55話 運動会 リレー 後編
リレーは、後半に突入した。オムナイトは、今、半分の近くだ。相手は、
チゴラスからリリーラに変わった。リリーラは、走ることより、バレないように
拾っているようだった。触手を地面に向けて、いろいろな方向に伸ばし、何かが
からまっている。
「そろそろ、行くね。全部回収されないうちに、取って来ないと……………。」
「わかったから。目につかない、2ヶ所から、一個ずつ取ってくるのよね。
いつ来てもいいように、しているね。」
「ええ。」
ヒカリとルーアは、そう言って、ハイタッチした。オムナイトは、プロトーガの
時の速さが加算され、ものすごいスピードで、転がっている。オムナイトが、
近づいてきた。ルーアは、スタート地点にいる。差は、大きい。ルーアは、
2ヶ所から、一個ずつ取ってくるのが、目的だ。オムナイトから、ルーアに変わった。
転がっていたオムナイトは、ミュウが、サイコキネシスで、止めた。ちなみに、
こうそくスピン状態のプロトーガを止めたのも、ミュウのサイコキネシスだ。
ルーアは、走っていた。そのままアマルスが怪我をして、目がつかないあの場所に
近づいてきた。
(えっと、ここらへんだったはず。)
ルーアは、走りながら、地面や辺りを見渡した。
(これ…………では、ない。あれでもない。もうすぐで、通り過ぎる!えっと、えっと………)
ルーアは、そう思いながら、同じスピードで、走りながら、必死で探していた。
(……………ルーア、速くしないと、通り過ぎるよ。)
ヒカリは、応援することしかできない。
(…………………あれでもない。ん?あった!これよ!)
「サイコキネシス。」
ルーアは、見つかった物を、サイコキネシスで、ヒカリに届けた。
(………………あっ!良かった。見つかったのね。)
ヒカリは、飛んできた物をキャッチして、ほっとした。それから、ちょっとして、
相手はのリリーラが、スタート地点に近づいてきた。やはり、リリーラは、
仕掛けた物を回収するためだったらしい。リリーラは、違うリリーラに変わった。
どうやら、今回は、回収が目的らしい。一方、ルーアは、もう1ヶ所のアマルスが
怪我した(目がつけられないところ)に近づいてきた。そこまで来ると、ルーアは、
前と同じように、同じスピードで、走ったまま、地面や辺りを見渡して、探した。
(確か、ここらへんは、前に走っていたリリーラが、結構、触手を長く動かしていた
から、見つかりにくいかもね。でも、まだ残っているはず。)
ルーアは、前の時より、必死で探した。リリーラは、前の仕掛けたところで、触手を
動かしていた。おそらく、仕掛けた物を回収しているのであろう。
(これでもない。あれでもない。それでもない。あ!あそこにあった!)
「サイコキネシス。」
ルーアは、遠くにある、かなり内側に落ちている物を、遠くから、サイコキネシスで、
ヒカリに届けた。ヒカリは、またキャッチして、2つの物を見比べた。
(さてと、1つ目的を達成したけど、もう1つの目的も、頑張らないとね。
圧勝しなきゃ。)
ルーアは、必死で走った。もう、探す物がないからだ。幸い、リリーラは、回収の
方に、集中しているため、差がつめられずに済んだ。そして、ルーアが、スタート地点
に、近づいてきた。スタート地点には、すでにカブトがいた。ルーアから、カブトに
変わった。一方、リリーラは、2ヶ所目の仕掛けたところにいた。走り終わった
ルーアは、仕掛けていた2つの物を見比べていた。ヒカリも、一緒である。
「アクアジェット。」
そのころ、カブトは、アクアジェットで、差を広げようとしていた。ちなみに、
アクアジェットは、ヒカリ達からもらった、技マシンで覚えた。ヒカリとルーアが、
スピードの速い技を使った方がいいって、言ってたからだ。カブトは、どんどん差を
広げて、リリーラを抜かすまで、あと、10メートルくらいまで、きた。しかし、
そこで、相手は、リリーラから、メラルバに変わった。100メートル走で、ヒカリと
競争した、あのメラルバだ。これで、走っていないのは、ヒカリ、ミュウ、相手は、
チゴラス、メラルバ(と、言っても、100メートル走で、走ったメラルバではなく、
障害物競争の、ルーアと競争したメラルバである。)になった。メラルバは、
ニトロチャージで、スピードを上げ、差を縮めている。カブトから、ミュウに
変わった。ミュウは、体全体に、力を込め、光った瞬間、走り出した。ミュウは、
本気を出すために、能力を使ったのだ。しかし、ミュウは、速くしたままで、メラルバ
は、どんどん速くなっていくため、差が縮められる一方だった。お互いが速いため、
メラルバも、ミュウも、スタート地点の近くまで、きた。相手は、(100メートル走
で、ヒカリと競争した)メラルバから、別の(障害物競争で、ルーアと競争した)
メラルバに変わった。それから、少しして、ミュウから、アンカーのヒカリに
変わった。
「でんこうせっか。こうそくいどう。こうそくいどう。こうそくいどう。
こうそくいどう。」
ヒカリは、さっそくでんこうせっかで、その後、こうそくいどうを使って、4倍速に
なった。一方、メラルバも、何か仕掛けていた。ヒカリは、少し用心しながら、
走った。ヒカリは、メラルバに近づいてきた。
「!?アイアンテール。」
ヒカリは、何かを感じた瞬間、ジャンプして、アイアンテールを放った。すると、
糸が、ひらりと落ちてきた。よく見ると、糸が、いっぱい仕掛けてあった。
ちなみに、この糸は、ルーアが、サイコキネシスで、回収した。ヒカリは、
アイアンテールで、糸を切りながら、ジャンプして、走った。ヒカリとメラルバの
差は、そのままだった。メラルバも、必死で、ヒカリを止めようと糸を張っていた。
(ちっ。ねばってやがる。しっかし、何とか動きを止めないと、勝ち目がねえぜ。
………………………ん!?そうだ!こうすれば……………………………………………)
(この調子で行けば……………でも、せめて、一周差ぐらい付けば、いいけど………………。)
メラルバが、何かを企んでいた。そうとも知らず、ヒカリは、必死で走っていた。
ミュウ達が繋いでくれたからと思い、圧勝を狙っていた。
(………………また、ある。)
「アイアンテー……………………………………………………ええええっ!?」
ヒカリは驚いた。糸が何重にも重なり、糸の壁(厚い)になっていた。しかも、広い
範囲で。
(アイアンテールでは、全部切れない。でも、止まるわけには、いかない。)
「アイアンテール。」
ヒカリは、アイアンテールで、いちかばちか、糸を切ろうとした。アイアンテールが、
糸に触れ、切るところまでいった時、
「マジカルリーフ。」
アイアンテールに合わせるように、無数の葉っぱが飛んできた。広い範囲の糸の壁
(厚い)は、アイアンテールとマジカルリーフで、全て切れた。ヒカリは、まさかと
思い、内側を見た。マジカルリーフを放ったのは、ルーアだった。ミュウ達は、
双子学校の生徒達の周りを囲み、ずっと見ていた。おそらく、これ以上、邪魔を
させないためだろう。
(ヒカリ!メラルバにも、邪魔させないから、安心して!サポートするから。)
ルーアは、そう思いながら、ヒカリに向かって、ウインクした。
(ありがとう。ミュウ!ルーア!みんな!)
ヒカリは、それに気づき、走りながら、うなづいた。ヒカリは、前にいるメラルバを
見た。
「でんこうせっか。こうそくいどう。こうそくいどう。こうそくいどう。
こうそくいどう。」
ヒカリは、でんこうせっかの状態で、4倍速になった。残り四分の三を過ぎた。
メラルバの糸は、ルーアが、マジカルリーフで、切ってくれている。他の双子学校の
生徒達は、ミュウ達に囲まれて、見動きできない。相手が、メラルバからチゴラスに
変わる直前、
「"タイム-ロック"………………………解除。」
ヒカリは、一瞬、時間を止め、再び時間を動かした。ヒカリは、メラルバを抜かした。
(ごめんなさいね。でも、メラルバ達も、ずるをしたから、いいよね。)
ヒカリは、そう思った。でも、結果は、一周差で、ヒカリ達の圧勝。双子学校の生徒達
は、一周差があるので、チゴラスが、むなしく走っていました。