僕は傍観者だからね。
晴れ晴れとした青い空。それでさえも嫌になる。僕が出来ることは学校で見たものを手帳に書き込んで行くだけ。特に特出した能力も無く、勉強も運動もいつも真ん中。金持ちでもなく、イケメンでもなければみんなにいじめられる程の不細工でも無い。
「ウキ君、今日のテストはどうだった?」
コイツはいつも僕に悪口を吐いてくる。いわゆるいじめっこ。運動と勉強は何時も一位近く。家はちょっとした金持ち。いじめられっ子気質の僕にとっては苦手なタイプだ。
「いつも通り。君にはかなわないよ。」
「……なんか、調子狂うんだけど。」
そう言うと彼は去って行った。自分なりに精一杯のお世辞を言ったつもりだ。
家に帰り、手帳を見直す。いつも通り、「傍観者」として、キメ細やかに記録されている。そんな時、ふとテレビの下のゲームカセットに目がいった。
「ポケモン不思議のダンジョン」
特に長続きもせずに辞めたゲームだ。最も長続きするゲームなんて無かったが。
そう。この時までは「その程度」にしか記憶しなかった。
それが、僕の運命を惑わすことになるなんて……
『起きろ!起きろ!』
「んあ……?」
『やっと起きたか?このねぼすけ野郎』
ピンク色で丸っこい生き物が僕を見ていた。知らない生き物……嫌、見たことがある。たしかプクリンと言う生き物か?
『主に問う!おぬしは主人公の様に強く輝きたいか?それとも仲間をサポートする魔法使いになりたいか?』
いきなり何聞いてんだコイツ。そう思いながら、僕なりの考えを伝えた。
「どちらでも無いよ。僕は傍観者だからね。」
その時、眩暈がして、僕は意識を手放した。ピンク色の言葉を聞きながら。
『主にピッタリの物をさずけてやろう!ただし……それはお主の弱点にも成りうる。心して守るのじゃぞ!さらばじゃ!』