7話 ハチャメチャな朝礼
...........................
次の朝
(............今、何時なのかな?)
ヒカリは、朝早く、目を覚ました。ヒカリは、目を開けると、窓から光が射し込んで
いた。ヒカリは、そのことに気づき、身体を動かすと、それと同時に、誰かが動いた。
タイガだった。
「あ!ごめん、起こしちゃった?」
「ううん。僕は、いつもこの時間に起きているから。それより...............」
ヒカリは、タイガを起こしてしまったと思い、タイガに謝ると、タイガは、この時間に
起きているからと言い、ヒカリを見た後、窓の方を見ると、ちょうど、太陽が昇って
いるところだった。太陽がゆっくり出てきて、太陽の光で、海がきらきら光っていた。
(....きれい。..................!?)
ヒカリは、その光景に、目を奪われ、見とれていると、突然、風が吹いたような感じが
した。その瞬間、どこか高いところで、風が心地良く吹いている中、自分と他に2つの
姿が、窓から見ていた光景と同じ光景を、近いところから見ていて、そして、自分が、
その2つの影とまた見ようと約束している光景が見えた。
(今のは、記憶を失う前の私!?.........記憶を失う前の私が、誰かと一緒に、この
光景を見ていた!?......2つの姿があったけど、思い出せない!?........でも、
あの2つの姿.........大切だと思っていた。記憶を失う前の私にとって、とても
大切な.....................)
「僕ね。海岸の光景も好きだけど、こっちの光景も好きなんだ。また見ようと思って、
この時間に起きるんだ。」
ヒカリは、突然見えた、記憶を失う前の自分の記憶のことに驚きながらも、必死に
考え、必死に思い出そうとしていた。タイガは、そんなヒカリの様子に気がつかずに
言った。ヒカリは、タイガの声で、タイガが何か言っていることに気づき、タイガの話
を聞いた。
(............私も、また見たいな。記憶を失う前の私も、記憶を失った後の今の私
も、あの光景がきれいで、好きになって、また見たいと思っている。記憶を失う前の
私が、大切だと思っていた人達かポケモン達か分からないけど、でも、その人達か
ポケモン達も、あの一緒に見た光景を好きになっているし、約束しているし、また
この時間に起きよう。)
ヒカリは、タイガの話を聞くと、そう考えていた。
「それにしても、ヒルビとエメリが、まだ寝ているのは想定内だし、安心だけど、
サロファが、この時間になっても、まだ寝ているのは、さすがにまずいな。サロファ
は、いつもなら、もう起きているはずなのに、昨日、色々あったから、少し疲れて
いたのかな?」
タイガは、まだ寝ているヒルビ達を見て、ヒルビとエメリを見た時は、苦笑いしながら
言い、サロファを見た時は、困ったような、焦ったような感じで言い、頭を抱えて
いた。一方、ヒカリは、どうしたのかなと思い、タイガを見ていた。タイガは、そんな
ヒカリの様子に気づき、ヒカリの方を向いた。
「そのうち、分かると言ったけど、今日になるとは思わなかったから、今、言っておく
よ。サロファを、無理矢理起こしたら、大変なんだ。もし、サロファを、無理矢理
起こしたら.....................」
タイガは、ヒカリの説明している最中、誰かが来ている気配がして、その方向を見た。
ヒカリも気づき、タイガと同時に見た。やってきたのは、ドゴームだった。ドゴーム
は、まだ寝ているヒルビ達を見ると、口を大きく開け、おもいっきり息を吸った。
「!?タイガ!今すぐ、耳を塞いで!!」
ヒカリは、その様子を見て、慌ててタイガに言い、耳を塞ぎ、タイガも、ヒカリの言葉
で、慌てて耳を塞いだ瞬間、
「おいっ!!起きろおおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!朝だぞおおおー!!!」
「うわああああああーーーーーー!!?」
「きゃあああああああーーーーーーー!!?」
「ぐっ!!?」
ドゴームのハイパーボイス並の声で、ヒルビとエメリは叫び、サロファは、ドゴームを
睨んだ。ヒカリとタイガは、耳を塞いでいたが、声は聞こえていて、直接聞いていた
ら、鼓膜が破れるんじゃないかと思っていた。ヒルビとエメリは、ドゴームの声で、
動けずにいて、ドゴームは、その様子を見て、まだ寝ていると思い、再び息を吸った。
「いつまで、寝て........................」
「.........でんこうせっか。つばめ返し。」
ドゴームが叫んでいる最中、サロファは、でんこうせっかで、ドゴームの近くにきて、
自分の背中の泡から、ケロムースを2つ作り、ドゴームの耳に向かって投げ、ドゴーム
が、耳に貼りついているケロムースを取ろうとしているうちに、つばめ返しで、
ドゴームを廊下の天井にぶつけた。ドゴームは、頭をおもいっきりぶつけたため、気絶
してしまった。
「サロファ!さすがにやり過ぎだよ!!」
「.........確かに、大変なことになるね。......どうすればいいかな?」
「派手にやったわね。とりあえず、この耳についているケロムースを取りましょう。」
タイガは、ドゴームを気絶させて、機嫌が少し良くなったサロファに言い、ヒカリは、
サロファの様子とドゴームの有り様を見て、顔をひきつらせ、ドゴームの様子を見て、
どうしようかと悩んでいると、起きて、動けるようになったエメリが、サロファと
ドゴームを見て、ため息を吐き、ドゴームの耳についているケロムースを取ろうと
した。ヒカリも、エメリが、ケロムースを取ろうとしている耳とは、逆の耳について
いるケロムースを取ろうとした。その後、タイガが、サロファを落ち着かせ、ヒカリと
エメリは、ドゴームの耳についていたケロムースを取った。気絶しているドゴームは、
サロファのあわ(と言っても弱め)で、無理矢理起こし、そのまま行った。
「おい。お前達、1匹いないが、どうしたんだ?」
行ってすぐ、リコラに言われた言葉に、ヒカリ達は、慌てて周りを見て、ドゴームの
ことに気をとられて、ヒルビのことを忘れていたことに気づき、慌てて部屋に戻った。
ヒルビは、ドゴームの声で、そのまま気絶していた。そんなヒルビを、エメリが、つる
のムチで叩き起こした。ヒルビを連れて、戻ってくると、ヒルビは、リコラに叱られて
いた。
「.........全員、集まったようだな。とりあえず、お前達、自己紹介しなさい。」
リコラは、咳払いをして、全員を見てから、ヒカリ達の方を見た。ヒカリ達は、前に
出た。
「ヒカリです。探検隊『ジュエル』のリーダーです。よろしくお願いします。」
「ヒ、ヒルビです。よ、よろしくお願いします。」
「タイガです。探検隊『ジュエル』の一員です。よろしくお願いします。」
「エメリよ。よろしく。」
「サロファです。よろしくお願いします。」
ヒカリ達は、それぞれ自己紹介した。ヒルビは、少し緊張している様子だった。
「お前達も、簡単に、自己紹介してくれ♪」
リコラが、他の弟子達に、そう言った。
「わたくしの名前は、アマラですわ。」
「あ、あっしの名前は、マックでゲス。」
「俺の名前は、アズニだ。ヘイヘイ。」
「ワシの名前は、コゴム。起きていなかったら、ワシが、大声で起こすからな。」
(さっきやられて、気絶していたのだから、危険だと思って、止めた方がいいです。)
弟子のキマワリとビッパとヘイガニが自己紹介し、さっき、起こしにきたドゴームも、
自己紹介した。ドゴーム、コゴムの自己紹介の言葉に、ヒカリは、そう思い、苦笑い
し、ヒルビとタイガは、顔をひきつらせ、エメリは、ため息を吐いた。ヒルビ達も、
ヒカリと同じことを考えているようだった。
「僕は、ラチアです。主に、見張り番の仕事をしています。見張り穴から聞こえた声
は、僕で、僕とは別の声が聞こえたと思いますが、その声は、コゴムさんの声
です。」
ヒカリは、ラチアの話を聞いて、色々と納得し、自分達より年下か同い年の子が、仕事
をしっかりしていることもすごいし、足形を見るだけで、どんなポケモンか分かること
もすごいと思っていた。
「私は、プルト。ラチアの父親だ。」
「私は、ルリラです。よろしくお願いします。」
「俺は、トリクだ。グヘヘ。」
他の弟子達も、自己紹介を終わり、ヒカリ達は、列に戻った。
「親方様ー♪ひと言お願いします。」
リコラは、扉の方を向き、モルガのことを呼んだ。モルガは、部屋から出てきて、
ヒカリ達は、何か言うのかと思っていたが、
「......ぐうぐう......ぐうぐう......ぐーうぐうぐう......。」
聞こえてきたのは、寝息だった。何で寝ているのですかと、ヒカリは、内心で叫んで
いた。すると、他の弟子達が、ヒソヒソと話し合っていた。
「モルガ親方って、相変わらず凄いよな......。」
「ああ、そうだよな。...ああやって、朝は起きているように見えて、実は、目を開け
たまま、寝ているんだもんな。」
(確かに凄いけど、本当にそれで、このギルドは、大丈夫なの?)
ヒカリは、他の弟子達の会話を聞いて、心配しながら、そう思った。
「ありがたいお言葉、ありがとうございました♪さあ、みんな♪親方様の忠告を肝に
命じるんだよ♪」
((((((どうやったら、分かるの(よ、かよ)!!?))))))
リコラの言葉に、ヒカリ達は、思わず内心で叫んでいた。
「最後に♪朝の誓いの言葉!始め♪」
「「「「「「「「「せぇ〜〜の!!」」」」」」」」」
リコラの言葉に、ヒカリ達は、疑問符を浮かべている中、他の弟子達は、掛け声を言っ
ていた。
「「「「「「「「「ひとーつ!仕事は、絶対さぼらなーい!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「ふたーつ!脱走したら、お仕置きだ!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「みっつー!みんな、笑顔で明るいギルド!」」」」」」」」」
「さあ、みんな♪仕事にかかるよ♪」
「「「「「「「「「おおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」
ヒカリとタイガとサロファは、『プクリンのギルド 探検隊 心得 十か条』の
最初の3つだということに気がついた。しかし、見ていなかったヒルビとエメリは、
何のことだか分からなかった。
「.........僕達、何をすれば、いいんだろう?」
ヒルビは、掛け声を言った後、仕事のために動いている他の弟子達を見て、言った。
「おい、そんなところをウロウロしているんじゃない。お前達は、こっちだ♪」
リコラは、ヒカリ達を見て言い、梯子を上っていった。ヒカリ達も、慌てて梯子を
上り、リコラが掲示板の前に立ち、ヒカリ達も、リコラの前にきた。
「お前達は、初心者だからね。まずは、この仕事をやってもらうよ。これは、
掲示板。各地のポケモン達の依頼が、ここに集まっているんだ。最近、悪いポケモン
達が増えているのは、知っているよな?」
「うん。何でも、時が狂い始めた影響で、悪いポケモン達も、増えているんでしょ?」
(時が狂い始めている?時って、時間のこと?それが、おかしくなっているっていう
ことなのかな?そして、そのせいで、悪いポケモン達が増えている......いったい、
どういうことなのかな?)
リコラが掲示板の説明と問いかけをし、タイガは、リコラの問いかけに答えた。ヒカリ
は、タイガの話に、疑問符を浮かべていた。ヒカリが疑問に思っている中、話は、
どんどん進んでいく。
「そのとおり。時の影響で、悪いポケモンが、わんさか増えているせいか、この掲示板
も、最近、特に依頼が増えているんだ。また、これも、時の影響なのかどうかは
分からないが、最近、各地に広がってきているのが、不思議のダンジョンだ。」
(昨日の海岸の洞窟のことね。確か、あの時のタイガとサロファの説明では、不思議の
ダンジョンは、入るたびに地形が変わり、落ちている道具も変わる。途中で倒れる
と、お金がなくなって、道具も、半分ぐらいなくなることがあったり、ダンジョンの
外に戻されたりという、本当に不思議な場所なんだよね。)
「不思議のダンジョンは、本当に不思議な場所だけど、でも、行くたびに、いつも
新しい発見があるから、探検するには、本当に魅力的な場所なんだよ!」
「なんだ!よく知っているじゃないか♪それなら、話が早い♪依頼の場所は、全て
不思議のダンジョンだからな。では、どの依頼をやってもらおうかな♪........
うん♪これがいいかな?」
リコラは、タイガの答えに頷きながら言い、ヒカリは、不思議のダンジョンという言葉
に、昨日のタイガとサロファの説明を思い出していた。ヒルビは、わくわくした様子で
言い、リコラは、受ける依頼を決めて、ヒカリに渡した。依頼を見るため、ヒカリの
周りに集まり、依頼を覗いていた。
「え〜なになに?.........『はじめまして。私、バネブーと申します。ある日、私の
大事な真珠が盗まれたんです!真珠は、私にとって、命。頭の上に真珠がないと、
私、落ち着かなくて、もう何もできません。そんな時!私の真珠が、見つかったと
いう情報が!どうやら、岩場に捨てられていたらしいんですが、その岩場は、とても
危険なところらしく、私、怖くて、そんなところ、いけません。ですので、お願い。
誰か、岩場に行って、真珠を取りに行ってくれないでしょうか?探検隊の皆様、
お願いします! バネブーより』......って、これ....ただの落とし物を拾って
くるだけじゃない!?」
「何が不満だ?」
ヒルビは、依頼を読むと、不満そうな顔をした。サロファは、不満な理由が分からず、
ヒルビに聞いた。
「それより、僕、もっと冒険したい。お宝を探したり、知らない場所を冒険したり
とか..................」
「願望を言うな!」
「そうよ。ギルドの前で、びくびくしていたあんたが言うのは、生意気よ!」
ヒルビは、自分の願望を言ったら、サロファとエメリにぴしゃりと言われた。
「ヒルビ、さすがに、入ったばかりの僕達じゃ、そういうことは、まだ無理だと思う
よ。ちゃんと色々なことをして、下積みをした方がいいと思う。」
ヒルビは、まだまだ不満があり、何か言いたがっていたが、タイガにも言われ、あきら
めた。
「依頼通りに、湿った岩場に行って、真珠を取りに行ってきてくれ♪」
「「「「「はい。」」」」」
リコラの言葉に、ヒカリ達は返事をし、湿った岩場に向かった。
「リコラさん。」
「ん?何だ?」
リコラは、ヒカリ達がいなくなった後、ルリラに話しかけられた。
「新たな依頼でして、さっき、この近くで、強盗があり、その強盗が、ダンジョンに
逃げたそうなんです。他の場所に逃げられたら困るので、至急捕まえてほしいとの
ことです。」
「そのダンジョンは、どこだ?」
「湿った岩場です。」
ルリラは、依頼の内容を読み、リコラは、場所を聞き、ルリラが場所を言うと、
驚いた。
「な、何だって.........!?」