ〜ん!待ってえ〜〜〜〜〜〜〜!」
ルブンクとクンスが毒ガスを放とうとした時、呑気な声と足音が聞こえ。セカイイチ
が、ちょうどヒカリ達とルブンク達との間に転がってきた。
「な、なんだ?」
「セカイイチー♪セカイイチーーーーー♪」
ツァイトが疑問符を浮かべていると、呑気な声と足音がどんどん近づいてきた。
「やっと捕まえた♪僕のセカイイチ♪」
現れたのは、モルガだった。
「セカイイチがなくなったら、僕は......僕は......うるうる......。」
モルガが周りの様子に気づかず、そう言って目を潤ませた。ヒカリは、その様子を見て
苦笑いし、ルーアは、我慢ならなかったようで軽く咳払いした。
「あ、あれ?....君達......そして、僕の友達も♪みんな一緒だ♪わーい!わーい!」
(((((((((誰かこのポケモンどうにかして(くれ).....)))))))))
モルガは、ルーアの咳払いでヒカリ達に気づき、ヒカリ達を見て、呑気に言った。
それを聞いた瞬間、全員の心が一つになり、何とも言えない空気になった。
「お、親方様...。ここで何をしているのです?」
「ん?何って......森を散歩していたらね。セカイイチが僕からコロコロ逃げ出しちゃ
ったの...。んで、それを追いかけてたら、ここに来ちゃったってわけ♪そうだ!
君達、こんなところでサボっちゃいけないよ?」
「えっ?」
ルブンクがおそるおそる聞くと、モルガは、ゆっくりと質問に答え、何かを思い出した
ように声を上げ、ヒカリ達の方を向き、そう言った。ヒルビは、思わず間抜けな声を
上げた。
「君達のお仕事は、森の探索でしょ?ほら、先へ行って行って♪」
「......でも...。」
「親方の言うことが聞けないの?プンプン。早く探索♪探索ー♪」
モルガが笑顔のまま言い、ヒカリが周りやルブンク達を見ながら言いたくても言い
づらいという感じで口ぐもっていると、モルガは、怒っている振りをしてそう言った。
「......ほら、行きましょう。」
「ルーア!?」
「もう!行くよ!サイコキネシス。」
ルーアがそう答え、ヒカリ達を連れて、先に進もうとした。ヒカリ達は、ルーアの行動
に驚き、動けなかった。ルーアは、ヒカリ達が全然動きそうになかったので、サイコ
キネシスでヒカリ達を宙に浮かし、先へ進んだ。
「......
それでは、お願いしますね。」
モルガとの近くを通った際に聞こえた小さな呟き声には、モルガとそれを言った本人
以外、誰も気づかなかった。
「頑張ってね〜♪ああ、早くいい知らせが来ないかなあ〜♪ルン♪ルルルン♪
ルンルン♪ルルルン♪ルンルン♪」
モルガがヒカリを見送った後、鼻歌交じりにそう言った。
「.........あのー、親方様...。」
「ん?どうしたの?友達♪」
「我々も、探索に出かけようと思うのですが...。」
「ええ〜!?いいよう。友達に、そんな苦労をさせられないよう。探索は、さっきの
6匹に任せて、ここで一緒に知らせを待ってよ♪ルルルン♪ルンルン♪ルルルン♪
ルンルン♪」
ルブンクはおそるおそる話しかけ、モルガが笑顔のまま聞き返し、ルブンクがそのまま
の状態でそう言い、モルガは、全く話を聞いてない様子で、首を振って言い、また鼻歌
を歌った。
「ヒソヒソ......。(アニキー。なんだか妙な展開になってきやしたね......。)」
「ヒソヒソ..。(このままじゃ、あいつらに先を越されますぜ。どうするんです?)」
「ヒソヒソ...。(どうもこうもねえだろう。仕方がない。モルガは、ここで俺様達
が倒す!そして、あいつらを追いかけるんだ!)」
ツァイトが近づき、ルブンク達は、ヒソヒソと話し始めた。
「ヒソヒソ...。(......でも、大丈夫ですかね。)」
「ヒソヒソ...。(モルガって、なんか不気味ですぜ。)」
「ヒソヒソ...。(心配するな。大したことはない。それに、モルガは、とても貴重な
お宝を持っているっていう噂だ。)」
ルブンクの作戦に、ツァイトとクンスは不安そうにし、ルブンクは、笑みを浮かべて
そう言った。
「
ええ!...ヒソヒソ...。(ええっ!?お宝!?)」
「ヒソヒソ...。(そうだ。前々から奪ってやろうと思っていたから好都合だ。おい、
クンス。毒ガススペシャルコンボの用意だ。)」
ルブンクの話にツァイトが驚き、ルブンクは、怪しげな笑みを浮かべながらそう言い、
ツァイトは後ろに下がり、ルブンクとクンスが前に出た。
「ルルルン♪ルンルン♪ルルルン♪ルンルン♪」
「ヒソヒソ...。(モルガは、俺様達がここで倒す!悪いが、探検家として有名なあの
モルガも、ここで終わりだ!ククククッ。)」
鼻歌を歌うモルガを見ながら、ルブンクは、小声でそう言った。