9話 目覚める不思議な力
次の日の朝、
ヒカリは、朝早く起き、タイガと一緒に日の出を見て、しばらくすると、コゴムが
起こしにきた。昨日と同じで、色々あって、忙しかったため、サロファは疲れて、まだ
寝ていた。ヒルビとエメリも、まだ寝ていた。その様子を見て、コゴムは、息を吸い、
大声で叫んだ。ヒカリとタイガは、耳を塞げたが、サロファは、また不機嫌で、昨日と
同じ攻撃をした。だが、昨日と違い、ヒルビが寝惚けて、コゴムをダンジョンの敵
ポケモンだと思い、攻撃してしまい、その時に、エメリの足を踏み、エメリも、寝惚け
ていることと足を踏まれて、不機嫌になっていることで、コゴムが足を踏んだと思い、
攻撃した。ヒルビとエメリとサロファの攻撃で、コゴムは、吹き飛ばされ、気絶して
いた。そのあと、コゴムが起き、朝礼をした。朝礼が終わると、リコラに呼び出され、
昨日の左にある掲示板と違う、右にある掲示板の前に立っていた。
「色んなポケモンの絵が貼ってあるけど、彼らは、何なの?」
「ここにあるのは、全員、お尋ね者だ。」
「ええーーーーーーーーー!?お、お尋ね者!?」
(......お尋ね者って、悪いことをして、指名手配されているポケモン達だよね。
指名手配されているから、捕まえたら、賞金が貰えるんだよね。......ということ
は、今日の仕事は、お尋ね者の逮捕かな?...昨日のカブトも、お尋ね者だよね。
捕まえたから、エメリの騒動が終わった時に、賞金を貰ったけど、やっぱり1割
だったな。今回もそうよね。)
ヒルビは、掲示板に貼ってあるポケモンの絵を見て、リコラに聞くと、リコラは、咳払
いしてから言い、ヒルビは、リコラの話を聞いて、驚いて叫んだ。ヒカリは、お尋ね者
という言葉で、タイガとサロファの説明を思い出し、そう思っていた。
「極悪なポケモンが多いからねえ。...皆、手をやいているんだよ。」
「えっ、ええーーーーーーーーーーーー!?む、無理だよ!」
「悪いポケモンっていっても、色々いるからね♪世紀の極悪ポケモンもいれば、
ちょっとしたコソドロもいるっていう感じで、本当ピンキリだよ♪極悪ポケモンを
捕まえてこいなんて、入ったばかりのお前達に頼めるわけないじゃないか♪まあ、
この中から弱そうなポケモンを選んで、こらしめてくれ♪お前達は、昨日、強盗の
カブトを捕まえられたんだから、大丈夫だと思うよ。」
リコラの話に、ヒルビは、大声で叫んだ。リコラは、ヒルビを落ち着かせようと、説明
しているが、ヒルビは、落ち着く様子がない。
「......弱いといっても、悪いポケモンには、変わりないんだよね。そんなやつと
戦うなんて、大丈夫だと言われても、僕、怖いよ。」
「情けないことを言わないの!まったく、全然変わっていないわね!!」
「ううっ......い、痛いよ。」
ヒルビがネガティブなことを言い、エメリが怒って、つるのムチで、ヒルビを叩いた。
ヒルビは、痛そうに、エメリに叩かれたところを擦っていた。
「...と、とりあえず、強盗のことがあったとはいえ、今回は、それなりの準備をした
方がいいよね......。誰に、施設を案内させるか。..おーい!マック!!マック!?」
「はいーーーーーー!」
リコラは、昨日のことを思い出し、一歩、後退りながら言い、少し考えてから、大声で
誰かを呼んだ。そして、返事をして現れたのは、ビッパのマックだった。
「はあはあはあはあはあはあ.........。お、お呼びでしょうか!」
「こいつらを、広場に案内してやってくれ♪」
「はいーーーーーー!了解でゲス!!」
「マックの言うことを、ちゃんと聞いて、行動するんだぞ。じゃあな♪」
リコラとマックは、少し話をすると、リコラは、下に降りていった。
「.........ううっ。嬉しいでゲス。」
「ど....どうしたの?」
マックは、体を揺らして、泣いていた。ヒカリ達は、何のことだか分からず、疑問符を
浮かべていた。ヒルビは、驚きながら聞いてみた。
「後輩ができたんで、感動しているんでゲス。.........うううっ...。君達が、ここ
に来る前は、自分が、一番の新入りだったんでゲスよ。だから、後輩ができたことが
嬉しいんでゲス。」
(......まあ、最近、弟子入りするポケモンがいなかったみたいだったし、後輩が、
なかなかできなかったから、私達が、初めての後輩ということなんだよね。.....
泣くくらいだから、後輩ができるまで、結構、時間が経っていたのかな?)
マックの話に、ヒカリは、そう思い、納得した。ヒルビ達も、納得している様子だ。
「じゃあ、案内するでゲス。ここは、君達が見てのとおり、地下一階は、探検隊の
ポケモン達が依頼を受けるための場所、地下二階は、あっし達、弟子達の部屋と
食堂と親方様のお部屋があるでゲス。あと、トリクがいるんでゲスが、実は、何を
やっているのか、あっしにも、謎なんでゲスよ。なんか、後ろのツボを、いつも
いじっているみたいなんでゲスが、よく分からないんでゲスよ。じゃあ、次は、
ギルドの外を案内するでゲスね。ついてくるでゲスよ。」
(............薬屋さんとか、そういうことをしているのかな?)
マックは、始めにギルドのことを簡単に説明し、トリクについての謎ができたが、外を
案内するため、ヒカリ達は、梯子を上った。ヒカリは、トリクが何をしているのか、
ギルドの外に出るまで、考えていた。
...........................
トレジャータウン
「ここが、ポケモン達の広場、トレジャータウンでゲス。」
「ああ、トレジャータウンのことなら、僕達も分かるよ。」
トレジャータウンに到着すると、ヒルビは、周りを見渡した。
「まず、あそこがヨマワル銀行。お金が預けられるよ。そして、あそこがエレキブル
連結店。技の連結ができるんだけど、今日は、エレキブルがいないみたい。あそこ
は、カクレオンのお店。道具を買ったり、売ったりできるんだよ。そして、その奥が
ガルーラの倉庫。ここに道具を預ければ、絶対になくならないよ。大切な道具があっ
たら、冒険する前に、ここに預ける。探検隊の基本だよね。大体、こんな感じ
かな?」
「うん。」
ヒルビが簡単に説明し終わると、タイガに目で尋ねると、タイガは頷いた。
「なかなか詳しいでゲスね。それなら、安心でゲス。じゃあ、一通り準備ができたら、
あっしに、声をかけるでゲスよ。そうしたら、お尋ね者を選ぶの、あっしも手伝う
でゲスよ。」
「ありがとう。マックって、優しいんだね。」
「そ、そんな......。照れるでゲスよ...。じゃあ、あっしは、ギルドの地下一階で
待っているでゲスよ。」
マックは、安心した様子で言い、ヒルビが、マックにお礼を言うと、マックは、照れた
様子で、ギルドに戻っていった。
「......じゃあ、いくつか道具を預け、荷物の中の整理をした後、カクレオンのお店
で必要そうな物を買うか。」
サロファの言葉で、ヒカリ達は、ガルーラの倉庫で、いくつか道具を預け、荷物の中の
整理をした。そのあと、隣のカクレオンのお店に行ったが、
「だ〜か〜ら〜、ピーピーマックスを買うのよ!!」
「いや、リンゴを買った方がいいって!!」
「すみません。カミルさん、カムルさん。」
カクレオンのお店で、ピーピーマックスとオレンのみを買って、もう1つ何か買おうと
いうことになり、エメリは、ピーピーマックスを、もう1つ買おうと言い、ヒルビは、
リンゴを買いたいと言った。と言っても、エメリは、技をよく使うため、技のPPがなく
なりやすいからで、ヒルビは、冒険の最中に、おなかが、すぐにすくため、欲しいので
ある。タイガは、店の店主のカクレオンのカミルさんとカムルに、店の前で喧嘩して
いるヒルビとエメリのことを謝っていた。カミルとカムルは、気にしなくていいと言っ
ていた。サロファは、ため息を吐き、ヒカリは、苦笑いしていると、一匹のエネコロロ
が辺りを見渡していた。困っている顔をしていたので、誰かとはぐれたのかもしれなか
った。ヒカリは、話しかけに行こうかと思ったが、買い物の最中で、ヒルビとエメリの
喧嘩は終わりそうにないので、どうしようかと迷っていた。
「......行ってこい。こっちは、何とかなる。」
サロファは、ヒカリの様子に気づき、そう言った。ヒカリは、少しためらいながら、
サロファにお礼を言い、エネコロロの方に向かった。
「...もう、どこに行っちゃったの?」
「.........あ、あの。....どうかしました?」
「!?」
エネコロロが呟いていると、突然声をかけられ、驚いて声がした方を向くと、そこに
は、一匹の女の子のピカチュウ、ヒカリがいた。
「...え、ええ。連れがいなくなって、探していたの。」
「それなら、私も、手伝いましょうか?」
「本当!ありがとう!!」
エネコロロは、突然のことに戸惑いながら答えた。ヒカリは、それを聞いて、手伝うと
言うと、エネコロロは、嬉しそうにお礼を言い、ヒカリと一緒に歩きながら探した。
「それって、探検隊のバッチよね?あなた、ひょっとして、探検隊?」
「はい。入ったばかりですが..................」
「すごいじゃない。」
ヒカリとエネコロロは、歩きながら話し、エネコロロの連れのポケモンを探していた。
「そういえば、名前を言っていなかったわね。私は、エスラ。探検隊ではないけど、
色々な場所を冒険しているの。あなたは?」
「ヒカリです。」
「ヒカリ?.............ヒカリ....光.....................」
エネコロロ、エスラは、自己紹介をしていなかったことに気づき、自己紹介をして、
ヒカリに、名前を尋ね、ヒカリが名前を言うと、エスラは、少し考えているような顔を
した。
「.........エスラさん?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと『ヒカリ』っていう言葉に、少し思い当たることがあっ
て、考え込んでしまっただけだから。ヒカリちゃんね。いい名前ね。」
「ありがとうございます。」
ヒカリは、エスラの様子を疑問に思い、名前を呼ぶと、エスラは、笑顔で言い、ヒカリ
は、お礼を言った。それから歩いていると、一匹のフローゼルが、こちらを見ていた。
エスラは、それを見て、嬉しそうだった。
「彼が、私の連れよ。彼は、メイトっていう名前なの。本当は、互いに自己紹介をした
方がいいんだけど、メイトは、今、不機嫌で難しそうだから、ここまででいいわ。
ありがとうね。お礼よ。」
「お礼なんていいですよ。」
「いいの。いいの。気にしないで。また今度、会いましょう。」
ヒカリとエスラは、フローゼル、メイトから離れた場所で、少し話をした。エスラが
お礼を渡し、ヒカリが断った後、エスラは、ヒカリにお礼を渡した後、メイトのところ
に向かった。ヒカリは、返そうと思ったが、エスラが行ってしまい、仕方がないと
思い、お礼の物をよく見ると、それは、ピーピーマックスとリンゴだった。ヒカリは、
それを見て、ヒルビとエメリの喧嘩のことを知って、渡したんじゃないかと思い、
ドキリとした。ヒカリは、エスラから貰ったお礼の物を持って、戻ってくると、ヒルビ
とエメリが不機嫌そうに、サロファを見ていた。
「.....どうしたの?」
「ヒカリがいなくなった後も、ヒルビとエメリの喧嘩が続いていたんだけど、サロファ
が、これ以上続けば、周りのポケモン達にも、迷惑がかかるから、オレンのみを、
もう一回買って、無理矢理買い物を終わらせたんだ。だけど、ヒルビとエメリは、
やっぱり納得がいかなかったんだけど、サロファにやられて、おとなしくしている
けど、納得がいっていなくて、あんな感じなんだ。」
ヒカリが聞くと、タイガが、ヒカリがいない間に、何があったかを、簡単に説明した。
ヒカリは、タイガの説明で納得し、ヒルビ達に、エスラからお礼に貰った物を見せた。
ヒルビ達は驚き、ヒカリは、お礼に貰ったことを説明すると、タイガとサロファは納得
し、ヒルビとエメリは、大喜びした。買い物が終わり、ヒルビとエメリの機嫌が直った
ため、ヒカリ達が、ギルドに戻ろうとしたら、
「カミルさん!カムルさん!」
お店に、マリルとルリリが走ってきた。二匹は、ヒカリ達より年下で、まだ幼い子ども
だった。
「おお〜!アウルちゃんに、アイルちゃん!いらっしゃ〜い♪」
「すみません。リンゴ、ください。」
「はいよ!」
カミルとカムルは、嬉しそうに言い、ルリリ、アイルが注文して、マリル、アウルが、
カミルにお金と袋を渡した。カミルは、リンゴを袋に入れて、アウルに手渡した。
「ありがとう!カミルさん!」
「まいど〜!いつもえらいね〜♪」
アウルとアイルは、お辞儀をして、去っていった。カミルは、そんな二匹の様子を
見て、手を振っていた。
「あの子達は?」
「いやね。あの二匹は、兄弟なんですけど、最近、お母さんの具合が悪いんで、代わり
にああやって、買い物をしているんですよ。いやほんと。まだ幼いのに、えらいです
よね〜♪」
ヒルビが、気になって聞くと、カミルは、そう言った。ヒカリ達も、あの二匹に、関心
した。
「すみません〜!」
「おや!どうした?慌てて戻ってきて。」
突然、アウルとアイルが走ってきて、ヒカリ達は、どうしたんだろうと思っていると、
「リンゴが、1つ多いです!」
「僕達、こんなに多く買っていないです。」
アウルとアイルは、リンゴが多いことに気づき、わざわざ返しにきたのだった。ヒカリ
達は、さらに関心した。
「ああ。それは、私からのおまけだよ。二匹で仲良く分けて、食べるんだよ。」
「ほんと!?」
「わーい!ありがとう!カミルさん!」
アウルとアイルは、嬉しそうにお礼を言った。
「いやいや。気をつけて、帰るんだよ〜♪」
「「はーい!」」
アウルとアイルは、カミルの言葉に返事をして、歩いた。だが、
「イテッ!」
アイルが、石につまずいて転び、リンゴが、コロコロと転がり、ヒカリの足元に転がっ
てきた。ヒカリは、足元のリンゴを拾い、アイルの方に近づいた。
「大丈夫?慌てると危ないから、気をつけてね。」
「す、すみません。ありがとうございます。」
ヒカリは、そう言い、アイルに、リンゴを手渡した。アイルは、お礼を言い、リンゴを
受け取った。その時!
(な、何?今のは?..........前に起こった......いや、違う。........め、眩暈?
かな?...............)
ヒカリは、眩暈に耐えながら、倒れないように、必死に足を踏ん張り、そう思って
いた。すると、ヒカリの目の前が真っ暗になり、音も聞こえなくなった。そのすぐ
あと、一筋の閃光が通った。
『た.....助けて!!』
ヒカリの耳に、その声が聞こえると、ヒカリの目の前には、アイルと、近くにヒルビ達
がいる、トレジャータウンの景色が見えた。
(えっ!?何、今の!?.........海岸の洞窟の時と部屋で朝日を見た時とは違う。...
あの時は、眩暈なんてしなかったし、それに、海岸の洞窟の時と部屋で朝日を見た時
は、懐かしいという感じがしたけど、今回は、しなかった。........助けを求める
声が聞こえた。.......あ、あの声は...まさか........................)
「......?..........どうかしたのですか?」
「おーい、アイル!どうしたんだ。大丈夫か?早くこいよー。」
「うん。今行くよ、お兄ちゃん!それでは。」
ヒカリは、困惑した表情で、さっきの出来事について考えながら、辺りを見渡した。
アイルは、ヒカリの様子を見て、心配していたが、兄のアウルに呼ばれて、ヒカリ達に
頭を下げて、アウルのところにいった。
「あの二匹、可愛いね。」
「ええ。幼いのに、礼儀正しいわね。」
「お前達も見習え。......ヒカリ、大丈夫か?」
「さっきから、様子が変だよ?」
ヒルビとエメリは、アウルとアイルのことを話し、サロファは、そんなヒルビとエメリ
に言い、ヒカリに声をかけた。タイガも、考え事をしているようなヒカリの様子に気づ
いていて、声をかけた。
「...えっ、あ、うん。.......さっき、助けてっていう声が聞こえなかった?」
「僕、何も聞こえなかったよ。」
「私もよ。」
「俺もだ。」
「僕もだよ。カミルさんとカムルさんは、さっき、何か聞こえた?」
「いや。何も............。」
「私も、何も聞こえなかったですよ?」
ヒカリが、ヒルビ達に聞くと、ヒルビ達は、首を横に振って言い、タイガは、カミルと
カムルに聞いてみたが、カミルとカムルも、首を横に振った。
「カミルさんとカムルさんも、聞こえなかったみたい。たぶん、気のせいだよ。」
(いや、あれは、気のせいじゃない。確かに聞こえた。あの時の助けてっていう声。
あの声は、間違いない。あれは、アイルの声...!)
「何、ボーッとしているんだよ。早く行こう!」
「カミルさん、カムルさん、ありがとうございました。」
タイガは、気のせいだと言ったが、ヒカリは、気のせいじゃないと思っていた。ヒルビ
は早くギルドに戻りたいらしく、ヒカリ達は、カミルとカムルに一声かけて、ギルドに
向かった。