62話 反省
「初めまして。私は、アルセウス様の使い、そして、ルーアとライドの姉、
ルイです。妹のルーアと弟のライドが、お世話になっています。」
ルーアとライドの姉、ルイは、笑顔で、ヒカリとミュウにそう言った。
『兄さんが、姉さん、行けないから、映像を残してほしいって、姉さんに言われた
らしい。』
運動会の前の日のルーアの言葉が、ヒカリの頭の中に響いた。
「ルーアとライドさんのお姉さん......。」
「ええええええええ!?」
ヒカリは、そう呟き、隣で、ミュウが驚いていた。
「ええ。そうよ。」
「あ、すみません。私は、ヒカリです。隣にいるのが、ミュウです。助けてくださり
ありがとうございます!!」
「あ、ありがとうございます!!!」
ルイは、ヒカリとミュウの様子を見て、笑顔で返事した。ルイの返事で、自分達の
自己紹介とお礼を言っていないことを、ヒカリは思い出し、ミュウの分も自己紹介
して、お礼を言った。ミュウも、それに気づき、慌てて、お礼を言った。
「いいのよ。それに、ルーアから聞いているから、わざわざ自己紹介しなくても
良かったのよ。」
「そうですか。......あの。ルイさんは、ルーアとライドさんの喧嘩を止めにきたの
ですか?」
「ええ。さすがに、ルーアとライドが、ここまで被害を出していたら、姉として、
ほっとき過ぎたことに対しても、責任があるわ。」
ルイは、ヒカリとミュウを見て、少し照れている感じで言った。ヒカリは、ルーアと
ライドの姉で、さっきの責任の話があったので、少し考えてから、ルイに、確認する
ように言った。ルイは、それを聞き、ルーアとライドの方を見ながら、言った。
ルイが見たので、ヒカリとミュウも、ルーアとライドの喧嘩を見た。
「サイコショック。」
「かみなりパンチ。」
ルーアとライドは、自分達の姉がきていても、ルイに気づく様子もなく、ルイとヒカリ
達が話している時も、ずっと喧嘩して、技をぶつけあっていた。その証拠に、巨大な穴
の中には、複数の技の跡があった。
「速く止めないと.........」
「私が止めるわ。」
その様子を見て、ヒカリは、慌てて動こうとしたが、ルイに制され、止まった。ルイ
は、一歩前に出た。
「大丈夫。たまに、私達が喧嘩して、私とルーアで、喧嘩したことはないけど、
私とライド、ルーアとライドは、あるから、喧嘩の止め方は、わかるわ。」
ルイは、そう言いながら、手を前に出した。
「えっと、何をするのですか?」
「こうするの!シャドーボール。」
ミュウは、ルイの行動を疑問に思い、思わず質問した。ルイは、簡単に言って、ルーア
とライドが喧嘩している穴の中に向かって、シャドーボールを放った。
「「えっ!?」」
「行くよ。サイコキネシス。」
「は、はい!」
「えっ!?えっ!?」
ヒカリとミュウは、いきなり、ルイが喧嘩しているルーアとライドに向かって、
シャドーボールを放ったことに驚いていたが、ルイは、その様子を気にせず、
シャドーボールが、ルーアとライドのいる方に向かっていったことを確認すると、
ヒカリとミュウに合図し、サイコキネシスで、自身も、ヒカリとミュウも、宙に
浮かんだ。ヒカリは、慌てて返事をし、ミュウは、次々に起こることに、まだ驚いて
いる。
「マジカルリー...............!?」
「ほのおの...............!?」
ルーアとライドが、互いに技を放とうとした時、その間に入るように、ルイの放った
シャドーボールが落ちてきた。ルーアとライドは、少し後ろに下がった。
「誰?」
「どこにいる?」
ルーアとライドは、辺りを見渡し、警戒しながら言った。
「まったく、あなた達は、喧嘩をすると、周りが見えなくなるから。まあ、私も
言う資格、..ないけどね。」
そう言いながら、ルイは、サイコキネシスを使って、ルーアとライドの間に、ゆっくり
降りてきた。
「「姉さん!!!?」」
「フフっ、そうよ。ルーアも、ライドも、少し頭が冷えてきたみたいね。このやり方
は、一回で止まるから、いいわ。」
ルーアとライドは、声と姿で、ようやく、ルイのことに気づき、驚いた。。ルイは、
ルーアとライドを見て、少し笑いながら、感想を言った。
「姉さん!どうして、ここに?」
「何で、姉さんがいるんだ!?」
「ハア。どうしてや何でって言われても、ルーアとライドが帰って来ないから、
心配して、きたのよ。ルーアが、自分だけで、説明するって言ってたから、
任せたけど、...でも、頑張ったわ。それと、ルーア!ライド!周りをよく
見なさい!!」
ルーアとライドが質問してくるのを、ルイは、ため息をつきながら、答えた。ルイの
言葉で、ルーアとライドは、辺りを見渡し、目を見開いた。今度は、落ち着いている
らしく、ルーアも、ライドも、巨大な穴の中にいることに、驚いていた。
「姉さん!ここは、いったい、どこ?私、学校に行かないと...............」
「ここは、学校よ。」
「「えっ!?」」
ルーアは、学校のことを思い出し、どこにいるか分からず、ルイに訪ねた。ルイは、
まったく、仕方がないなと思いながら、言った。ルーアも、ライドも、ここが学校
だとは、思わなかった。でも、学校の面影すらないので、分からないのは、無理も
ない。まあ、やったのは、ルーアとライドですが...............。
「うそ。だって、学校に、こんな大きな穴、なかったわ。」
「ええ。なかったわよ、前まで。ルーアとライドの喧嘩で、できたのだから。」
「ハッ!?」
「ど、どういうこと!?」
ルーアは、ルイの言うことが信じられなかった。ライドも、同様で、ルーアの言葉に
頷いた。ルイは、その様子を見て、当然よね、しょうがないと思いながら、言った。
ルーアとライドは、さらに驚いた。
「ルーア!ライド!まず、喧嘩に至るまでの経緯を教えて!その後、説明するわ。」
「わ、わかったわ、姉さん。姉さんに言った後、兄さんと話していたんだけど.....」
ルイは、話をつなげたくて、ルーアに、これまでに至ることを説明してくれるように
言った。ルーアは、自分の質問に答えてもらえず、少し戸惑うが、喧嘩に至るまでの
経緯を話した。
....................................
「兄さん!お願い!情報を教えて!」
「ダメだ!何度言っても、絶対ダメだ!!」
ルーアとライドは、何度も同じことを繰り返し、言い合っていた。
(......このままだと、前とまた同じような言い合いだけで、終わるわ。何度も同じ
ような言い合いになるのは、確実ね。)
ルーアは、言い合いしながら、このままだとダメと思い、必死に考えた。少し考え、
何か思いついたらしく、少し頭を上げた。
「兄さん!私だって、昔より強くなりました。ですから、大丈夫です。」
「いや、例え、昔より強くなっていても、ダメだ!」
「たしかに、私は、まだまだ弱いです。しかし、危険なことでも、対応できるぐらいの
力は、あります!!」
ルーアは、少しでも話の方向を変えようと思い、言った。ライドは、いい加減に
あきらめてほしく、ルーアに強く言い放った。ルーアは、ライドの言葉に、わずかに
怒りが湧いて、少し怒ったような感じで、言った。
「......なら、れいとうパンチ。」
「!?」
ライドは、仕方ない、それならばと思い、ルーアに向かって、れいとうパンチを
放った。ルーアは、当然のことに驚きながらも、咄嗟にかわした。
「...かわしたか。対応できるぐらいの力があるのなら、それを示すんだ!!」
「兄さん!......まったく、兄さんは。」
ライドは、ルーアのかわした様子を見て、強く言い放った。ルーアは、ライドの言葉を
聞いて、少し呆れた。兄さんは、どうして、こういうことで、こうなるのと、ルーア
は、そう叫びたいのを抑え、そう思った。だが、チャンスかもしれないと、ルーアは、
同時に思った。
「わかったわ。本気でいくから、しっかり認めてよ。兄さん!!」
「来い!!!」
「"氷精のかぜ"」
ルーアは、少し笑みを浮かべ、ライドに強く言った。ライドは、それを聞き、合図に
来いと言い、それと同時に、ルーアは、"氷精のかぜ"を放った。
.................................
「.........と、いうことでして................」
「それが、喧嘩にまで、発展したということね。」
「....はい。」
ルーアは、ルイに説明して、途中で言い難くなり、その続きを、ルイが代わりに
言った。ルーアは、ルイの言葉に、静かに返事した。
「ハア。ライドは、ルーアに、そんなことを言ったのが、悪いわ。ルーアは、
ライドの言葉にのって、お返しのような感じになったのが、悪いわ。その結果、
喧嘩になるなんて..................」
「「ごめんなさい。」」
ルイは、ため息をつきながら、そう言い、少し気まずくなったので、ルーアとライド
は、ルイの言葉の途中で謝った。
「謝るのは、私じゃないわよ。ほら、出てきていいわよ。」
「「えっ!?」」
ルイは、ルーアとライドを見て、呆れたように言い、後ろを見て、誰かを呼んだ。
ルーアとライドは、それを見て、疑問に思い、ルイの後ろを見つめた。
「.......えっと...............」
「あはは。ルーア、ライドさん。」
「「!?」」
すると、ルイの後ろから、ヒカリとミュウが出てきた。ヒカリは、なんて言えばいい
のか分からず、戸惑い、ミュウは、苦笑いしながら、ルーアとライドの名前を呼んだ。
ルーアとライドは、ヒカリとミュウを見て、目を見開き、驚いた。
「ヒカリ!ミュウ!どうして。...まさか、本当に、ここは、学校なの!?」
「う、うん。」
「ええ。ルーアとライドが、喧嘩をして、周りが見えなくなって、学校にきて、
そのまま喧嘩したのよ。それで.......................」
ルーアは、ヒカリとミュウが、ここにいることにより、ここは、学校だと確信した。
ヒカリは、少し戸惑いながら、返事し、ルイは、ヒカリとルーアの様子を見て、
ルーアとライドを見ながら、これまでのことを説明した。ルーアとライドは、説明を
聞いて、だんだん顔が真っ青になっていった。
「えっ!?これ全部、私と兄さんがやったの!?.........ヒカリ、ミュウ、
ごめんなさい!!!」
「すまない!!!」
「しっかり、反省しなさい!!!」
ルーアは、信じられないような感じで、周りを見て、ヒカリとミュウが見えて、
ヒカリとミュウに謝った。ライドも、ルーアに続いて、ヒカリとミュウに、謝った。
ルーアは、その様子を見ながら、腕を組んで、言った。ヒカリとミュウは、もう
苦笑いしかできなかった。ひとまず、ルーアとライドの喧嘩は、終わった。