49話 運動会 大玉転がし
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翌朝
「おはよう。みんな、早いね。」
ヒカリ達が、学校に着いた時、すでに、全員いた。
「ああ、何かうずうずしてな。」
そう言うズガイドスが、燃えていることには、全員気づいた。
「水、かけた方がいいかな?」
「今の時期、水をかけたら、風邪ひくよ。」
「それに、ズガイドスは、岩タイプだから効果抜群よ。」
ミュウの冗談に、ヒカリとルーアが制する。
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しばらくして、開会式が終わり、
「では、次は、大玉ころがし。」
アナウンスの声で、ヒカリ達は出てきた。
「今年も、勝つぞ。圧勝でな。」
「お、去年より、増えているぞ。」
「まあ、変わらないじゃないの。」
「あいつら、弱いからな。」
双子学校の生徒たちがそう言いながら、笑っていた。みんな、必死で怒りをこらえ、
ズガイドスを抑えていた。
「ヒカリ、ルーア、いざという時、能力を使っていい?」
ミュウが、小声で言った。
「いいよ。ここまで言われると、我慢できない。」
「私も賛成。こっちが圧勝しましょう。」
ヒカリとルーアも、承諾した。
「それでは、位置について、よーい、ドン!!」
その合図で、一斉にスタートした。始めに、ヒカリ、オムナイト、タテトプス。
双子学校は、チゴラス、リリーラ、アーケン。大玉ころがしは、フラッグを一周
するという感じで、行う。ヒカリ達は、オムナイトを押すという形で、チゴラス達を
抜いた。
「チッ、メラルバ、悪いけど、今回は、大玉ころがしでも、ずるい手を使うぞ。」
「おう、任せとけ。」
メラルバとチゴラスが、小声で相談した。次は、ミュウ、ズガイドス、アマルス。
双子学校は、メラルバ、リリーラ、アーケン。ミュウ達は、順調に進んでいたが、
フラッグを一周していたところで、突然、何かにからまり、ミュウ達は、動けなく
なった。正体は、メラルバの糸だった。ミュウ達が動けない間に、メラルバ達が
抜かし、ミュウ達が何とか動けるようになった時には、すごい差がついていた。
「ごめん。まさか、大玉ころがしでも、妨害してくるなんて。」
ミュウ達が落ち込んでいると、
「はははは、もう終わりか。情けないぞ。」
双子学校の生徒から、笑い声が聞こえる。ミュウが悔しそうにしていると、
「ミュウ、ズガイドス、アマルス、大丈夫よ。」
「想定内だから。」
ヒカリとルーアが、慰めた。
「えっ、想定内!?」
「ミュウ、さっきの糸を貸してくれる?」
「い、いいけど。」
驚いているミュウ達をほっといておいて、ルーアは、ミュウからもらった糸で、
ルーアとカブトとプロトーガに結んだ。ヒカリも、それを手伝った。それが終わると、
ルーアは、カブトの上に乗った。
「カブト、大丈夫?」
「平気だ。それより、何をする気だ?」
「荒っぽいけど、我慢してね。」
カブトとプロトーガが、疑問符を浮かべていると、ルーアが、サイコキネシスで、
カブトとプロトーガを宙に浮かせて、ルーアは、風を集めていた。
「ルーア、本当に、何を………………………」
アマルスの話の途中、いきなり、ルーア達が、風と共に、大玉に向かって、突進した。
「「「「「えっ、ええええええーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」
「「ルーア!?」」
ヒカリ以外の全員の叫び声を無視して、ルーアは、そのまま進み、フラッグを一周
して、ズガイドスの兄達を抜かし、ゴールした。カブトとプロトーガは気絶して、
ヒカリ以外は、今だに驚いていた。ヒカリは、拍手していた。ちなみに、ライドは、
大爆笑したらしい。
「えー、勝ったのは…………………」
「はっ、僕達、勝ったんだ!!」
アナウンスの声を遮り、やっと、ミュウが状況を整理でき、大声で喜んだ。
「ルーア、強引だったけど、うまくいったね。」
「非常時に、いちよう用意していたけど、本当に良かった。」
ヒカリとルーアが、小声で話していた。ミュウ達は、思いっきり喜んでいた。
「チッ、まだまだ、これからだ。」
双子学校の生徒の誰かが、そう呟いた。