4話 奪還戦と探検隊
「くらえ!どくガス。」
「あわ。」
「ひのこ。」
クンスがどくガスを放つが、サロファのあわを、ヒルビがひのこで蒸発させ、水蒸気が
発生し、どくガスを吹き飛ばした。
「つるのムチ。」
エメリは、つるのムチで、ツァイトとクンスを叩こうとしたが、ツァイトとクンスは、
かわし、エメリは、凄く怒っていた。しかし、エメリのつるのムチのおかげで、2匹が
離れたため、ヒカリは、ツァイトに、タイガは、クンスに近づいた。
「ちっ、つばさでうつ。」
「ケッ、体当たり。」
ツァイトとクンスは、そのことに気づき、攻撃したが、ヒカリとタイガは、かわした。
今度は、ツァイトとクンスの方が怒り、連続で攻撃をした。ヒカリとタイガは、その
攻撃もかわしていた。
「つるのムチ。」
「な、なんだ!?」
「はっけい。」
エメリは、タイガに攻撃することに、集中していたクンスを、地面に叩きつけ、タイガ
は、クンスが地面に叩きつけられ、弾んだ瞬間、クンスをボールのように、手で投げ飛
ばすように、吹き飛ばした。吹き飛ばされたクンスは、仲間のツァイトにぶつかり、
ツァイトと共に、地面に落ちた。ヒカリも、このことを知っていたらしく、ツァイト
を、クンスとぶつかるように、かわしながら、誘導していた。ツァイトとクンスがぶつ
かった時、ヒルビの宝物の欠片が出てきた。出てきた欠片を、サロファが取り返した。
ヒルビは、このことにほっとしながら、ヒカリと一緒に、再び動こうとしている
ツァイトとクンスを見た。
「でんきショック。」
「ひのこ。」
ヒカリとヒルビの攻撃は、ツァイトとクンスに気づかれず、そのままツァイトとクンス
に、直撃した。直撃したツァイトとクンスは、少しの間、気絶したが、すぐに意識を
取り返した。だが、ツァイトとクンスは、ダメージが大きく、動けなかった。
「いててて.........。」
「ううっ.........。や、やられた.........。」
ツァイトとクンスは、なんとか身体を動かし、ヒカリ達を睨んだ。
「くそう.........こんなやつらに負けるとはな......。」
「どうせ、いらねえ物だと思うからな、いらねえよ。まぐれで勝ったからといって、
調子にのるなよ!」
ツァイトとクンスは、そう言うと、ヒカリ達のいない端のところを通って、去って
いった。
「いらないなら、取るんじゃないわよ!口先ばっかり、もう一回、叩きつけようか..」
「止めておけ。」
エメリは、ツァイトとクンスの態度に、また怒り、追いかけて、叩きつけに行こうと
したところを、サロファが止めた。
「遺跡の欠片だ!よかった......。僕、本当に取り返すことができたんだ!」
一方、サロファが取り返してくれた遺跡の欠片を見て、喜んでいた。ヒカリと
タイガは、そんなヒルビの様子を微笑ましく、見ていた。
「そろそろ、ここから出るぞ。」
「頭の葉を引っ張るのは、止めて!」
サロファが、エメリの頭の大きな葉を引っ張って、エメリを引きずりながら、洞窟に
戻っていき、エメリは、頭の葉を引っ張るのを、止めてくれるように言った。ヒカリ達
は、サロファとエメリの様子を見て、苦笑いしながら、後を追いかけた。
..........................................
「本当に、ありがとう!」
ヒカリ達は、海岸に戻ってくると、ヒルビは、お礼を言った。
(...成り行きで、洞窟に行って、あのポケモン達、ツァイトとクンスと言っていた
ポケモン達を倒して、欠片のようなものを取り返す手伝いをしたけど、あんなに
喜んでくれているし、手伝ってよかった。)
ヒカリは、ヒルビの様子を見て、思った。
「ヒルビ!ヒカリにも、遺跡の欠片を見せようよ!」
「そうだね。」
「遺跡の欠片?」
タイガが、ヒルビに提案すると、ヒルビは、その提案に頷き、取り返した欠片を、
地面に置いた。ヒカリは、タイガの言っていた、遺跡の欠片という言葉に、疑問符を
浮かべながら、地面に置いた、ヒルビの遺跡の欠片を見た。その欠片は、不思議な模様
が書かれていた。
「さっき、盗まれたものだよ。これは、遺跡の欠片。僕の宝物なんだ。僕、前から
昔話や伝説が大好きで、そんな話を聞くたびに、ワクワクするんだ!だって、そう
思わない?謎の遺跡や隠された財宝......。闇の魔境や.........誰も行ったこと
がない新しい大陸......。そんなところには、黄金やお宝がザックザク。そこ
には、きっとロマンがある。僕、いつもそんなことを考えては、ワクワクしている
んだよ。そして、ある日....................................」
「ヒルビ!話が長いわよ!!」
「......語るのはいいが、ヒカリが驚いて、後ろに下がっている。」
ヒルビは、始めは、普通に話していたが、次第に興奮して、ヒカリに語っていた。
ヒカリは、普通に話していたヒルビが、いきなり興奮したため、思わず一歩下がって
しまった。エメリは、ヒルビの話が長いため、とてもイライラしていた。サロファは、
ヒカリとヒルビの様子を見て、エメリが言ったのをきっかけに、呆れた様子で、ヒルビ
に教えた。
「あ、ごめん。」
「いいよ。それより、続きを話して。」
「うん。...そして、ある日、ふとしたことで拾ったのが、この遺跡の欠片なんだ。」
ヒルビは、サロファに言われて気づき、ヒカリに謝った。ヒカリは、ヒルビに、気に
していないと言い、その先を言うのを促した。ヒルビは、ヒカリに頷いて、遺跡の欠片
指差し、続きを話した。
「一見、ただのガラクタにも見えるけど、よ〜く見て?不思議な模様が書かれている
よね?」
(本当だ。確かに、不思議な模様が書かれている。こんな模様、見たことがない。)
ヒルビに言われ、ヒカリは、欠片を見て、思った。
「この模様には、きっと意味があるにちがいない。この欠片が、伝説的な場所や秘宝へ
の入り口になっていると、僕は、思っているんだ。だから、僕ね。探検隊になって、
この遺跡の欠片が、はまる場所を発見したい!この遺跡の欠片の謎を解き明かしたい!
そう思って、さっきも、探検隊に弟子入りしようとしたんだけど.............」
「だけど?」
さっきまで、目を輝かせ、楽しそうに話していたヒルビだが、途中から落ち込んだ様子
になり、ヒカリは、疑問符を浮かべていると、
「こいつ、もう10回以上も失敗しているのよ!失敗し過ぎて、十何回としか、覚えて
いないわ!!おまけに、一回だけで、何時間もかかるのよ!!本当に、意気地無しで、
臆病すぎるんだから!!」
「ううっ。............確かに、僕は、意気地無しで、臆病なのは、認めるけど、
言い方をもっと優しくしてよ!」
エメリは、ヒカリに説明しながら、ヒルビを見て、言えば言うほど、イライラして、
最後は、ヒルビに怒鳴った。ヒルビは、エメリの言っていることは認めたけど、言い方
に関して、文句を言っていた。
「まあまあ。ところで、ヒカリは、これからどうするの?記憶をなくして、何故か
ポケモンになっちゃったってことだけど、このあと、どこか行く宛てとかあるの?」
「あっ!!」
(どうしよう?色々あったから、考えてなかった。なんでポケモンになったのか分から
ないし、記憶もないし、ここであったヒルビ達以外に、知り合いがいるかも分から
ない。............私は、これから、どこに行って、何をすればいいの?)
タイガは、ヒルビとエメリの喧嘩を止めようと間に入った時、ヒカリを見て、ふと気に
なったことを、ヒカリに尋ねた。ヒカリは、タイガに言われて気づき、そのまま考え込
んでしまった。ヒルビとエメリは、ヒカリとタイガの様子を見て、喧嘩を止めた。
「............もし、ないなら、僕達と一緒に、探検隊をやってくれないかな?」
「えっ!?」
ヒルビは、しばらくヒカリの様子を見た後、決意したような様子で言った。ヒカリは、
ヒルビのいきなりの誘いに驚いた。
「確かに、このまま、ほっといておくのはだめだな。」
「まあ。バトルセンスも良いし、女の子一匹っていうのも、嫌だったし。」
「ヒカリがいてくれた方が、楽しいと思う。それに、この出会いは、偶然じゃないかも
しれない。そのペンダントを持っているからね。」
「ペンダント?」
タイガ達も、ヒルビの話に驚いていたが、ヒルビの話に、サロファも、エメリも賛成
した。エメリの女の子という言葉に、ヒルビは、えっという表情をして、エメリに、
睨まれた。タイガは、賛成しながら、ペンダントを指差して言い、ヒカリは、タイガが
指差ししたペンダントを、手に持った。
「たぶん、このペンダントについている宝石、イエローダイヤモンドなんだと思うんだ
けど、それがいったい........................?」
「実は、僕達も、そのペンダントと似た物を持っているんだ。」
「えっ!?」
ヒカリは、自分の身につけているペンダントを見て言い、何故ペンダントを指差したの
か聞いた。探検の時もだったけど、ヒカリは、探検隊やダンジョン以外の知識は覚えて
いるようだった。ヒルビは、疑問符を浮かべているヒカリに、タイガ達の顔を見合せ
ながら言い、懐から取り出そうとしていた。ヒカリは、ヒルビの言葉に、また驚いて
いた。
「僕は、ルビーのペンダントで.........。」
「僕は、タイガーズアイのペンダント。」
「あたしは、エメラルドのペンダント。」
「俺は、サファイアのペンダントを持っている。」
ヒルビが、ルビーのペンダントを、タイガが、タイガーズアイのペンダントを、エメリ
が、エメラルドのペンダントを、サロファが、サファイアのペンダントを、懐から取り
出し、ヒカリに見せた。ヒルビ達のつけているペンダントは、ヒカリのつけている
ペンダントと似た物だった。
「私のペンダントと似ている.........。」
「あたし達は、懐に隠していたけど、ヒカリは、隠さずに着けていたのに、価値がない
と思ったのか、気づかなかったのか知らないけど、あたしも近くにいたのに、あんな
間抜けなやつらに、遺跡の欠片を取られたなんて...............」
「僕達のペンダントと、ヒカリのペンダントは、たぶん同じ物なんだと思う。だから、
ヒカリと出会ったのは、運命なのかもしれない。それに、ヒカリも一緒なら、凄い
探検隊になれる気がする。......どうかな?」
ヒカリは、まじまじとヒルビ達のペンダントを見て言い、エメリが、さっき戦った二匹
のことを思い出し、気づかなかった自分に悔しがり、盗まれたヒルビを睨んでいたが、
ヒルビは、エメリのことを見ずに、ヒカリの言葉に頷きながら、再びヒカリを誘った。
ヒカリは、困ったような顔をして、考えていた。
(どうしよう?探検隊というものがよくわからないけど、確かに、行く宛てがないし、
これから、どうすればいいのかもしれないし、とりあえず、ヒルビ達と一緒にいる
のがいいのかも.........。一緒にいるうちに、何か分かるかもしれない。それ
に、もしかしたら、探検隊をやっているうちに、何か分かるかもしれない。よし!
決めた!!)
ヒカリは、そう思い、頷いた。
「本当に!?一緒に、探検隊やってくれる!?やったー!!ありがとう!!僕達、絶対いい
チームになるよ!!これから、よろしく!!早速、ギルドに.........」
「格子に乗らないとだめだぞ。」
喜んでいたヒルビだが、サロファの言葉で固まった。
「ほら、行くわよ!」
「今度は、大丈夫だよ。」
「.........う、うん。」
エメリは、黒い笑みを浮かべ、さっさと行ってしまい、サロファが、ゆっくりついて
行く。その後ろで、タイガが、ヒルビを励まし、ヒルビが、力なく頷き、タイガと一緒
に、エメリとサロファについて行く。ヒカリは、ヒルビ達の様子に、疑問符を浮かべ
ながら、ついて行った。