20話 遠征への道のり 前編
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ルーアが来てから何日か経った。ルーアは、ヒカリと同じ時間に起きる。アルセウスの
使いで早く起きることが多いらしい。ヒカリも早起きなのはそれが理由らしい。仕事の
方は、ヒカリ達のチームは6匹になったので、3匹ずつになり、2チームに分かれた。
そのことにより、受けられる依頼が多くなった。ちなみに、リンゴの森のことで、
ルブンク達は、少し大人しくなったが、ルブンクの臭いは相変わらず凄く、ルーアが風
で臭いを吹き飛ばすことになった。そのおかげで、ルーアは、他の弟子達と仲良くなる
のが速かった。そして、ついに、遠征メンバーの発表が明日に迫った。皆、最後の最後
までアピールをした。
「明日はいよいよ遠征メンバーの発表だね。なんかドキドキしてきたよ。」
「頑張ってきたんだから大丈夫だよ。やれるだけのことはしたんだし......。」
「そうだね。...例え、落ちたとしても、悔いは残らないよ。」
「もう!マイナスの方向に考えない!!もう寝るわよ!!」
「うん。今日はもう寝よう。明日の発表、楽しみにしよう。」
「だね。おやすみ。」
ヒルビとタイガが話していると、エメリがマイナスな考えを持つヒルビに一喝して、
ベッドに入り、タイガは、寝るという意見に賛成し、ヒルビも頷いて寝た。サロファも
ヒルビ達が寝たことを確認すると、すぐに寝た。
「...ヒカリ、どうしたの?」
「ちょっとぼーとしていただけ。」
ルーアは、窓の外を眺めているヒカリを不思議に思い、話しかけてみると、ヒカリは、
少し微笑みながらそう答えた。
「....悔いはない....か.....。でも、もし、遠征メンバーから落ちたら、その時、
ヒルビはがっかりするだろうね...。」
「......同意見よ。でも、がっかりするのは、私達もでしょう?あんなに頑張って
いたのだから...。」
「...そうね。」
ヒカリは、ヒルビを見つめながらそう言い、ルーアは、微笑みながらヒカリを見つめ
てそう言い、ヒカリも微笑みながら頷いた。
「...もし、『ジュエル』全員で行けるようになったら、その時は、私の能力も役立つ
かもしれない...。」
「そういえば、最近、例の眩暈が起きていないの?」
「うん。役立つ能力だと思うんだけど、見たい時に見れないのがもどかしいのよね..」
ヒカリの話を聞いて、ルーアは、ヒカリの謎の能力について聞くと、ヒカリは、考え
込みながらそう答えた。
「.......あんまり色々考えて過ぎると、眠れなくなりそうだから、私も寝るね。」
「ええ。私は、ちょっと話すことがあるから、先に寝てて。」
「うん、分かった。」
ヒカリとルーアがそう話し合った後、ヒカリはベッドの上に横になり、ルーアは立ち
上がって、テレポートを使って、部屋から出た。
「.....おやすみ。...明日、選ばれるといいね...。」
そんな一人言を聞いているポケモンは、誰もいなかった。
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翌朝、ヒカリ達は、いつも通りに起き、朝礼に出た。弟子達全員、落ち着かない様子
だった。
「えー。それでは。これより、遠征メンバーの発表を行う。親方様、メモを。」
リコラがそんな弟子達の様子を見ながら、前に立ってそう言った。言い終わると、
リコラは、モルガの近くまできて、メモを受け取り、再び弟子達の前に立った。
「ここに遠征に行くメンバーが書かれている。名前を呼ばれた者は、前に出る
ように。」
「うう......いよいよですわね。」
「くぅ〜ドキドキするでゲス。」
リコラがそう言うと、弟子達全員が小声で話し合った。
「それでは、発表するぞ。えーと、まずは、コゴム♪」
「よし!!や、やったあ!!」
リコラがそう言い、メモを読み始めた。リコラが最初にコゴムの名前を呼び、コゴム
は、嬉しそうにガッツポーズをし、前に出た。
「まあ。ワシが選ばれるのは、当然といえば当然だがな。ガハハハハハハハ!!」
(よく言う...。)
(よく言うでゲス...。)
(内心は、決して穏やかでなかったはずですわ...。)
コゴムは前に出て、上機嫌に笑い、そんなコゴムの様子を見て、他の弟子達は、そう
思っていた。
「次!ヒカリ♪ヒルビ♪タイガ♪エメリ♪サロファ♪ルーア♪」
「「「「「えっ!?」」」」」
リコラがヒカリ達の名前を呼び、ヒカリ達はついていけず、その場に立ち尽くして
いた。
「...!ヒカリ!タイガ!エメリ!サロファ!ルーア!僕達、選ばれたんだよ!!」
ヒルビが頭の中で理解し、ぴょんぴょんと跳ねながらそう言い、ヒカリ達もその様子を
見て、実感した。ヒルビとタイガは喜び合い、ヒカリとルーアは、その様子を見て、
笑い合い、エメリは、ドクローズを見つめ、鼻で笑い、サロファは、リコラに、自分達
のことは気にしないで先に進むように言った。
「次!アズニ♪」
「ヘイヘイヘーーーイ!選ばれたぜ!ヘイヘーーーーイ!!」
次に、リコラがアズニを呼び、アズニは、嬉しそうに前に出た。
「そして....お?なんと.....マック♪」
「えええ〜〜〜!?えええええ〜〜〜〜〜!?あ、あっしが〜〜〜〜〜〜!?
遠征隊に〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」
リコラが少し驚きながらマックを呼び、マックは、自分の名前が呼ばれて、凄く
驚いた。
「ん?どうした、マック?早く前に来い。」
「ううっ......そっちに行きたいのはやまやまなんでゲスが、感動のあまり動けない
んでゲス...。」
「仕方がない。ほうっておくぞ。」
リコラは、なかなか前に出ないマックにそう尋ねると、マックは、感動のあまり涙を
流し、そう言った。リコラは、そんなマックを見て、少し呆れながら再びメモを
見始めた。
「次!えーっと....アマラ♪そして、ルリラ♪」
「えっ?私達も!?」
「きゃーですわー!!」
リコラがアマラとルリラを呼び、ルリラは驚き、アマラは嬉しそうに前に出た。
「えー以上で、遠征メンバーは.....えーと....あれ?」
リコラが遠征メンバーの発表を終わろうとした瞬間、リコラから疑問の声が出た。メモ
の端に続きが書かれていたのだ。
(こんなメモのはしっこにも何か書いてある...。親方様ったら、文字が汚ないんだ
から....。分かりにくいよ。まったく、もう...。てなことを口に出して言ったら、
ひどいことになるんで、ここはぐっと我慢するとして...。)
「えーと....遠征メンバーだけど......まだ続きがあるようだ...。」
リコラは、心の中でそう思いながら、全員を見渡し、そう言った。
「他には、ラチア♪プルト♪トリク♪.....以上........って!ええ〜!?
えええ〜〜〜〜〜〜〜〜!?親方様!これって、もしかして...ギルドのメンバー全員
じゃないですか!?」
「うん!そうだよ!」
リコラがラチア達を呼び、全員を呼んだことに気づき、驚きながら翼を羽ばたかせ、
モルガに聞いた。モルガは、普通に頷いた。
「そんなぁ〜!それじゃ、選んだ意味が.....。大体そんなことしたら、ギルドには、
誰もいなくなっちゃうじゃないですかぁ!?留守番する者がいなくて、大丈夫なんです
かぁ!?」
(なら、あんただけでも残れば?)
「大丈夫だよ。ちゃんと戸締まりしていくから♪」
リコラが翼を羽ばたかせそう言い、エメリはそう考え、モルガは、リコラの話に、普通
にニコニコしながらそう言った。リコラは、その様子を見て脱力した。
「親方様、私も心配です。遠征に行くには、少しメンバーが多すぎでは?」
「う〜ん、友達にそう言われると困るけど...。う〜ん.....。」
((((((((((((((いつから友達になった!?))))))))))))))
ルブンクが前に出てモルガにそう言い、モルガは、少し困ったように言った。モルガ
以外の全員が心の中でツッコミを入れた。
「そもそも何故全員で行くのです?皆で行く意味があるんですか?」
「えー!?意味はあるよ!?だってー、全員で行った方が楽しいでしょ!?」
「ひぇ?」
「皆でわいわい行くんだよ!?そう考えたらさ、僕、ワクワクして、夜も眠れなかった
よ♪」
「ひぇぇ......。」
ルブンクの話に、モルガは、ニコニコと笑って答えた。ルブンク達はそれを聞いて、
ポカーンとなっていた。
「という訳で、皆!これから楽しい遠征だよ♪頑張ろうね♪」
「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」
モルガは、弟子達を見てそう言い、弟子達もそれに応えるように、大きな掛け声を
上げた。
「うー.....仕方がないですね。じゃあ、今後の予定を言うよ。このあと、遠征に
ついての説明会を行う。なので、選ばれたメンバーは...(...って、皆だけど..)
各自、遠征に行く準備を済ませてくれ。以上だ。解散。」
リコラは、諦めたようにそう言って今後の予定を説明し、モルガとリコラは部屋に
戻り、ドクローズは外に出た。一方、ヒカリ達、他の弟子達は外に出ず、円になる
ように集まった。
「良かった〜!みんなで遠征に行けますわ!」
「さすが、親方様ですね!本当にびっくり!」
「ヘイヘイ!」
弟子達は、全員が選ばれたことを互いに喜んでいた。
「.....ううっ......あっしは、遠征に連れていってもらえるだけでも嬉しいんで
ゲスが、それがまさか、全員で行けるなんて......ううっ.....夢のような話で、
本当に感動でゲス......うううっ......。」
「夢なんかじゃない。本当のことなのだ。とにかく、みんなで行く以上は、私たちの
力も試されるということだ。なので、ここは、私たち弟子達が一つになって、この
遠征を成功させようでないか!」
マックは、自分が選ばれた時よりも感動し、涙を流していた。プルトは、そんなマック
を慰めながら全員にそう言った。
「そのとおりですわ!」
「よおし!燃えてきたぜ!」
「頑張りましょう!」
「...ううっ...ううっ...。」
「みんなで力を合わせて、頑張ろうね!!」
「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」
プルトの話に全員が賛同し、ヒルビの声を合図に、弟子達全員が大声で掛け声を
上げ、弟子達は散らばって、遠征への準備を始めた。
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「....みんな、集まったみたいだな。それでは、今回の遠征について説明するぞ♪」
全員、準備を終え、再び集まったのを確認し、リコラがくちばしを開いた。
「まず、今回の目的。それは、きりのみずうみの探索だ。」
「きりのみずうみ?」
「そうだ。ここより遥か東にあるとされている湖なのだが、そこは、霧に包まれて
おり、故に、はっきりと確認されたこともなく、噂だけがいきているという幻の
場所なのだ。そして、そこには、とても美しいお宝が眠っていると言われている♪」
リコラは、遠征の説明をし、ヒルビの質問にも普通に答えながらも説明を続けた。
「わぁ〜!お宝!?それを僕達が発見しに行くんだね!すごくワクワクするよ!」
「ヒルビ、落ち着け。」
リコラの話を聞いて、目を輝かせるヒルビに、サロファは注意したが、ヒルビは、それ
でも興奮している。
「うん!楽しみ♪楽しみ♪」
(って、モルガもか!?)
モルガは、元気よく頷きながらそう言い、サロファは、心の中でツッコミを入れた。
(ククククッ。)
ルブンクは、そんな様子を見ながら怪しげな笑みを浮かべていた。
「みんな、不思議な地図を取り出してくれ。」
リコラの言葉に、弟子達全員、不思議な地図を出し、広げた。
「まず、ここがきりのみずうみがあるとされている場所だ。未開の場所だから、雲に
覆われているのだ。我々のギルドはここだ。見ての通り、我々のギルドからかなりの
距離がある。なので、この麓、高原の麓に、我々のベースキャンプを貼ることに
する。また、ベースキャンプまで、全員揃って進むには、機動性にかけるので、この
ベースキャンプまでは、いくつかのグループに分けていく作戦で行動しよう♪」
リコラは、地図を指差しながら作戦などを説明した。
「今から、そのグループ分けを言う。まず、最初のグループ、アマラ、コゴム、
ラチア、トリク。」
「お前達!ワシの足を引っ張るんじゃないぞ!」
「あなたに言われたくないですわ!」
リコラがグループのメンバーを言い、それを聞いて、コゴムがそう言うと、アマラは
反論し、言い合いになった。
「次のグループ、プルト、ルリラ、アズニ、マック。」
「いいメンバーだ。」
「よろしくお願いしますね。」
「ヘイ!よろしく!」
「よろしくでゲス。」
リコラはそれを無視して、続きを言った。コゴム達とは違って、こちらは仲良さげ
だった。
「次のグループ、ヒカリ、ヒルビ、タイガ、エメリ、サロファ、ルーア。」
「変わらないね。」
「そうだね。」
「変わってない方が連係がとれていいんじゃない?」
「というか、『ジュエル』って呼んだ方がいいんじゃないかしら?」
「あ!確かに!」
「まったく、お前達は......。」
リコラがヒカリ達の名前を呼び、ヒカリとタイガとルーアは普通に感想を述べ、エメリ
とヒルビは率直に意見を言い、サロファは、そんなエメリ達を見て、ため息を吐いた。
「えーそして、私と親方様は2匹で行くと......それでよろしいですね?」
「ええ〜!?リコラと一緒!?そんなのつまんなぁ〜い!」
「我儘言わないでください。これは、大事な作戦なんです。」
「.........ケチ。」
リコラがそう言い、モルガに確認すると、モルガは、駄々をこねるようにそう言った。
リコラはその様子を見て、ため息を吐きながらそう言い、モルガは、リコラを見て、
拗ねたようにそう言った。
「ドクローズの方々は、単独でお願いしますね。」
「承知しました。ククククッ。」
リコラは、そんなモルガを無視して、ルブンク達にそう言い、ルブンクは、そう返事
した。
「それでは、みんな♪頑張っていこう♪」
「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」
リコラは前を向いてそう言い、弟子達全員、大声で掛け声を上げた。