後編
あれからもう3年の月日がたった。
『時がたつのは早いわね…。』
ボソッとつぶやく。
9本の尻尾を揺らしながら私はエーフィを見た。
エーフィはぐったりしていた。
『…ごめんね。』
いつものすました顔で、でも辛そうな感じで言う。
そう、エーフィも寿命なのだ。
分かってる。
あの日のご主人の様に居なくなってしまう。
涙ぐむ私にエーフィが手を伸ばす。
『大丈夫。あなたはもうロコンじゃない。立派なキュウコンよ。それにルナトーンもいるわ。』
『…エーフィ…。』
エーフィはあの時と同じように静かに涙を流して、そして―…
数日後
あれからエーフィは目を覚まさなかった。
何度呼びかけてもいつものように笑ってくれなかった。
『ねえ、ルナトーン…。』
『…。』
『エーフィはご主人のところにいるよね?』
『…。』
『私、エーフィに言えなかったことがあるんだ。ご主人にも。』
『言イタイコトハ空二向カッテ言エ。』
うん。
そして私は空にいるご主人とエーフィに向かって言った。
心からの『ありがとう。』を―…