57話 ギルドのみんなと信実 後編
「久しぶりね、タイガ。.....いや、分かりやすくこう呼んだ方がいいかな......
ミュウ。」
「確かに分かりやすいけど、僕の名前はタイガだよ。....ヒカリ。ルーア。久しぶり
だね。」
ヒカリとタイガの会話にヒカリとルーアとタイガ以外の全員が困惑した。中でも、
ヒルビが一番パニックになっているようだ。それはそうだ。ヒルビにとって家族の
ような存在のタイガがヒカリとルーアと先程とは変わった様子で会話し、突然知らない
名前でタイガが呼ばれたらそれは困惑する。
「え....えーと......タイガ?」
「あ、ごめんごめん。勝手に話し込んで。」
「まあ。ヒカリもタイガも思い出したんだから、話を進めましょう。」
「そうね。.....ルーアには一番大変だったよね...。ごめんね。」
「大丈夫よ。それに、これは話し合って決めたことなんだから。」
ヒルビがおそるおそる声をかけ、ヒカリ達はヒルビ達のことを思い出し、向かい
合った。
「まずは私達のことを話した方がいいよね。........『悠久の星伝説』という話を
知っている?」
「『悠久の...星伝説』?」
ルーアの言葉にサロファ以外が反応を見せた。
「ちょっとあんた、知らないの?」
「でも、僕が知らないのは良くあるけど、サロファが知らないのは珍しいね...。」
サロファが首を傾げる様子を、エメリとヒルビが珍しそうに見た。
「......ああ。俺の暮らしていた村にはそんなの聞いたことがないな....。それで、
ヒルビとエメリは知っているようだな。伝説と言ってるんだから、何らかの本
だろう?」
「ええ。小さい時に読んだ絵本よ。大体のポケモンが読んだことがあるんじゃない
かしら?」
サロファが『悠久の星伝説』について聞き、エメリはその本のことを思い出し、周り
にも確認した。周りのみんなも頷いた。
「絵本?どんな話だ?」
「3匹のポケモンの冒険物の話だよ。」
「冒険か.....。そういった話と俺の村は無縁だったからな...。」
ヒルビが目を輝かせながら話し、サロファは冒険という言葉で納得し、昔のことを
思い出していた。すると、リコラが急に咳払いをして、『悠久の星伝説』について語り
始めた。
「『悠久の星伝説』には上、中、下と話があって、初めの話はある日、ミュウという
ポケモンが記憶喪失になったピカチュウと出会い、友達になり、そこから事件に
捲き込まれ、アルセウスの使いと呼ばれたラルトスと出会い、3匹で冒険を始める
話だ。」
「出会って仲良くなっていく姿に運命を感じましたわ!」
「次の話はピカチュウの記憶を取り戻す手がかりを見つけるために、ラルトスの助言で
3匹がピカチュウの記憶を取り戻す旅に出る話だ。」
「追っ手に追われながらも目的の場所に向かって行くのにはハラハラドキドキだった
でゲス!」
リコラの話を聞き、アマラとマックは興奮した様子で感想を言った。みんなもその絵本
を読んでいるらしく、懐かしそうにしていた。
「最後の話は遠足で行った山で事件を起こす犯人の手がかりを見つけ、犯人を追いつめ
て解決かと思いきや黒幕の存在を知り、その黒幕が隕石を落とし、黒幕を倒し、隕石
を破壊するために3匹で立ち向かい、力を合わせて黒幕を倒し、隕石は破壊し、世界
に平和が戻りました。めでたしめでたしという話だ。」
「最後の話が一番面白かったんだよ!本当に興奮したんだ!」
ヒルビが大声でそう言い、サロファは話半分で聞き流しながらヒカリ達の方を見た。
この話と一体何が関係してるんだと思いながら先程の話を振り返ると、ある言葉で
引っかかった。
「そういえば、この話は実在の話だったのではという話を聞いたことがある。」
「実在?」
「そうだ。隕石がこの星に落下しようとしたのは事実のようだ。だから、この話は実在
した物ではないかと言われている。」
「.....まさか...。」
リコラの言葉を聞き、サロファは何かを確信した。実在した話......記憶喪失の
ピカチュウ....アルセウスの使いのラルトス.......そしてミュウ.........。
ヒカリ達はサロファの視線に気づくと、苦笑いしていた。
「あと、記憶を失ったピカチュウに対してはある議論があってな....。その
ピカチュウは左耳にリボンをしていて、そのリボンがどんな物だったかと
いろんな説があったそうだ。どんな色をしていたのか、模様があったのかとか。」
「へえー。そうだったんだ。僕が読んだ本にはリボンは描かれていなかったよ?」
「初耳よね。」
「どんなリボンなのか特定されていなかったからな。だが、最近ではピンク色のリボン
だったという説が濃厚で、リボンを描こうかと話し合っているそうだ。」
「実物のリボンはピンク色だったんでゲスかね?」
「それは私も分からないよ。」
リコラがさらに絵本について話し出し、ヒルビとエメリとマックはそうだったんだと
話を聞いているが、その4匹以外はリボンの話を聞き、ヒカリの左耳にいつも着けて
いるピンクリボンを見て察した。サロファと同じことに気づいた様子で、まさか...
と呟きながらヒカリ達を指差し、ヒカリが下を向きながら恥ずかしそうに頷いた。
一方、ヒルビ達はそれに気づかず、『悠久の星伝説』について話し合っていた。
「....お前達。まだ気づかないのか?」
「リコラもマックもですわ。」
「えっ?」
「何よ?」
「へっ?」
「ん?どうしたんだ?」
サロファはその様子に呆れてヒルビとエメリを呼び、アマラもそれに頷いた。ヒルビも
エメリもマックもリコラも周りから出る微妙な空気にやっと気づき、混乱していた。
「サロファ!説明して!」
「どういうことなのよ!」
「つまり、こういうことだ。」
サロファに説明を求めるヒルビとエメリに、サロファはため息を吐きながらヒカリ達を
指差した。
「ヒカリ達が『悠久の星伝説』の3匹の主人公、記憶喪失のピカチュウとアルセウスの
使いのラルトスとミュウということだ。」
サロファの言葉にヒカリ達は無言で頷いた。
「えええええええええええええ!?」
「どういうことよ!?」
「ひゃああああああ!?」
「なんですって!?」
ヒルビ達はひどく驚いていた。
「というか、お前達はもっと早く気づけ!ヒカリがルーアと再会した時に進化のことを
言っていたのを聞いていたし、ルーアからヒカリが出会う前から記憶喪失だったとも
聞いていたし、ヒカリ達が昔は3匹で行動していたことも知っていただろう!」
「ううっ......。」
「.....確かに。そんなことを言ってたわね...。」
サロファに最もなことを言われ、ヒルビは言い返せず、エメリはサロファから視線を
剃らした。そこで、ルーアが咳払いをして話を戻した。
「確かに。この本に書かれているのは私達のことです。大昔、私達は隕石の衝突を
止め、黒幕を捕まえることができました。」
「ルーア。その絵本って......。」
「私達のことを知ったクラスメート達がこのことを書き残しておこうと思ったらしい
の。初めは伝記だったようだけど、話が冒険物だったからと子供向けに変えて、絵本
になったみたいよ。」
「えー!あの本、クラスのみんなが作ってくれたんだ!」
ルーアが話し始めた時、ヒカリが気になっていたことを聞き、ルーアの話にタイガも
ヒカリも昔共に学校生活を過ごしたクラスメートの顔を思い出していた。ルーアもそう
だったらしく、懐かしそうに笑っていた。
「ここからは絵本の続きのようだと思って聞いてください。」
「絵本の続き?」
「めでたしと終わっているけど、この話はここで終わりじゃないの。」
「ええっ!?」
ルーアとヒカリの話を聞き、ヒルビ達は驚愕した。
「確かに隕石を壊して黒幕を捕まえることができて、世界に平和は戻ったんだけど、
実はその黒幕は操られていて、本当の黒幕は別にいたの。」
「ええっ!?でも、絵本では平和になったって........。」
ヒカリの話したとんでもない事実にヒルビは驚いてそう言った。
「うん。平和には戻ったんだ。僕達が隕石を破壊したことで黒幕も打つ手を無くして、
身を隠して何もしなかったんだ。」
「本当の黒幕の存在は私達とアルセウス様の使い達しか知らないことにして、他に情報
を漏らしていないの。だから、この本を書いたクラスメートは本当の黒幕の存在を
知らないの。」
「そうだったんだ....。」
ヒルビの言葉にタイガとルーアは頷いて詳しく話し出し、ヒルビ達はその話を聞いて
納得した様子だった。
「黒幕が何をしてくるか分からない。それに、相手は私達のことを邪魔だと思って
いる。一度計画を潰した私達の警戒して姿を現さないかもしれないと思って、私達
はあることを考えたの。」
「あること?」
「黒幕は記憶喪失のピカチュウ、アルセウスの使いのラルトス、ミュウの3匹が邪魔を
したということは知っているけど、私達と実際に会ったことはないの。だから、私達
はその3匹とは違うポケモンだということにしたの。」
「違うポケモン?」
ヒカリ達の話にヒルビ達は疑問符を浮かべていた。
「黒幕はヒカリが元々は人間だったという情報もタイガという名前も知らないの。
むしろ、敵の前でそんな情報を話したりしなかった......それを利用したの。」
「僕達はセレビィというポケモン....セラフィと違っていて緑色のポケモンだよ...
に協力してもらったんだ。僕はミュウというポケモンという情報しかなかったんだ。
それで、僕はタイガというリオルの命に変えて未来に送ったんだ。黒幕が行動する
だろう未来に、あえて記憶を消してね。その後、僕はヒルビのところに拾われたと
いうこと。」
「私は記憶喪失のピカチュウという情報だったから、私は情報を上書きすることにした
の。私はそのままの姿で記憶だけを消して、同じ未来に送ったの。その先がちょうど
ヒルビ達と出会ったあの浜辺だったの。記憶喪失の私が覚えているのは自分の名前と
元は人間だったということ。記憶喪失の私は元は人間だったということを他にも
話すから、そのことで記憶喪失の元は人間だというピカチュウとなると思ったの。
人間だったという情報を持ってないから、黒幕も私のことは分からない。」
「そして、私はラルトスという情報だから、進化することにしたの。私はヒカリと
タイガと違って記憶はそのままの状態で、黒幕のことが分かり次第に記憶を戻すの
が私のやることだったの。まあ。私はアルセウス様の使いの仕事があるからという
のもあるけど...。ヒカリだけは私と会った時に私の記憶が少し戻るようにして、
私とヒカリが情報交換できるようにしたの。私はヒカリとタイガを送り込んだ時期
にヒカリとタイガを探し続けたの。2匹とも一緒に探検隊だったのは予想外だった
けど.....無事に見つかった上に幸運だったの。」
「幸運?」
ヒカリ達が考えた作戦をヒルビ達は無言で聞いていた。ただ、幸運という言葉に疑問を
抱いたが.......。
「アルセウス様の使いであることがバレていたから、私も一緒に探検隊に入れば分から
ないんじゃないかって......そう考えて私はヒカリとタイガと一緒に探検隊に入る
ことにしたの。ちゃんと話をつけてね。」
「うん。ルーアからその話が来た時は驚いたよ♪」
ルーアがそう言って誰かに視線を向けた。ルーアからの視線を向けられたポケモン、
モルガは普通に頷いた。
「「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」」
「....やっぱりね。」
「ルーアならそういった根回しはするよな....。」
ヒルビ達は驚いていたが、ヒカリとタイガは落ち着いた様子でそう話していた。
「あのー。親方様。それは一体どういう........?」
「ルーアと僕は友達だよ♪昔からの友達♪」
「私とモルガは昔からの知り合いで、今回の件の協力者でもあったの。まあ、協力関係
になったのはヒカリとタイガがこのギルドに分かった時に、私をギルドに入れて
くれるように頼んで、その後に私達の事情を話したの。」
「そこから僕達は協力関係になったんだ。ごめんね、みんな。ルーアに他言無用って
言われたから、言えなかったんだ。」
リコラがおそるおそる聞くと、モルガとルーアはさらりとそう言った。モルガは黙って
いたことを誤り、周りのみんなは口を開けて立っていた。
「....ルーアには一番つらくて、大変な役目を押しつけたな...。」
「そうね。私達が忘れていたけど、ルーアだけは覚えていて......それに、ルーアが
裏で色々してくれたおかげで私達は.....。」
「いいのよ。誰かがやらないといけないことがあるって私達は分かっていたじゃない。
それと、これをやるって言ったのは私なんだから。」
ヒルビとヒカリは申し訳なさそうに言うが、ルーアは気にしてないと笑って言った。
「.........また話が逸れかけているから戻すね。」
話がまた脱線しかけたので、ルーアが元に戻した。
「今回の件、大昔の隕石の衝突と同じ特徴はないけど、星の停止.....何らかの悪意が
潜んでいると思うの。それに、ヒカリが深く関わっているみたいだから、記憶を
戻した方がいいと思ったの。」
「確かに。今回と大昔の関係性は今のところないけど、これからその可能性が出るかも
しれないからな。協力し合わないと。」
「ルーア。タイガ。ありがとう。」
ルーアの話にタイガは頷き、ヒカリはルーアとタイガにお礼を言った。
「やあ!みんな!」
ヒカリ達の話が終わったのを見計らい、モルガが声をかけた。
「ヒカリ。ヒルビ。タイガ。エメリ。サロファ。ルーア。もちろん。僕はヒカリ達の話
話を信じるよ!なんたって、ギルドの仲間だもん♪」
「親方様!?」
「親方様!」
モルガの言葉にリコラは驚愕した。
「........あっしも...信じるでゲス....。」
「ええ!?なんだってえ〜!?じゃあ、マックもディアノさんのことを悪者だって思うの
かい?」
「ううっ......あっしもディアノさんのことは尊敬してたんで、それを言われると
つらいでゲスが....でも、あっしにとってはそれ以上にジュエルのことが大切
なんでゲス。だから、あっしはヒカリ達のことを信じるでゲス!」
「な、なんと〜〜〜〜!」
「マ、マック!」
モルガに続いてマックが勇気を持って言い、リコラのディアノが悪者という言葉に少し
悲しそうだったが、自分の思っていることを全て伝えた。リコラはそれに驚き、ヒルビ
は嬉しそうにマックを見た。
「ヘイ!おいらも信じるぜ!」
「私も!なんといっても大切な仲間ですもの。」
「わしも信じるぜ!」
「僕も!」
「私も!ヒカリさん達の話が本当なら、ディアノさんの広場での行動もさっきの声も
辻褄が合いますわ!」
「仲間のことが信用できなくてどうするのだ。」
「俺もな。」
「ひええ!」
マックに続いて他のみんなもヒカリ達を信じると言った。
「ううっ......みんなぁ.......ありがとう....。」
ヒルビは嬉し泣きしながらお礼を言った。
「どうやら話はまとまったみたいだね♪」
「「「「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」」」」
モルガの声に全員が驚いた。
「みんな、友達を信じてくれて良かった良かった♪じゃ、早速幻の大地を探しに...」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!親方様!」
モルガが話を続けようとするのをコゴムが止めた。
「ん?どうしたの?」
「話はまだまとまってないんじゃないか?」
「えっ?」
コゴムの言葉にモルガは不思議そうな顔をした。
「わし達はいいとして、リコラはまだ納得してないんじゃないかと......。」
「なあんだ♪そんなこと?リコラだったら心配ないよ?」
コゴムの話にモルガは問題ないというように言った。
「「「「「「「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」」」」」」」
「リコラだって納得いってるもんね?」
「「「「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」」」」
モルガの言葉に全員が呆然としたり驚いたりしていた。
「リコラだって本当はヒカリ達のことを信じてたんだもんね♪ねー、リコラ♪」
モルガの言葉にリコラは後ろを向いた。
「フフッ.....フフフフ...。フハハハハハハハハハハハハハ!!」
「な、なんだぁ?」
「どうしたんでしょう....。」
「.........。」
こっちに視線を向けずに笑い出すリコラに弟子達は引き、ルーアは同情するような目で
リコラのことを見た。
「フッ、さすが親方様。仕方がないな。」
リコラはそう言って振り返った。
「私は最初からヒカリ達のことを信じていたんだ。」
「「「「「「「「「「「ええーー!?」」」」」」」」」」」
「「「「「「ホントかよー!」」」」」」
「はあー。」
リコラの言葉にみんなが驚いたり本当かと疑っているなか、ルーアだけはため息を
吐いていた。
「ただ、私が最初に信じるって言っちゃうと、みんな、それについてきちゃう
からな。............」
「なんだ?それは?」
「モルガが圧をかけたのよ。」
リコラが言い訳のようにあれこれ喋るのを聞きながら誰かが呟いた時、ルーアが小声で
そう言った。
「モルガって話をまとめさせるのが結構強引なのよね。モルガの圧もにこにこしている
のに普通のポケモンには良く効くのよ。........話をまとめさせるために圧をかけ
られて必死に分からないように言い訳しているリコラが可哀想だよ...。」
「ハハッ!ハハハハハハハハハハ!」
ルーアはそう言うと、涙を流しながら笑うリコラを可哀想にと思いながら見た。リコラ
の涙に気づいたヒカリとタイガもリコラに同情した。
「みんなも聞いて。今、いろんな場所で時が止まり始めている.....。そして、ヒカリ
達の話で、僕達の世界に危機が迫っていることがわかった。であれば、なんとか
しなくちゃね♪だからここは......プクリンのギルドの名にかけて、みんなで力を
合わせ、そして...幻の大地を発見するよ!頑張ろうね!みんな!」
「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」
モルガは気にせず話を進め、弟子達はかけ声を上げた。
「リコラ!!」
「は、はい!!みんな!今から全ての仕事を幻の大地発見にシフトする!また、今この
世界で起こっていることもみんなに伝えなくてはならない。忙しくなるが、みんな!
頑張ってくれ!」
「頑張るさ!」
「あっしはトレジャータウンに行って、みんなに信実を伝えるでゲス!」
「僕も一緒に行くよ!」
「アルサ達にも伝えないと!湖にいるようだったら、ジェード達と戦いになりますわ!」
「ヘイ!じゃあ、そっちにおいらも行くぜ!」
モルガがリコラを呼び、リコラが指示を出した。それに頷く者もトレジャータウンで
信実を伝える者もアルサ達に伝えに行く者もいた。
「では、他は皆、幻の大地の探索にあたってくれ。」
「おう!」
幻の大地を探すという者は頷いた。
「マックやアマラ達もそちらが終わったら、幻の大地の情報を集めに行ってくれ!」
「はいでゲス!」
「急ぎますわ!」
マックやアマラ達も大きな声で返事をした。
「みんなで幻の大地を探すよ!たあーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」
モルガの言葉に全員がさらに大声でかけ声を上げた。
「みんな!気合入れていくぞ!」
「ヘイヘイヘーーーイ!!」
弟子達は張りきっている様子で話し合っていた。
「幻の大地については僕も全く情報がないんだ。ごめんね。でも、もしかしたら
ディクス長老なら....。」
「ディクス長老?」
モルガの口から出た名前にヒカリ達は首を傾げた。
「トレジャータウンに住んでいる物知りなじいさんだ。温泉が大好きでいつもそこに
いるから、温泉に行けば会えると思うぞ。」
「あっ!」
「思い出した......。」
「あーーーーーー!そっか!」
「うるさいわね!」
「あの時のじいさんか...。」
リコラの言葉にヒカリ達は初めての探検の時の温泉を思い出した。ヒルビは大声で
叫んでエメリに怒られたが........。
「亀の功より年の功と言うしね♪ディクス長老に聞きにいってみなよ。」
「うん!行ってくるよ!温泉に!」
モルガの言葉にヒルビは頷いた。
「何?知ってるの?それなら、私は別行動で幻の大地について探してみるね。」
「うん。お互いに頑張ろうね。」
一方、知らないルーアは別行動することにした。
「その前に!」
全員が話し合っているなか、ルリラが声をかけた。
「今日はもう遅いですし、それに....ヒカリさん達、おなかがすいたでしょ。」
「えっ?」
ルリラの言葉にヒルビとタイガのお腹がなった。
「おなかがなったよ。」
「ホントだ。ハハハハ。」
ヒルビとタイガは笑い合い、ヒカリ達は呆れたような、微笑ましそうな目でヒルビと
タイガを見た。
「今日はご飯を食べて、ゆっくり休んで......明日から頑張りましょう!」
ルリラの言葉にまたヒルビのお腹がなった。
「またヒルビのお腹がなったわね。」
「おい!みんな、今の聞いたか?ヒルビの奴、ルリラにお腹で返事してたぞ!」
「「「「「「「「「「「「「ハハハハハハハハハハハハ!」」」」」」」」」」」」」
「う、うるさい!」
エメリとコゴムの言葉で全員が笑い出し、ヒルビは顔を真っ赤にして怒った。