四品目
夜、私は自分の部屋で利益の計算を行っていた。朝は珈琲の仕入れ、昼は接客、夜はこうして利益の計算をしており、睡眠時間こそは短いものだがそれなりに充実していた。最近の悩み事と言えは……
「又、赤字かぁ……」
街から離れたところに有るから仕方ないっちゃ仕方ないが、これでは従業員に払う給料と仕入れで貯金が消えていく。どうにかならない物か……
そんな時、窓から風が吹いて来た。あれ?窓開けたっけ?
いきなり暴風が吹き私はなんと窓から落ちてしまった。そして、黒い影が私をさらったのだ。
目を開けると、お城の上空だった。飛んでいるのだ。アチャモが。そして、私をだき抱えている黒い影。いよいよなんだか分からなくなってきた。
「貴方は誰なの……?」
私は目の前の人に質問した。黒いマントで身体は隠されており、暗闇のせいで顔は見えない。僅かな月明かりで見えないものかと考えていると……
「俺は、君を幸せにする者だよ。」
そう言うと『彼』は軽やかに口づけをした。
草木も眠る丑三つ時。農民や町民、又は国の兵士はこう語った。
「月明かりの中、二つの影が重なって見えたと。」
これが、彼女の運命の変わり目だった。