二品目
あれから数日後、僕は小さな個室で目が覚めた。この国特産のルーンウッドで作られた木造の家みたいだ。冴えない頭で情報を整理してると、あの時僕を助けてくれた少女がやって来た。
「大丈夫ですか?」
とりあえずは大丈夫。と答えた。すると後ろからもう一匹のポケモンがやって来た。
「たくっ。やっと目を覚ましやがったな。俺様がわざわざ低周波治療をしてやったのに……」
僕を睨みながら文句を吐いているのは毛が赤いメリープ。可愛いポケモンの筈なのにまるでドラゴンタイプやギャラドスに睨まれたかの様な威圧感がある。
「とりあえず自己紹介だね!私はルン!」
「俺はクスノ。宜しくなんてしないからな。」
「僕はサムです。宜しくお願いします。」
クスノ視点
店長がなんか拾ってきやがった。全く……元の場所に戻してもらいたいもんだ。ただでさえ狭いのにな。
「お前、何で雨の中倒れてたんだ?」
俺達は経緯を聞いた。俺はある推測を立てる。
「そいつ、浮気してんじゃね?」
そいつはひどく驚いた顔をして、キッチリ三秒後に目から大量の涙が出てきた。
「そんな……ヒドイです!」
「知るかよ。」
たくっ……泣き虫は嫌いだ。それにもう直ぐ開店時間だ。
「私達、とりあえずお店の準備するから!落ち着いたら降りてきて!」
1階
カランコロン
「チーッス☆」
「また来たの?マート」
「そうそうwww俺ってこの時間帯暇なのwwwとりあえずキャラメルマキアートくれよwww」
笑わないで喋れないのか。このモウカザル。その頭の炎に氷水ぶっ掛けんぞ。
「それより……その雑誌はなんだ?」
「あぁ?これ?新聞だよ。見ろよ、怪盗の事で一面が埋まってるぜーwww」
「怪盗?」
「クスノさんそう言うメルヘンチックなモノ興味ねぇもんなwwwまぁまぁ、俺の話を聞いてみてよwww」
そいつが最初に現れたのは……三ヶ月ぐらい前かな?ある大金持ちの奥様の家に現れたらしいんだよ。怪盗が現れた次の日、どうなっていたと思う?……
「いいところで止めるなよ。」
「おwww興味アリですかwww」
なんと、奥様の夫が殺されたんだ。その家は資産争いが激しいらしくてさ……。元々複雑なんだよなー。元々二人が結婚する前、二人は愛人がいて、子供が1人いた。所が相方が事故でなくなったらしいんだよ。二人の違う点は奥様は大富豪。夫がニート。てとこだな。結婚したらしたらで夫は自分の子供に遺産を渡そうとしてたんだよ。だから夫が死んで二人の子供に平等に遺産をわたしたらしーぜ。ちなみに奥様は今、幸せに暮らしているそうだ。
「ふーん。」
夫が死んで幸せに……か。不思議な話も有るもんだ。
「その後も怪盗は人々の不幸を盗み続けてるらしい。とは言え……殺人罪、不法侵入。罪は重い。そんな怪盗が今夜、この街に現れるらしいぜ。いやー一目見てみたいもんだwww」
「そんなものはない。信じれるものは神だけだ。」
「おっ!シルクじゃーねーかwww相変わらずのポケモン不信&神信仰www 」
「黙れ 」
シルク。決してポケモン不信ではない。ただ、重度の占いマニア……いや、占いクラスタ?……兎に角、占いの魅力にどっぷりハマってしまった可哀想なゲンガーだ。
そこ、ゴーストタイプの癖に神信仰wwwとか言うなよ。