16話 久しぶりで嫌な再会
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次の日、ヒカリとタイガは、朝日を見て、サロファが起き、ヒルビとエメリを起こす、
いつも通りの朝だった。
「え〜、.....というわけで、そのはるか東にあるといわれる湖には、未知の部分が
いまだ残されており、それらを解明すべく、我がギルドも、しばらくぶりに、遠征に
行こうと考えている♪」
「わあ〜!遠征でゲスか!?」
「久しぶりですね!遠征するのは!」
「でも、またこの中から、メンバーを選ぶんだよな?」
リコラは、朝礼で、昨夜、ヒカリ達に言った遠征について話した。先輩の弟子達は、
その話を聞き、目を輝かせ、話し合った。コゴムの言葉を聞き、リコラは、翼を羽ば
たかせ、周りを静かにした。
「そのとおり♪出発は、数日後。その数日間の間に、この中から精鋭を選び出し、
そのメンバーで、遠征に出かける。みんな、遠征隊に選ばれるよう頑張ってくれ!」
「きゃー!なんか、燃えてきましたわ!」
「あっしは、まだ遠征に行ったことがないんで、ぜひ、行きたいでゲス!」
「何とか頑張って、メンバーに選ばれようぜ!」
リコラの話を聞き、弟子達全員、さらに目を輝かせ、騒がしくなった。リコラは、再び
翼を羽ばたかせ、周りを静かにした。
「それでは、みんな♪今日も仕事にかかるよ!」
「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」
リコラは、いつも通りの掛け声を言い、弟子達全員、気合い十分に返事をした。ヒカリ
達以外の皆、自分の持ち場に、はりきりながら向かった。ヒカリ達は、その場で、丸く
なり、集まった。
「......早めに仕事をするために、分担するぞ。」
「買い出し組と依頼を決める組に分かれた方がいいんじゃないかな?あと、買い出し組
は、多くなったお金を預けに行くのも。」
「いいね。じゃあ、僕とヒカリとサロファが買い出し組で、ヒルビとエメリが依頼を
決めてね。」
サロファとヒカリの提案に、タイガは、真っ先に賛成し、組分けした。タイガの組分け
に、ヒルビとエメリは、不満そうな顔をした。
「何でエメリと一緒なんだ!エメリと一緒だったら、僕の行動の何かで、エメリに叩か
れるから、だめだよ!」
「ちょっと!ヒルビといたら話が合わないから、変えなさいよ、タイガ!」
「すぐに我がまま言うな!そのせいで、俺とタイガ、ヒカリにまで迷惑がかかるんだ。
これをきっかけに、少しは、大人しくなれ!!」
「サロファ、落ち着いて。ヒルビとエメリも、文句を言っていたら、バトルの時の連携
が難しくなるから、ちゃんと話し合う方がいいよ。」
「「.....................。」」
ヒルビとエメリは、文句を言うが、サロファの説教で遮られた。ヒカリは、怒っている
サロファを宥めながらそう言い、ヒルビとエメリは、サロファの説教とヒカリの話を
聞いて、無言になりながらも頷いた。ヒカリとタイガとサロファは、買い物に行き、
ヒルビとエメリは、掲示板に向かった。
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広場
「「ありがとうございました。」」
「オレンのみとピーピーマックスを買いすぎちゃったから、私は、倉庫に
ピーピーマックスを預けてくるね。」
「ああ。俺達は、ポケを預けてくる。」
「いくら預ければいいか話し合うから、時間がかかると思うから、ヨマワル銀行で
待ち合わせだよ。」
ヒカリ達は、カミルとカムルのお店で買い物をした。その時、ちょうど安売りをして
いて、しかも、オレンのみとピーピーマックスが大量に売られていたため、買う予定の
より多く買ったので、いくつか倉庫に預けることにした。多く買ったとはいえ、安売り
だったため、残金もまだ残っているので、倉庫に預けに行くのをヒカリ、お金を預けに
行くのをサロファとタイガという感じで分かれた。ヒカリは、ガルーラ倉庫で預け、
買う予定の数に減らし、ヨマワル銀行に向かおうとした。その時、
「......あら?もしかして、ヒカリちゃん?」
「!!エスラさん!.........と、メイトさん?」
後ろから突然話しかけられ、後ろを振り向くと、そこには、エネコロロのエスラと
フローゼルのメイトがいた。
「ええ、そうよ。改めて紹介するわ。彼は、フローゼルのメイト。メイト、こちらは、
この前のヒカリちゃんよ。」
「........ああ、お前が迷子になった時に巻き込まれた子だな。すまないな、この
間抜けが迷惑かけて。」
「い、いえ............」
エスラは、ヒカリにメイトを紹介し、メイトにヒカリを紹介した。メイトは、ヒカリと
いう名前に反応し、何か考え込みながらそう言った。ヒカリは、メイトの言葉に、首を
横に振った。
「ちょっと、メイト!いきなりそんなこと言って、ヒカリちゃんが困っているでしょ!
それに、メイトは、ただ迷子とか間抜けとか言いたいだけでしょ!迷子になったこと
は、本当だから認めるけど、私は、間抜けじゃないわ!!」
「......迷子になること自体が間抜けだ。まったく、何故普通に歩いているだけで、
お前は、どこかへ行く。それに、忘れ物もよくするし、落とし物もよくする。」
「そ、それは、方向音痴だからよ!忘れ物と落とし物は......物が勝手に、どこか
いっちゃうからよ!」
「...一人で買い物はできるだろう。買う物を間違えることはあるが。お前は、迷子に
なるたびに、方向音痴だと言うが、ぼーとしていたら、いつの間にか俺がいなく
なっているっということだろう。忘れ物と落とし物も、ぼーとしていたら忘れた
とか、落としたとか、そんな感じだろう。」
「...それは。.......だったら、メイトがしっかりすればいいのよ!」
「知るか。お前のお守りじゃないんだ、俺は。」
エスラは。メイトの言葉に、不満そうな顔をして言い、メイトは、淡々とため息を吐き
ながら言った。エスラとメイトの言いあいが始まり、ヒカリは、一人、言いあいが終わ
るまで、ずっとおろおろしていた。エスラとメイトの言いあいは、エスラが何も言え
なくなるまで続いた。
「......すまないな。そっちは、仕事があるのにな。.........俺達は、そろそろ
行く。」
「ちょっと待って!ヒカリちゃん、またね。」
「は、はい。」
言いあいが終わり、メイトは、ヒカリの様子に気がつき、謝罪しながらそう言い、
去って行った。エスラも、ヒカリにそう言ってから、慌ててメイトの後を追った。
ヒカリは、戸惑いながらも返事をした後、二匹の背中を見つめていた。エスラとメイト
が見えなくなると、ヒカリは、タイガとサロファのいるヨマワル銀行に向かった。
ヒカリが着いた時には、タイガとサロファが、ちょうどお金を預け終わった時だった。
ヒカリは、タイガとサロファと合流し、ヒカリ達は、プクリンのギルドに向かった。
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一方、ヒルビとエメリは............
「お尋ね者の依頼は、これくらいでいいかしら?」
「うん。本当は、減らしてほしいんだけど........。」
ヒルビとエメリは、始めにお尋ね者のポスターの掲示板のところで、依頼を選んで
いた。エメリは、お尋ね者の依頼を一通り選び、ヒルビは、頷きながら、小声で本音を
言った。
「...はあ........あんた、本当に臆病過ぎよ!遠征隊に選ばれたくないの!」
「....ううっ。......確かに、遠征隊に選ばれたいよ。...分かったよ。それじゃ、
次は、左の掲示板のところに行こう。...........あれ?あそこにいるポケモン
って.........。」
だが、ヒルビの小声は、エメリには聞こえ、エメリがため息を吐きながらそう言い、
ヒルビは、エメリに、遠征のことを言われ、しぶしぶ納得し、左の掲示板の方に
向かった。左の掲示板の前には、見たことのある二匹がいた。
「あーーーーーーーー!!」
「お、お前達は!!」
二匹は、ヒルビとエメリに気づき、声を上げた。
「......えーと.....あれ?....あの二匹...........確か...前に会った
ような.........」
「......うーーーん............」
「「誰だっけ?」」
ヒルビとエメリは思い出せず、互いに首を傾げ、そう言うと、二匹は、地面に頭をぶつ
けた。
「お、お前ら!本気で覚えていないのか!!」
「海岸でお前のガラクタを奪った.................」
「あ!思い出したわ!!大して強くないのに、ヒルビの宝物を盗んで、まるで、捕まえて
くださいと言っているかのように、海岸の洞窟に入って、最奥部で、私達にぼこぼこ
にやられた連中だったわ。あっさり勝っちゃったから、会ったこともすっかり忘れて
いたわ。」
二匹は、すぐに起きあがり、ヒルビを指差して説明しようとした時、エメリが大声を
上げ、そう言った。二匹は、なんだか泣きそうになっていた。
「お、思い出した!僕の大切な遺跡の欠片を奪ったあの二匹だ!!確か...ツァイトと
クンスだっけ?その二匹が、何でここにいるんだよ!?」
「ケッ、俺達は、探検隊なんだぜ。やり方は、少し悪どいがな。」
「へへっ、探検隊が掲示板にいて、何がおかしいんだよ?」
ヒルビも、エメリの話を聞いて、思い出し、ツァイトとクンスに叫ぶように尋ねた。
すると、ツァイトとクンスは、当たり前のように言った。
「ええーーーーーーーー!?探検隊ーーーーーー!?」
「ありえなさすぎよ!こいつらが探検隊だなんて、お尋ね者の間違いでしょ!どう考えて
も、絶対探検隊じゃないわ!!」
「「そこまで言うか!!」」
ヒルビは驚き、エメリは、二匹に、疑いの目で見た。エメリに言われ、二匹同時に、
叫ぶように言い返した。その直後、エメリが、つるのムチで地面を叩きつけ、黙れと
言っているようなオーラを出した。これを見て、ツァイトとクンスだけでなく、ヒルビ
も、顔を真っ青にした。
「で、そういうお前達こそ、何でここにいるんだよ?」
「僕達も探検隊になりたくて、このギルドで修行しているんだ。」
「「探検隊になりたいだって〜〜〜〜!!」」
クンスは、少し震えた声で、空気を変えようと聞き、ヒルビは、おずおずと答えると、
ツァイトとクンスは、同時に大声で叫び、互いに顔を見合わせた。ヒルビとエメリは、
その様子を見て、頭に疑問符を浮かべながら、ツァイトとクンスを見た。
「お前、ちょっとこっちこい。」
「な、なんなんだ?」
ヒルビは、ツァイトとクンスに引っ張られ、エメリから少し離された。ヒルビは、困惑
しながら、ツァイトとクンスに聞いた。
「悪いことは言わねえ。探検隊はあきらめろ。」
「ええ〜〜!?なんで!?」
「だって、お前、臆病じゃないか。そこの暴力チコリータと違って......あいつも
暴力だから、あきらめ.........うわっ!?」
「誰が暴力よ!勝手にあきらめろと決めつけて、えらそうじゃないの!」
クンスが言い、ヒルビが驚きながら聞いた。ツァイトは、エメリを見ながら言っている
と、エメリは、つるのムチで、バシッと地面を叩いた。その様子を見て、ツァイトも
クンスも、近くにいたヒルビも、顔を真っ青にした。
「......お、お、お前達のようなやつらは、探検隊は、
無理だぜ。」
「...た、確かに、僕は、臆病だけど、でも、そんな自分に負けないよう修行している
つもりだよ!今も、ギルドの遠征隊に選ばれるように頑張っているんだ!」
「ほう、遠征があるのか。」
「へへっ。でも、頑張ればいいってもんじゃないぜ。実力がなければ、遠征隊には、
選ばれないんだろ?結局のところは、実力だよ。実力。......うわっ!?」
クンスは、真っ青の状態のまま、声が震えながらも、最後の方の声が小さくなっていて
も言った。ヒルビは、そのことを内心で同情しながら、勇気を出して言った。ヒルビの
遠征という言葉に、ツァイトとクンスは、少し調子が元に戻ったような感じで反応
した。ツァイトが言い終わったと同時に、ツァイトに向かって、緑色の物が飛んで
きた。ツァイトは、慌ててかわした。もう誰がやったか分かる。ツァイトも、クンス
も、ヒルビも、おそるおそるエメリを見た。エメリは、笑顔であったが、目が笑って
いなかった。
「ふーん。あなた達、まだよく分かっていないの?あたし達は、あなた達の前にある
掲示板に用があるの。いい加減に、そこから退いてくれる?あなた達、あたし達に
負けたよね?実力って言っておきながら、あたし達より弱いのに、偉そうじゃない!」
「...あ、あの時は、アニキがいなかったからな。」
「ア、アニキ?」
エメリは、そのままの状態で言い放ち、クンスは、エメリに怯えながら言った。ヒルビ
は、クンスの言っているアニキについて聞いた。
「へへっ、そうだ。俺達探検隊ドクローズは全員で三匹。」
「そのリーダー...つまり、アニキがものすごい実力の持ち主。」
「はっきり言ってしまえば、ものすごく強いのだ。」
アニキについて聞くと、クンスとツァイトは、調子を戻したようにべらべら言った。
「あら?アニキとかいうのがいないと、あなた達はダメダメだって言っているような
ものじゃない。」
「うるせえ!アニキさえいれば、お前達なんか、一捻りだぜ。」
エメリは、クンスとツァイトの態度が気にくわなかったらしくそう挑発すると、
ツァイトは、図星だったらしく、少し動揺している様子で言い返した。
「お!噂をすれば、この臭い!アニキのおでましだ。」
「「臭い?........うっ!?」」
エメリとツァイトが言い合っている間に、クンスは、何かに気づいたらしく梯子の方を
向いて言い、ヒルビとエメリが、クンスの言葉に疑問符を浮かべていると、突然、強烈
な臭いがして、顔をしかめた。すると、梯子からスカタンクが下りてきた。
「どけ!邪魔だ!!」
「きゃー!?」
「エ、エメリ!!......うぐっ...何だ、この臭いは......。」
スカタンクは下りてくると、近くにいたエメリを吹き飛ばした。ヒルビは、驚きながら
も、鼻をおさえ、エメリを吹き飛ばした犯人を見た。すると、スカタンクは、ヒルビを
睨みながら近づいてきた。
「きゃー!なんかおならくさいですわー!!」
「あっしがしたんじゃないでゲスよ〜!」
「ヘイヘイ!じゃあ、いったい、誰がしたんだよ!」
地下一階にいた他の弟子達が騒いでいるが、ヒルビ達は、それどころじゃなかった。
「どけ!お前も、さっきのやつみたいに張り倒されたいか!?」
「ううっ......。」
スカタンクは、目の前のヒルビを睨みながら怒鳴り、エメリを倒されたことの怯えと
スカタンク自身の迫力に負けたヒルビは、大人しくスカタンクに道を開けた。
スカタンクは、何事もなかったように、ヒルビの横を通り過ぎた。
「アニキーーー!!」
「やっぱり、アニキは、強ーいや!!」
そんな様子を見たツァイトとクンスは、感嘆の声を上げた。
「そんなことより。お前達、金になりそうな仕事はあったのか?」
「掲示板には、これといっていい仕事はなかったんですが、それよりアニキ。耳寄りな
話が........どうやら、このギルド、遠征があるようです。」
スカタンクは、どうでもいいという感じでその話を流し、ツァイトとクンスに聞くと、
クンスは、掲示板のこととヒルビ達に聞いた遠征のことを話した。
「何?ここのギルドで遠征を?それは、おいしそうな話だな。早速帰って、悪巧みだ。
お前達、行くぞ!」
「「へい!」」
スカタンクは、それを聞くと、悪そうな笑みを浮かべ、ツァイトとクンスを呼び、梯子
の方に向かった。ツァイトとクンスは、返事をし、スカタンクの後をついていった。
「おい!お前ら、見世物じゃねえぜ!」
「へへっ、じゃあな。弱虫君。努力したって、無理なものは無理なんだよ。」
クンスは、自分達を見ている弟子達に気づき、睨みつけた。見ていた弟子達は、慌てて
目線をそらした。ツァイトは、嫌みのような笑みを浮かべて言った。ツァイトとクンス
は、進もうとしたが、スカタンクが止まっていた。
「ん?何だ、お前は!?」
スカタンクの目の前に立っていたのは、買い出しから帰ってきたヒカリだった。ヒカリ
は、初対面だろうと、自分よりも大きいスカタンクの真っ正面にしっかりと立って
いた。
「どけ!邪魔だ!」
「いいえ。何かを頼む時の態度とは思えないですね。それと、ヒルビに言ったことも
止めてください。ヒルビはしっかりと努力しています。その努力を馬鹿にしないで
ください。....ヒルビを馬鹿にしないでください!」
「...何、おかしなことを言っているんだか......。いいから、どけ!」
「何度言っても、ヒルビのことと、ただ通るだけで、エメリを吹き飛ばしたことを
謝罪してもらうまで通しません!」
スカタンクが怒鳴るが、ヒカリはまったく動じず、スカタンクを見て、はっきり言い
放った。しかし、スカタンクは、聞く耳を持たないという態度で、再び怒鳴った。
だが、ヒカリも、一歩も引かない様子で言った。それを見て、スカタンクは、これ以上
言っても無駄だと思い、エメリ同様、ヒカリも吹き飛ばそうとした瞬間、ヒカリの姿が
消えた。
「!?...何!?」
スカタンクは、攻撃が空振りになったことに驚いていると、突然、足に痛みがはしり、
スカタンクが下を見ると、ヒカリがスカタンクの足下の近くにいた。ヒカリの尻尾は、
まるで鉄のようだった。ヒカリは、覚えたばかりのアイアンテールを使って、足払いを
した。スカタンクは、前足も後ろ足も払われたため、地面に倒れた。
「.....無理だと思ったら、実力行使ですか。........最低です。もっと話したり、
譲りあったりしてください。」
ヒカリがそう言うと同時に、何かがヒカリとスカタンクを通りすぎ、梯子に叩きつけら
れた。傷だらけになったクンスとツァイトだった。後ろには、吹き飛ばされたダメージ
から回復し、つるのムチを出している状態のエメリときりさくを使った状態のサロファ
がいた。いつの間にかヒルビの隣には、タイガがいた。
「.....えっ!?いつの間に...........」
「僕達が帰ってきた時、ちょうどあのスカタンク達がヒルビとエメリに絡んでいる時
だったんだ。それで、あのスカタンク達が何をするのか見ていたら、エメリが吹き
飛ばされて、ヒルビのことを悪く言ったから、僕達、その場で考えてみたんだ。
......まず、ヒカリが、あのスカタンクが話を聞いてくれるかどうか話しかけ、
聞いてもらえるのであれば、そのまま話す。聞いてもらえず、エメリの時のように
吹き飛ばそうとするなら、ちょっとした攻撃をするということにしたんだ。次に、
ヒカリが話しかけている間に、僕とサロファがエメリに近づき、オレンのみで回復
させる。そして、スカタンクが話を聞いてもらえるのであれば、僕達は何もせず、
聞かなかったら、ヒカリの邪魔をしないように、僕達があの2匹を何とかするという
ことにしたんだ。」
そのことに気づき、驚いたヒルビに、近くにいたタイガが説明した。
「僕、ヒカリの方を見ていたから、まったく気がつかなかったよ...。」
「まあ、僕も、ヒカリも、サロファとエメリが、あの2匹をぼこぼこに倒しちゃった
のは、想定外だったけどね。エメリが吹き飛ばされたことに腹をたてているから、僕
とサロファが、エメリを止めるということにしていたんだけど、サロファが部屋の
臭さで、イライラしていたらしく、ヒカリを吹き飛ばそうとした瞬間、2匹に近づい
て、きりさくを使った後、エメリが2匹を梯子に叩きつけたんだよね。いきなりの
ことで、止められなかったよ。」
ヒルビがそう落ち込みぎみに呟き、タイガは、慰めながら、その時のことを思い出し、
苦笑いをしていた。よく見れば、クンスにもツァイトにも、一回みねうちのように切ら
れた傷と叩かれて赤く腫れた傷があった。ヒルビとタイガが話している間に、
スカタンクは、悔しそうな顔で舌打ちをしながら、クンスとツァイトを連れて出ていっ
た。スカタンク達がいなくなった後、ヒカリは、エメリのことを確認し、ヒルビの
ところに近づいた。
「エメリは、大丈夫そうだったけど、ヒルビは大丈夫?......あのポケモン達の言葉を
真に受けず、ヒルビはヒルビのペースで努力すればいいんだから。」
「励ましてくれてありがとう、ヒカリ....。....僕は、やっぱり弱虫だよ。だから、
もっと頑張らないと!」
ヒカリは、ヒルビを慰め、ヒルビは、少し元気を取り戻したらしく、手に力を込め、
笑いながらそう言った。ヒカリとタイガは、ヒルビが元気になったことにほっとした。
「......で、依頼はどうした?」
「お尋ね者ポスターから何枚か選んで、ちょうどそれと同じ場所の依頼を選ぼうとした
ところよ。邪魔者はいなくなったし、選びに行くわ............」
「待って!もう少しお尋ね者の依頼を多く受けよう。」
一段落し、サロファの質問に、エメリが答え、掲示板に向かおうとした時、ヒルビが
止め、もっとお尋ね者の依頼を受けようと言い、ヒカリ達が驚いて、ヒルビを見た。
ヒルビの目は、本気だった。ヒカリ達も、それに気づき頷いた。
「よーし!ヒルビ!こうなったら、依頼を全部受けよう!!」
「うん!!」
「「....えっ!?」」
「はあ。」
中でもエメリがのる気満々らしく、依頼を全部取っていこうとした。ヒルビも、エメリ
と同じように全部取っていく気で、依頼を取っている。ヒカリとタイガは、エメリと
ヒルビの話に驚きの声が漏れ、サロファは、ため息を吐いた。結果、ヒカリ達は、その
日のほとんどの依頼をこなした。他の弟子達は、ヒカリ達がいなくなった後、ギルドに
充満したスカタンクの臭いをなくすのに、一日かかった。ちなみに、ヒカリ達は、大量
の依頼をこなしたことにより、探検隊ランクがシルバーランクに上がった。