64話 犯人と大地
「本当に、残念です!プテラ教頭先生!!」
ヒカリは、そのポケモン...プテラ教頭先生を見て、強く言った。プテラ教頭は、
悪そうな笑みを浮かべていた。
「...ヒカリさん、まだ先生と呼んでくださるのですね。それにしても、よく
私だと分かりましたね。」
プテラは、悪そうな笑みのまま、言った。
「それはですね。後からよく考えてみると、学校のうらの森とキララ山は、学校
関係者、先生達が管理している。学校のうらの森の時は、事件は起きていないから、
先生達全員に、操ったポケモン達を、学校のうらの森に放つことができる。しかし、
キララ山には、事件が起こり、先生達がいる。他の先生達がいる中、他の先生達の
目を欺き、 操ったポケモンを、キララ山に放つことができるのは、その時、近くに
いたプテラ教頭先生しかいません!」
「その考えで、私が犯人だと考えるのは、早すぎではないですか。それに、お忘れ
ですか?私は、襲われたのですよ!放った本人が襲われて、どうなんですか?」
ヒカリは、先生達の中に、ブラックホール団の仲間がいると言われた時、思い出した
学校のうらの森とキララ山のことを思い出し、よく考えて、疑問に思ったことを
言った。プテラは、分かっているのに指摘し、ヒカリ達を挑発した。ヒカリとルーア
は動じなかったが、ミュウは、怒って、プテラに攻撃しようとして、ルーアに止めら
れた。ヒカリは、ミュウのことをルーアに任せて、そのまま続けて、言った。
「いえ。襲われなかった方が不自然です。放つことができた、つまり、近くにいたと
いうことです。操られたポケモンが近くにいて、襲われない方がおかしいと怪し
まれる。近くにいて、襲われないことが、犯人だということを教えることになる。
その場には、いなかったということもできるが、それでは、先生達で決めたことを
破って、いったい、どこにいたかということになる。だからこそ、襲われたという
演技をしたのです。放った張本人が命令すれば、言うことを聞いて、軽く襲われた
ようにすることができますから!!」
ヒカリは、静かにプテラのいうことを否定し、だんだん声が大きくなりながらも、
言った。ヒカリも、プテラの演技に騙された自分に、怒っているみたい。プテラは、
ヒカリの話を聞き終えると、声に出して、笑った。
「ハッハッハッ!見事だ!学校のうらの森とキララ山のことがバレるとは、思わな
かった。」
「他にもあります!」
プテラが笑いながら、言っている中、ルーアが、ヒカリの代わりに言った。ヒカリは、
ルーアと交代して、ミュウを止めていた。
「ほう。ルーアさん、他に、何があるのですか?」
「遠足の火山です。」
プテラは、そのままの様子で、ルーアに挑発するように言った。しかし、ルーアの言葉
で、プテラは、一瞬表情をなくし、動きが止まり、ルーアを見た。ヒカリとルーアは、
その様子を見て、やっぱりと思った。
「遠足の火山?いったい何のことだ。」
「とぼけても、無駄です!私達は、火山の頂上で、操られたポケモン達に襲われ
ました。遠足の火山の頂上に暮らしていたポケモン達は、意識を失ってから、
その時の記憶がありませんでしたが、意識を失う前のことを覚えていました。
意識を失ったのは、何者かに後ろから襲われ、気絶してしまったからだそうです。
そのポケモン達の中に、意識を失う前、襲ったポケモンを見たそうです。襲った
ポケモンは、大きな口で、するどい爪のある足があり、翼を持ったポケモンだった
そうです。先生、あなたなら、空を飛ぶことができて、遠足の前に、学校と火山を
往復し、火山の頂上に暮らしていたポケモン達を襲うことができました。」
プテラは、知らないととぼけた。それを聞いて、ルーアは、始めの言葉を強く言い、
そのまま遠足の火山で、その時に起きたことを思い出し、終わった後、聞いた話を
思い出しながら、言った。
「そういうポケモン、他にもいますよ。ブーバーン達が言ったことが、見間違い
だった可能性もありますよ。」
プテラの言葉に、ヒカリとルーアは、確信したような顔をした。
「おや?どうしたのですか?」
「確かに、私達を襲ったのは、ブーバーン達ですが、何故、知っているのですか?
私達は、一言もブーバーン達のことを言っていませんよ!それに、遠足の時に
襲われたことは、襲われた私達しか知らないのだから、先生達は知らない。
それなら、どうして、プテラ教頭先生が知っているのですか?」
プテラは、ヒカリとルーアの様子を見て、不思議に思い、ルーアに聞くと、ルーアは、
当たり前のように、はっきり言った。プテラは、ルーアの言葉を聞き、罠にはまった
ということに気づいた。それに気づいた後、プテラは、また笑った。
「ハッハッハッ!まんまと罠にはまったよ。それにしても、まさか見られていたとは、
これは、初めてだったよ。ハッハッハッ!」
「プテラ教頭先生、いや、プテラ!始めの事件の後のことは、私達が狙いなのは
分かっているが、始めの事件は何が目的だったの?」
プテラは、また笑いながら、言った。ルーアは、プテラの笑い声を無視して、プテラに
言った。すると、プテラは、ルーアの話を聞いて、笑うのを止め、ヒカリ達を睨んだ。
「フフッ。それはですね、恐怖を与えるためだ。」
プテラは、話の途中で、突然口調が変わった。
「恐怖を与える?」
「ああ、そうだ。俺は、恐怖に満ちた世界が見たいだけだ。」
「たったそれだけの理由で.......」
プテラが当然のように言い、ヒカリ達は、操られたポケモン達やそのポケモン達に
襲われたポケモン達などのポケモン達を巻き込み、色々な事を起こしたことに、怒って
いた。
「お前達には、それだけの理由だと思う。だが、俺は、世界が恐怖に満ち、ポケモン
達が恐怖で震えている姿、それが見たい。それに、あの方も、これを望んでいる。」
「あの方?」
ヒカリは、プテラの言った言葉の中で、気になった、あの方という言葉を聞き返した。
「そうだ!偉大なお方で、我がブラックホール団のボス。あの方のために、それが
一番の理由だ。」
「いったい、ボスって誰なの!!」
プテラは、上を見て、高らかに言った。ルーアは、ボスのことが気になり、ボスのこと
を知るチャンスだと思い、大きな声で言った。
「あなた達が知る資格はありません!!あなた達が来たおかげさまで、ボスの計画が
台無しです!!初めは、学校を操ったポケモン達が襲い、子供達に恐怖を与え、大人達
も、恐怖していく、そういう計画だった。しかし、ヒカリが、操ったポケモン達を
倒してしまったため、子供達に恐怖を与えることができず、計画は失敗。邪魔をした
ヒカリを痛めつけ、利用をしようと考えたが、次は、ミュウに邪魔され、また失敗。
それから、変更して、操ったポケモン達が、ダンジョンで襲わすことにしたが、
今度は、ルーアに邪魔され、全て失敗。旅に出た時も、遠足の時も、チャンスだと
思い、色々仕掛けたが、ダメだった。あなた達には、邪魔をされてばかりで、
このまま邪魔になる。早めに倒したかったが、せっかくだから、今、ここで、倒れて
もらおう!!!」
プテラは、ルーアよりも大きな声で、興奮した様子で、怒りがこもっているのが、よく
分かるように言い、ヒカリ達に攻撃を仕掛けようと接近してきた。しかし、ルーアは、
プテラが接近して、攻撃を仕掛けようとしていることに対して、笑みを浮かべていた。
「............それは、無理です。プテラ、あなたは、私達しか見ていないから。」
「何!?」
「ここにきた、いえ、ここにいるのは、私達だけではありません!!」
ルーアの言葉に、プテラは驚きながら、接近したまま、少し周りを見た。プテラの様子
を見ながら、ルーアの代わりに、ヒカリが言った。ヒカリの言葉と同時に、二つの影が
いきなり出てきて、プテラの真下にきて、攻撃した。攻撃を受けたプテラは、ヒカリ達
を飛び越え、ヒカリ達の後ろに落ちた。
「はあ、暑かった。」
「でも、おかげで、誘き寄せることができて、自白も得られたから、待って良かった
じゃない。」
二つの影、ライドとルイが、プテラを見ながら、言った。
「くっ、学校での会話は、仕組んだものだったのか。」
「そう。学校で話していれば、自分から聞いてくれる。それに、この場所と言ったら、
なおさらね。」
プテラは、静かに立ち上がりながら、ヒカリ達を見て、恨めしそうに言った。ルーア
は、プテラと向き合いながら、言った。
「!!......何故、ここだとわかった。」
「前、夜に、地震が起きたことがあった。あの地震は、お前達の仕業だと思ったから、
あの地震の震源は、ここを示していたんで、ここに行くと聞けば、くると思った。
だから、ヒカリ達は誘き寄せ、僕達は、ここで待っていた。」
「ここに行くと聞けば、くると思ったのは、ルーアの考えでしょう。」
ルーアの言葉に、プテラは驚きながらも、聞いた。ライドは、ルーアの代わりに、
一歩前に出て、言った。ルイは、妹とヒカリ達の前だから、カッコつける弟を見て、
少し笑いながら、訂正した。ルイに言われて、ライドは、無視して、違う方向を見て、
ルイと目を合わせないようにした。
「ここだとわかったことは、誉めておこう。だが、ここにきたことは、間違いだ。」
「どういうこと?」
プテラは、驚いた様子から落ち着きを取り戻し、また悪そうな笑みを浮かべた。ヒカリ
は、プテラの言葉が気になり、聞いた。
「フン。すぐに分かるさ。」
プテラは、そう答えて、奧に行ってしまった。
「プテラが逃げた!追いかけよう!!」
ミュウの言葉で、ヒカリ達も、プテラを追って、奧に行った。
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マグマのちてい 最下層B3階
「いた!もう逃げられないぞ!!」
ヒカリ達が、しばらく走っていると、後ろを見ているプテラを発見した。プテラは、
ミュウの声に気づき、前を向いた。
「逃げたわけではない!!」
プテラは、悪そうな笑みで、辺りに響くように言い、翼をバサッと音をたてた。その
瞬間、大きな地震が起きた。ヒカリ達は、必死に足を踏ん張り、なんとか立っていた。
プテラは、翼があるため、地震の影響を受けなかった。
「い、いったい、何をした!?」
「何をって、.........ただ、.........やつを起こしただけさ。」
「やつ?」
「起こした?」
ライドは、地震に耐えながら、プテラに聞き、プテラは、ヒカリ達の様子を見て、
おもしろそうに、言った。ヒカリとミュウは、プテラの話の中で、気になる言葉が
あり、プテラに聞き返したが、プテラは聞き入れず、プテラに、もう一度聞こうと
した時、突然、辺りがまぶしく光った。
「グガアアアーーーーーーーーーーーー!!!」
それと同時に、誰かの鳴き声が聞こえた。鳴き止むと同時に、光が修まった。光が
修まり、ヒカリ達の目の前に、一匹のポケモンがいた。
「............おいおい、嘘であってほしいよ!?」
「......本物なの!!?」
「.........お、大きい...。」
「...どうして!?...!!だから、プテラは、ここにきたのは、間違いだと言った
のね。」
「.........グ......グラー、ドン........!!?」
「グガアアアーーーーーーーーーーー!!!」
ヒカリ達は、目の前にいるポケモン、グラードンに驚いていた。ヒカリの消えそうな
グラードンを呼ぶ声に答えるように、グラードンは、叫び声のような鳴き声で、
鳴いた。