2話 一匹の謎のピカチュウ
..............................
(..................。こ、ここは?)
ザザーーン!!
(波の音?)
「.........どう....の.........だ..じょ..ぶ」
「起き....返事..て...」
(それと、......誰かの声?)
私は、不思議に思いながら、周りが気になり、そっと目を開けた。
..............................
「...............ううっ..........。」
ピカチュウは、呻き声のような声と同時に目を開け、体を起こした。
「気がついたか!」
「良かった〜!」
ヒルビ達は、意識を取り戻したことに、ほっとした。ピカチュウは、ヒルビ達の顔を
見て、そのあと、立ち上がり、周りを見た。
「動かないから、心配しちゃったよ!きみ、ここで倒れていたんだよ!」
「倒れていた?.........自分が?.........えっと、ここは、どこですか?」
ヒルビは、ピカチュウに声をかけた。ヒルビの言葉に、ピカチュウは、疑問符を浮かべ
ながら、周りに見覚えがないようで、ここがどこか聞いた。
「ここは、トレジャータウンにある海岸だ。きみは、どこから来たんだ?ここらでは、
ピカチュウは見ないが.........。」
サロファは、場所を教え、意識を取り戻したとはいえ、さっきまで倒れていた
ピカチュウを、家まで送ろうと思い、聞いた。しかし、
「えっ!?ピカチュウ!?違うよ!私は、.....人間です。」
「「「「えっ!?..............ええええええええええええええええええ!?」」」」
ピカチュウは、サロファの言葉に驚き、人間だということを伝える言葉を、少し考え、
言った。ヒルビ達は、そのことに驚き、ピカチュウから一歩下がり、叫び声を上げた。
「人間!?...でも、きみ、どこからどう見ても、ピカチュウだよ?」
「えっ!?...............ま、まさか......。」
ヒルビは、信じられない様子で言い、ピカチュウは、その言葉に驚き、その時、足に
冷たいものがいきなりきて、その後、引き寄せられる感覚がきた。ピカチュウは、ここ
は、海岸って言っていたことを思い出し、さっきのは、波だから、自分のいる場所は、
海に近い。それなら、海面で、自分の姿が見えるんじゃないかなと思い、海におそる
おそる近づき、海面を見た。そこに映ったのは、黄色い身体、稲妻の形に、先のところ
が二つに割れた尻尾、真っ赤な丸い頬っぺた、真っ黒な瞳、先のところが黒く、立って
いる耳に、左耳にピンク色のリボンをして、首に黄色いペンダントをしたピカチュウ
だった。頬と耳を触ると、海面に映っているピカチュウも、同じところを触る。
「えっ!?え、えええええええええええええええええええええ!!?私!ピカチュウに
なっている!!?どうして!?いったい、なんで!?」
ピカチュウは、映っているのが自分だと分かり、一人パニックになっていた。その
様子を、ヒルビ達は、疑問符を浮かべて見ていた。
「きみ、なんかあやしいな。」
「おたずねものとかじゃないよね?」
「おたずねもの?えっと何ですか、それは?」
ヒルビとエメリは、ピカチュウに疑いの目を向けて言い、ピカチュウは、エメリの言葉
に、首を傾げ、疑問符を浮かべていた。
「いや、それは、考え過ぎだと思うよ。」
「おたずねものが、おたずねものを知らないというのは、おかしいからな。」
タイガは、疑いの目を向けるヒルビとエメリに、あかるくそう言い、タイガの言葉に、
サロファも頷いていた。
「ねえ、きみ、なんていう名前なの?」
「名前?.......ヒカリ。私の名前は、ヒカリです。」
ヒルビが聞くと、ピカチュウ、ヒカリは、少し考えるように言った。
「ヒカリって言うんだ。あやしいポケモンでは、ないみたいだね。ごめんね。最近悪い
ポケモンが増えているから。僕は、ヒルビ、よろしく。」
「私は、エメリよ。」
「俺は、サロファだ。」
「僕は、タイガ。ヒカリは、どうして、倒れていたの?人間って言っていたけど..。」
ヒルビ達は、安心して、自己紹介した。タイガは、ヒカリに倒れていたか、人間って
言っていたことについて聞いた。しかし、
「それは.........あれ?私、何していたの?私の名前は、ヒカリ。それは、覚えて
いる。あと、前は、人間だった。この二つ以外、覚えていない。私、どうして倒れて
いたんだろう?」
「記憶喪失らしいな。」
「みたいだね。」
ヒカリは、タイガの質問に答えようとしたが、何も思い出せず、頭を抑えて、必死で
思い出そうとしていた。タイガ達は、ヒカリの様子を見て、記憶喪失だということが
分かった。その時、
「いたっ!?」
ヒカリの様子を見ていて、後ろにいるポケモンに気づかなかったため、ヒルビは、
ぶつかり、吹き飛ばされ、ヒカリにぶつかった。ぶつかっただけで、ヒカリとヒルビに
けがはないみたいだ。
「おっと、ごめんよ。」
「ちょっと!あなた達、何なの!いきなり!」
ドガースは、謝るが、笑いながら謝っているため、全く謝っているように見えない。
エメリは、ドガースの様子を見て、不機嫌になり、イライラしていた。
「へへっ、わからないのかい?お前にからみたくて、ちょっかい出しているのさ。」
「ええっ!?僕!?でも、心当たりないけど。」
ズバットが、ヒルビを羽で差し、ヒルビは、驚き、その後、心当たりがあるか考えた。
「それ、お前のもんだろ。」
「ああっ!それは!!」
ズバットが、羽で差したのは、さっきヒルビが持っていた欠片だった。ズバットと
ドガースがぶつかってきた時に、落ちてしまったらしい。
「悪いが、これは、もらっておくぜ。」
「あーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ズバットは、ヒルビの落ちている欠片を拾い、ヒルビは、叫び声はあげるが、取り
返そうとしなかった。
「ケッ、てっきり、すぐ奪い返しにくると思ったが......なんだ?動けねえのか?
意外と、意気地無しなんだな。さっ、行こうぜ、ツァイト。」
「ああ、クンス。じゃあな。弱虫くん。へへっ。」
取り返そうとしないヒルビを見て、ツァイトとクンスは、笑いながら、洞窟に入って
いった。
「......ああ...。ど、どうしよう。......あれ、......僕の宝物なんだ。」
ヒルビは、下を向いて、落ち込んでいた。ヒカリは、黙ってヒルビを見ていたが、
タイガ達は、違った。突然、落ち込んでいるヒルビの身体に、緑色のつるが巻きついて
きた。
「ヒルビ、行くよ!」
「あいつら......。」
「ほら、あいつら、むかつくから、追いかけて、欠片を取り返して、叩きに行くわよ!
絶対に!叩く!」
タイガ達は、ツァイトとクンスを追いかけるため、洞窟に向かった。
「......エメリ、怖いよ。ヒカリ!ヒカリも一緒に来て!!」
「えっ!?ええっ!?」
ヒルビは、エメリに、つるで引っ張られる前、ヒカリと手を掴み、ヒカリは、驚きなが
らも、ヒルビと共に引っ張られ、ヒカリ達は、洞窟に入った。