5話 宝石が輝き出す
「この階段、長いね。」
「あたし達は、慣れているけど。」
ヒカリは、目の前の長い階段を見て呟き、エメリは、ヒルビを見ながら言い、階段を
登り始めた。ヒカリ達も、エメリについて行くように登り始め、プクリンのテントの
前にきた。
「ここが、プクリンのギルドだよ。探検隊になるなら、ここでまず、チームを登録
して、一人前になるまで、修行しないといけないんだけど......。」
タイガが、ヒカリに説明し、ヒカリは、プクリンのテントとその前にある格子を見た。
(テントの前に、格子みたいなのがある。...穴の上に、細かい格子がはってあって、
誰かが上に乗っても、落ちないようになっているんだけど、でも、何か妙なのよね。
あそこの上に立ったら、足の裏がこそばゆそうというか......。もしかして、
ヒルビが失敗する理由って、これなのかな?この格子、妙だから。)
「ブルブル!なんか怪しげなところだよね。やっぱり。」
ヒカリは、格子を見て、そう思い、ヒルビを見ると、ヒルビは、格子を見て、身体を
震わせ、独り言を言った。ヒカリは、その様子を見て、やっぱりと思い、苦笑いした。
「いや、今度は違う!ヒカリもいるし、さっき、遺跡の欠片を取り戻すことができたん
だ!勇気を出さなきゃ!」
「ヒルビ!頑張れ!!」
ヒルビは、首を振り、決意を固め、格子に乗った。後ろから、タイガが声援を送って
いた。
「ポケモン発見!!ポケモン発見!!」
(いきなりなんだ。まあ、いきなり声が聞こえたら、ヒルビが驚くのも、無理ない
けど、もう限界に近いけど、頑張って!!)
突然、声が聞こえ、ヒルビの身体が震えた。ヒカリは、突然聞こえた声とヒルビの様子
を、心の中で同情しながら、応援していた。
「誰の足形?誰の足形?」
「わわっ!いや、ここは、我慢しないと。」
(頑張って!!)
声が聞こえていく中、ヒルビが格子から降りようとしたが、踏みとどまった。ヒカリ
は、その様子を見て、再び心の中で応援した。
「足形は、ヒトカゲ!足形は、ヒトカゲ!」
「やったー!!」
声が言い終わると同時に、ヒルビは、喜んだ。
「良かったよ、ヒルビ!」
「やっとね。」
ヒルビの様子に、タイガも喜び、エメリは、ため息を吐くように言い、サロファは、
ヒルビ達の様子を見て、苦笑いをし、ヒカリは、ほっとした様子だった。
「..........よし。そばに、4匹いるな。おまえ達も、この上に乗れ!」
「一匹一匹確認するの?めんどくさいわね。」
「まあまあ。」
(一匹一匹確認しないといけないよね。それより、この声のポケモン、どこから、私達
を見ているのかな?見ていないと、ヒルビの他に、4匹いることが分からないはず。)
声が、ヒカリ達にも乗るように言い、エメリが、その声に対して、文句を言い、タイガ
が、エメリを宥めていた。ヒカリは、その様子を見て、苦笑いしながら、さっき言った
ポケモンがどこのいるのか、疑問に思っていた。エメリも、タイガも、サロファも、
何の問題もなく、足形を見せ、残るは、ヒカリだけになった。
「最後は、おまえだな。おまえも乗れ!」
ヒカリは、声に従い、格子に乗った。そのあとすぐ、5回連続聞く声が聞こえた。
「ポケモン発見!!ポケモン発見!!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形は.............足形は.............えーと...............」
「「「「「?」」」」」
だが、5回目は、違った。ヒルビ達の足形は、すぐに言えたが、ヒカリの足形は、
分からないらしく、悩んでいた。
「どうした!?見張り番!ん?おい!見張り番!見張り番のラチア!どうしたんだ!?応答
せよ!」
穴の中から聞こえる声とは違う声は、穴の中から聞こえる声、ラチアが、なかなか
ヒカリの足形について答えなかったため、不審に思い、名前まで言って呼んだ。
「んーと.........えーと.........足形は、たぶん、ピカチュウ!足形は、
たぶん、ピカチュウ!」
「なんだ!?たぶんって!」
(たぶんがついているけど、あっている。ヒルビ達も、足形だけで分かったから、私の
足形は、時間がかかったけど、足形だけで、すぐに、どのポケモンか分かるなんて、
すごいなあ.........。)
ラチアは、悩んで焦りながらも、似た足形のポケモンを言うことにして、でも、確証が
ないから、たぶんとつけて言った。ヒカリは、自分の足形以外で、ラチアが、足形を
見ただけで、すぐにどんなポケモンか分かることをすごいと思っていた。一方、ラチア
とは違う声は、たぶんをつけたことに怒っていた。
「...だって、ここら辺じゃ見かけない足形なんだもん......。」
「あーもう、情けないな!足の裏の形を見て、どのポケモンか見分けるのが、おまえの
仕事だろう?ラチア。」
「そんなこと言われても、分からないものは、分からないよ。」
ラチア達は、言い合いを始め、ヒカリ達は、唖然としながら、ラチア達の言い合いを
聞いていた。
「.........なんかもめているね。」
「............待たせたな。......まあ、確かに、ピカチュウは、ここらじゃ見か
けないが、でも、怪しいものでは、なさそうだな。.....よし!いいだろう!入れ!
............しかし、ピカチュウは、分からなかったんだよな。ここらじゃ、
ピカチュウは、見かけないが、ケロマツの方が見かけることは、難しい。ケロマツの
方は、分かったが、何故ピカチュウは、分からなかった。もしかしたら、そこの
ピカチュウの足形が、普通のピカチュウと違うのかもしれないな。」
(私も考えたけど、その可能性は、確かに高い。私は、元は人間だから、ポケモンの姿
に変わって、普通とは、足形が違っているのかもしれない。)
ヒルビの言葉の後、声が聞こえ、声は、ヒカリ達を見ているらしく、ヒカリ達を見て、
言った。ヒカリは、声の一人言を聞き、人間だったからなのかもしれないと思って
いた。ヒカリが思っている最中、鉄格子が開いた。
「緊張するけど、行こう!」
ヒルビは、落ち着かない様子で、中に入り、ヒカリ達も、その後に続いた。中に入る
と、梯子があり、その右に、『ようこそ!プクリンのギルドへ!』と書かれた、矢印の
看板、左には、『プクリンのギルド 探検隊 心得十ヵ条』と書かれている。
(読んだ方がいいね。)
ヒカリは、そう思い、左の看板を見ていると、サロファとタイガも同じことを思った
のか、左の看板を見ていた。ちなみに、ヒルビとエメリは、ヒカリ達の様子に気づか
ず、ヒルビが、地下の入り口があることに驚き、エメリは、そんなヒルビを、
つるのムチで叩き、梯子を使って、降りようとしていた。
『ひとーつ! 仕事は絶対さぼらない!
ふたーつ! 脱走したらお仕置きだ!
みっつー! みんな笑顔で明るいギルド!
よっつー! 依頼は『受ける』をした後『実行』を忘れずに!
いつつー! 探検に行く前には道具をチェック!!
むっつー! 探検に行く前にはれんけつ技もチェック!!
ななつー! 探検中は慌てず騒がず冷静に!
やっつー! 困っているポケモンを助けるのも探検隊の大事のつとめ!
ここのつー! 依頼をたくさんこなして目指せ憧れゴールドランク!
とおつー! 稼いだ賞金はギルドで分けるよ!
皆、友達!友達〜〜〜!』
(探検隊にとって、基本的なことを書いてあるのかな?目標らしきことも書いてある
みたい。看板から見ると、とても明るいギルドね。)
(何かテントの見た目だと怪しげだったけど、思ったより、楽しそう。)
(一見、幼稚っぽいな。)
看板を見て、ヒカリ達は、それぞれ違う感想を思った。
「ヒカリ!タイガ!サロファ!早く!」
「今、行くよ!」
ヒルビの声が下から聞こえた。エメリの姿も見かけないから、エメリも、下にいるの
だろう。タイガは、ヒルビの声に答え、下に降り、ヒカリとサロファも、タイガに続く
ように、下に降りた。
「わあ〜!ここが、プクリンのギルドか!ポケモンがたくさんいるけど、みんな、探検
隊なのかな。」
下に降りると、周りには、たくさんのポケモン達がいて、皆、楽しそうに話し合って
いた。ヒルビが嬉しそうに、目を輝かせて言った。ヒルビの様子に、ヒカリとタイガ
は、微笑ましそうに、エメリとサロファは、呆れた感じで、ヒルビのことを見ていた。
「おい!さっき入ってきたのは、お前達だな?」
「は、はい!」
ヒカリ達の後ろから、突然、声をかけられた。ヒカリ達が、かけられた方を向くと、
そこにいたのは、ぺラップだった。いきなり声をかけられて、ヒルビは、戸惑いながら
返事した。
「私は、リコラ♪ここらでは、一番の情報通であり、親方様の一の子分だ♪勧誘や
アンケートならお断りだよ。さあ、帰った帰った。」
ぺラップ、リコラは、勘違いをしているらしく、4匹を追い返そうと言っている。その
態度に、エメリが怒って、何か言おうとしているが、サロファが、エメリの口を塞い
で、言えないようにしていた。
「ち、違うよ!そんなことできたんじゃないよ。僕達は、探検隊になりたくて、ここで
探検隊の修行をするためにきたんだよ。」
「えっ!?探検隊!?」
ヒルビが慌てて言うと、リコラは驚き、ヒカリ達から視線を外し、後ろを向いて、何か
ぶつぶつ言っていた。ヒカリ達は、リコラの様子に、疑問符を浮かべ、聞き耳をたてて
いると、
「今時、珍しい子達だよ。このギルドに弟子入りしたいとは.........。あんな
厳しい修行は、もうとても耐えられないと言って、脱走するポケモンも、後を絶た
ないというのに.........。」
(このギルド、今、弟子入りしても、脱走するポケモンがいるんだ。少し心配になって
きたな。)
ヒカリは、リコラの独り言を聞いて、そう思った。
「ねえ、探検隊の修行って、地獄と同じくらい厳しいの?」
「ヒルビ、それを言うなら、地獄のように厳しいだよ。」
(ヒルビ、リコラは、そんなことを言っていないよ。それに、タイガも、ヒルビの言葉
を直すんじゃなくて、そこを言ってあげてよ。)
ヒルビが、おそるおそる言ったが、言葉に違和感があって、タイガが言葉を直した。
ヒカリは、ヒルビとタイガの様子を見て、心の中で言い、苦笑いを浮かべた。
「はっ!?いやいやいやいやいやいや!!そ、そんなことないよ!探検隊の修行は、
とっても楽チン!」
((さっきと言っていることが、全然違うじゃない(か)!!!))
(さっきと言っていることを変えた!弟子入りするポケモンが減ってきて、最近、いな
かったから、弟子入りしてほしいのかな?)
リコラは、ヒルビとタイガの言葉で慌てて言い、エメリとサロファは、心の中で、
リコラに対して、思いっきり、ツッコミを入れていた。ヒカリも、リコラの手のひら
返しに驚きながら、考えて思っていた。
「そっか♪探検隊になりたいなら、早く言ってくれなきゃ♪フッフッフッフッフッ♪」
リコラは、嬉しそうに、笑顔で言い、エメリは、また何か言いたがっていたが、また
サロファが、口を塞いでいた。ヒカリ達は、リコラの態度の変わり様に、苦笑いして
いた。
「じゃあ、早速、チームを登録するから、ついてきてね♪......何してんの?こっち
だよ♪さあ、早く♪」
リコラは、ヒカリ達の様子に気づかず、ついてくるように促したが、ヒカリ達は、簡単
に進んでいくことに反応できず、動けなかった。リコラは、ヒカリ達が動いていない
ことに気づき、ヒカリ達を呼んで、ヒカリ達が降りてきた梯子の隣の降りる梯子で
降りた。ヒカリ達は、慌ててリコラと同じ梯子で降りた。梯子を降りると、そこには、
誰もいなかった。
「ここが、ギルドの地下二階。主に弟子達が働く場所だ。チームの登録は、こっち
だよ。」
「わあ!ここ、地下二階なのに、外が見えるよ!」
「いちいちはしゃぐんじゃないよ!このギルドは、崖の上に建っている。だから、外も
見えるんだよ!」
リコラは、地下二階の説明を簡単にして、扉の前に移動すると、その近くに窓があり、
その窓から空が見えた。ヒルビは、そのことにはしゃぎ、ヒカリは、ヒルビの様子を
見て、少し笑っていた。リコラは、ヒルビを叱り、窓から外が見えることについて、
説明した。ヒルビが、リコラの説明に関心していると、突然、エメリに叩かれ、何やっ
ているのと、小声で怒鳴られた。エメリが、もう1発叩こうとすると、慌ててタイガと
サロファが止めに入った。リコラは、ヒカリに、大変だなと言い、ヒカリは、そんな
様子を見て、苦笑いしていた。
「さあ、ここが、親方様のお部屋だ。くれぐれも、粗相がないようにな。親方様。
リコラです♪入ります。」
リコラは、ヒカリ達に注意するように言い、扉を叩いて言い、部屋に入った。ヒカリ達
も、リコラの後に続いて、部屋に入った。部屋の真ん中には、プクリンが座っていた。
「親方様。この5匹が、今後、新しく弟子入りを希望している者達です。..........
親方様。............親方様?」
「やあ!!僕、モルガ!ここのギルドの親方だよ?探検隊になりたいだって?じゃあ、一緒
に頑張ろうね!」
リコラは、何を言っても反応しないため、プクリンに近づこうとした時、プクリンが、
突然振り返り、リコラも、ヒカリ達も驚いた。プクリン、モルガは、ヒカリ達の様子に
気にせず、そのまま自己紹介と話をした。ヒカリ達は、唖然としながらも聞いていた。
「とりあえず、探検隊のチーム名を登録しなくちゃ。君たちのチーム名前を教えて
くれる?」
「あ!チームの名前を考えていなかった。....................いい名前、ある?」
モルガの話に、ヒルビは、チームの名前を考えてなかったことに気づき、少し考えた
が、思いつかず、ヒカリ達に聞いた。ヒカリ達も、下を向いて、必死で考えていた。
すると、ヒカリが、何か思いついたらしく、顔を上げた。
「『ジュエル』というのは、どうかな?......私達は、同じような宝石のペンダントを
持っているし、それに、宝石は、磨けば磨くほど、輝くから、宝石のように、磨けば
磨くほど、強く輝けるようにっていう意味なんだけど....................。」
「いいと思うよ。」
「僕も賛成。」
「ええ。気に入ったわ。」
「意味もあるし、決まりだな。『ジュエル』でお願いします。」
ヒカリは、おそるおそる自分が考えたチームの名前と意味を言うと、ヒルビ達は、納得
した様子で、サロファが、モルガに、今、決まったチームの名前を言った。ヒカリは、
反対されたらどうしようと思っていたので、全員、納得した様子で、良かったと思って
いた。
「リーダーは、誰なのかな?」
「「「ヒカリです。」」」
「えっ!?...いや、私は........................」
「すまん。適任者は、ヒカリしかいないんだ。」
モルガの問いに、ヒルビとタイガとエメリが、同時に即答した。ヒカリは、いきなり
リーダーに指名され、慌てて私は、あまり探検隊のことを分かってないから、無理!と
言おうとしたが、後ろにいたサロファに、小声で言われ、サロファに、どうしてなのか
聞こうとしたが、
「決まりだね!じゃあ、登録するよ!登録♪登録♪みんな登録..................」
「お前達!耳をふさげ!!」
モルガが勝手に話を進めていき、リコラが、突然言い、ヒカリ達は、戸惑いながらも、
耳をふさいだ。
「たぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
モルガが、ハイパーボイスをくりだし、凄い衝撃波が襲い、辺りが白く光ったような
感じと建物が揺れているような感覚がした。ヒカリは、その感覚を気のせいだと思う
ことにした。
「おめでとう!これで、君たちも、今日から探検隊だよ!記念に、これをあげるよ。」
モルガは、ニコニコしながら、ヒカリ達の前に、箱を置いた。その箱の中には、バッチ
と地図とバッグが入っていた。
「これは?」
「探検隊に必要なものなんだよ。まず、探検隊バッチ。探検隊の証だよ。次に、不思議
な地図。とても便利な地図なんだよ。最後に、トレジャーバッグ。ダンジョンで拾っ
た道具をとっておけるんだよ。また、これからの君たちの活躍によって、バッグの
中身も、どんどん大きくなっていくという、とても不思議なバッグなんだよ♪」
ヒカリは、モルガに、箱の中に入っていた物について聞くと、モルガは、箱の中に入っ
ていた物について、簡単に説明した。
「トレジャーバッグに、何か入っている!?」
「それは、レッドリボンとオレンジリボンとグリーンリボンとブルーリボンとこい
ピンクリボン。リボンは、バンダナにも、スカーフにもできるよ。ヒカリは、もう
ピンクリボンをもっているから、他の色のリボンを身につけても、意味はないけど、
もし、あげたいポケモンがいたら、あげてもいいよ。」
ヒルビが、バッグの中身を見ると、中には、五色のリボンが入っていた。モルガは、
軽く説明し、ヒカリ以外は、少し話し合って、ヒルビがレッドリボン、タイガが
オレンジリボン、エメリがブルーリボン、サロファがグリーンリボンを、スカーフに
して、身につけた、残ったこいピンクリボンは、ヒカリが持つことになった。
「ありがとう!頑張ります!!」
「うん。でも、まだ見習いだから、頑張って修行してね!」
ヒルビのお礼意気込みに、モルガは、ニコニコと答えた。