70話 黒い竜と雷と時間
「ヒカリ!ルーア!ごめん、かわされた。」
「いいのよ。レックウザの身体が細くなかったら、当たっていたよ。」
「そうよ。それにしても、レックウザは、大きいけど、細いから、当たりにくい
わね。」
ミュウは、レックウザから離れ、ヒカリとルーアのところに来て、謝った。ヒカリと
ルーアは、ミュウに声をかけながら、レックウザを見て、考えた。
「動きを止めた方がいいわね。」
「ヒカリ、レックウザの時間を止められない?」
「時間は、止められるけど、でも、レックウザに、攻撃が当たる前に、能力が解除され
て、動き出すから、攻撃が当たる前に、レックウザにかわされる。」
ルーアの言葉を聞いて、ミュウは、ヒカリに聞いてみた。ヒカリは、難しそうな顔を
して、レックウザを見ながら、言った。ヒカリの様子を見て、ミュウは、何か言おう
としたが、
「仮に、レックウザに近づいて、攻撃しても、レックウザに、すぐに気づかれて、
かわされるか、跳ね返されるかだと思う。」
「なんで、わかったの!?」
「分かりやすいから。」
ルーアが、ミュウの隣で、冷静に言った。ミュウは、ルーアに、言おうとしたことが
わかったことに驚き、聞いた。ヒカリは、苦笑いをしながら、これがルーアの理由だと
思い、言った。ヒカリの思ったとおり、ルーアも、同じだと頷いた。
「だけど、ヒカリの能力を使って、攻撃を当てられる作戦を考えたわ。」
ルーアは、そう言うと、ヒカリとミュウの耳元で、何か言った。
「うん、了解。」
「えー!?なんで、そうなる!?」
「頑張ってね。」
ルーアの話を聞くと、ヒカリは頷き、ミュウは、納得していない様子で、ルーアは、
そんなミュウに向かって、言った。
「わかった。」
「ハッハッハッ!やけくそか!ふん、まあ良い!一撃で、倒してやろう!!りゅうの
はどう。」
ミュウは、そう言うと、レックウザに向かって、真っ直ぐに駆け出した。レックウザ
は、笑いながら、ミュウを見て、攻撃を放とうとした。
「"タイム-ロック"」
ヒカリの声が、辺りに響きわたり、時間が止まった。
「はどうだん。」
だが、ミュウの言葉で、時間が動き出した。レックウザは、これは、チャンスだと
思い、そのままりゅうのはどうを放った。煙がたち混むなか、レックウザは、りゅう
のはどうを放った後、またりゅうのはどうを放った。
(はどうだんを当てようとして、近づいてきたが、はどうだんを放った後で、すぐに
動くことは、難しいだろう。りゅうのはどうで、はどうだんとぶつければ、隙を
ついて、攻撃できる。さっきのりゅうのはどうで、ダメージを負っているはずだ。
あるいは、気絶しているか。.............ひとまず、とどめをさしておくか。)
レックウザは、笑みを浮かべながら、ミュウにとどめをさそうと近づいてきた。
「..........ん!?いない!?どういうことだ!?まさか、かわしたのか。いや、はどう
だんを放った後に、すぐに動くことは.........................ぐはっ!!?」
「"氷精の風"」
レックウザは、ミュウがいるはずの場所に近づいたが、そこには、ミュウがいなかっ
た。レックウザは、ミュウを探すため、辺りを見渡したが、ミュウは見つからず、
何故なのか考えた。その瞬間、レックウザの後ろから、突然、攻撃され、レックウザ
の背に、直撃した。レックウザは、ダメージを負っていたが、何とか振り返ると、
レックウザの後ろには、ルーアがいた。ルーアは、レックウザの背に向かって、静かに
攻撃を放った。
「10万ボルト。」
「れいとうパンチ。」
レックウザが、動けない間に、ヒカリとミュウが、突然現れ、レックウザに、攻撃を
放った。レックウザは、効果抜群の"氷精の風"を受けたため、突然のことに、かわす
ことができなかった。
「.....な、何故、いったい、どうやって..................。」
「ごめんなさい、レックウザ。実は、時間を止めた時、ミュウが、レックウザに近づく
ためだけではなく、私が近づくためでもあったの。」
レックウザは、少しふらつきながら、ルーアを見つめた。ルーアは、レックウザを
見て、レックウザが操られている可能性があるから、謝り、レックウザに、説明し
始めた。
「.........あの時、ミュウが動き、ヒカリが時間を止めた時、ミュウが近づく
のは、おとりだったか。時間の能力を持っていない我には、どれぐらい止まっていた
かは、分からない。だから.........................ぐはっ!!?」
「...ええ。時間を止めている間に、私は、レックウザの背後に隠れ、いつでも攻撃
できるようにしていたの。ミュウが、レックウザの注意を引いている間に、私が
隙をついて、背後から攻撃したの。さっき受けた攻撃は、みらいよちよ。ミュウが、
はどうだんを放ったのと同時よ。ミュウのはどうだんに気をとられて、私が、
みらいよちをしたのに、気づかなかったのよ。」
レックウザが、思い出しながら、言っていたら、突然、後ろから攻撃を受けた。ルーア
は、説明と、さっきの攻撃、みらいよちについて、言った。
「なんで、僕は、おとりなの?かみなりパンチ。」
「ミュウは、すばやいから、おとりになっても、大丈夫だからよ。10万ボルト。」
ミュウは、不満そうに言いながら、攻撃をし、ヒカリは、ミュウに、理由を言いなが
ら、攻撃した。ヒカリとミュウの攻撃も、レックウザに当たった。
「ルーアの攻撃は、わかったが、ミュウが、どうやってかわしたか、分からない。
あの距離だったら、我の攻撃をかわせず、当たっているはずだ。」
「それは、こういうことよ、ミュウ!」
「はどうだん。」
レックウザは、ルーアの攻撃に納得したが、ミュウがかわしたことは、分からず、
ヒカリ達を見て、言った。ルーアは、レックウザの方を見て言い、ミュウに合図を
した。ルーアの合図で、ミュウは、はどうだんを放った。
「りゅうの..................!!?」
レックウザは、はどうだんに対抗して、りゅうのはどうを放とうとしたが、突然、
はどうだんが、下に逸れて、地面に落ち、煙で周りが見えなくなった。レックウザは、
突然のことに驚き、りゅうのはどうを放つのを止めた。ミュウは、煙で見えなくなった
瞬間、小さなはどうだんを放ち、その衝撃で、後ろに下がった。
「エレキボール。」
その時、ヒカリは、ミュウとすれ違いで、出てきて、エレキボールを放った。エレキ
ボールは、レックウザに当たった。レックウザは、エレキボールに当たった時、
レックウザが、また何かを考え、分かり、ダメージを負いながら、笑みを浮かべて
いた。
「............ぐはっ。なるほど、我のりゅうのはどうとぶつかったのは、はどう
だんではなく、エレキボールだったか。あの時は、ミュウしか見ていなかったため、
ヒカリが、ミュウのはどうだんと同時に、エレキボールを放ったことに気づかなかっ
た。はどうだんが、下に逸れたと同時に、エレキボールが、りゅうのはどうとぶつか
り、はどうだんが地面に落ち、煙で見えなくなり、我が、りゅうのはどうとぶつかっ
たのは、はどうだんだと思っている間に、小さなはどうだんを放ち、ミュウは、その
衝撃で、我に気づかれずに、我から離れることができたということか。.........
まったく、話している最中は、攻撃を止めてくれないか?」
「正解です。本当は、こんな攻撃をしたくなかったのですが、これしか良い考えが
思い浮かばないので、すみません。」
「あと、もうひとつ攻撃があるので、注意してください。」
レックウザは、笑みをひきつりながら、ヒカリ達を見て、言った。ヒカリは、申し訳
なさそうに言い、謝った。ルーアは、上を見上げながら、ヒカリに続いて言った。
ルーアが、上を見上げているのを見て、レックウザも、上を見上げた瞬間、レックウザ
に、攻撃が当たった。
「...ぐはっ。...............くっ。」
「話している最中に放ったみらいよちです。」
レックウザは、攻撃をいっぱい受けて、ふらついている様子だった。ルーアの攻撃の
説明で、ヒカリとミュウが動き、レックウザの目の前にきた。
「10万ボルト。」
「はどうだ......!?ん!?」
ヒカリは、10万ボルトを放ち、ミュウは、はどうだんを放とうとした。しかし、
ヒカリの10万ボルトが当たった瞬間、レックウザは、ダメージを受けているにも
構わず、笑みを浮かべ、空に向かって、身体を伸ばした。それと同時に、レックウザの
身体が、光り出した。ミュウは、それを見て、一瞬、はどうだんを放つのを止めたが、
すぐに我に返り、はどうだんを放った。だが、レックウザは、はどうだんを受け止め、
ミュウに向かって、投げ返した。ミュウは、いきなり、レックウザの様子が変わった
ことに驚いて、動けずにいたが、ヒカリが、ミュウの手を引き、レックウザから離れ、
はどうだんをかわした。
「あ、ありがとう、ヒカリ。」
ミュウは、ヒカリにお礼を言い、ヒカリが返事をしようとした時、
キラーン。
レックウザの身体が、さらに光り、レックウザの姿は、光で見えなくなった。ヒカリ達
は、あまりの眩しさで、何も見えずにいた。光が修まり、ヒカリ達が目を開け、
レックウザを見ると、ヒカリ達は、驚いた。そこにいたのは、レックウザだが、さっき
とは、姿が違っていた。