第2話 研究所にて
ウツギ研究所には五分もたたないうちに着いた。
「すみませーん 」
と、一言いったあと、早速中へ入る。
「やぁ、エイトくん。待っていたよ 」
ニコニコとした笑顔を浮かべながら、ウツギ博士は僕を歓迎してくれた。
ウツギ博士は、ここワカバタウンに研究所を設けているポケモン博士だ。
確か、研究テーマには『ポケモンのタマゴについて 』とかあったっけ?
「お……おはようございます! 」
そう発する声は震えている。緊張して前進ガチガチだよ。
「エイトくん落ち着いて落ち着いて…… 」
ウツギ博士は、僕の目の前に立ち、僕の頭をクシャクャっと撫でた。ちょっとくすぐったい。でも、自然と笑みが浮かんできた。
「博士、ありがとうございます。なんだか緊張も和らぎました 」
「それはよかったよ。さぁ、エイトくん、さっそくこっちへ来てごらん 」
ウツギ博士は、三匹のポケモンのいるスペースへと僕を連れていく。
「エイトくんも今日から旅立つのかぁ。なにかとさみしくなるねぇ 」
そっか。僕は、小さい時から博士にはお世話になってるんだよね。昔からポケモンが大好きだった僕に色んなポケモンを見せてくれたっけ。
そんな僕が旅立つわけだから、博士もやはり寂しいと思うんだろうな。
「エイトくん、ここにいる三匹が君の初めてのパートナーとなるポケモンの候補だよ。名前は―― 」
「大丈夫です、草タイプのチコリータと炎タイプのヒノアラシと水タイプのワニノコ、ですよね? 」
僕は、自信ありげに答える。実は、もうパートナーとするポケモンを決めてきているんだよね。
僕の最初のポケモンは、
ヒノアラシだ!
「ウツギ博士、僕は前々からパートナーとするポケモンを決めていました。ヒノアラシを僕に譲って下さい! 」
「もちろん。今日はそのつもりでここに来たんだろう?そうかぁ、エイトくんはヒノアラシかぁ 」
ウツギ博士は、うれしそうな顔をしながらヒノアラシを抱え、僕にわたす。
わぁ、ヒノアラシってこんなにあったかいんだな。さすが炎タイプ。僕の身体中がポカポカするよ。
「これがヒノアラシのボールだよ。エイトくん、よーくかわいがってあげるんだよ 」
「わかっています!ヒノアラシ、僕はエイト。今日からよろしくね 」
「ヒノヒノヒノー! 」
ヒノアラシは元気よく鳴いて、背中から炎を出す。
「わっ!ヒノアラシ、熱いよっ! 」
ヒノアラシを抱えたままだったため、僕にも炎が当たってしまった。火傷にはなっていないよね?
「はは……二人ともうれしそうにしてるね 」
ウツギ博士は、じゃれあう僕たちの様子をしばらく見ていた。
「あ、そうだ。エイトくん、ちょっと悪いんだけど…… 」
「ウツギ博士、どうかしたんですか? 」
博士の戸惑い気味な声に少し心配になる。
「ついでといったら悪いんだけどさ、君におつかいをたのめないかな?」
「おつかい……ですか? 」
「うん。30番道路に僕の知り合いの『ポケモンじいさん』と呼ばれる人がいるんだ。その人から珍しいタマゴを預かってきてもらいたいんだけど……ダメかな? 」
「いえ、いいですよ。僕がひきうけます! 」
僕は、"珍しいタマゴ"に興味がわいたので、おつかいに行くことを承諾した。
珍しいもなにも、僕はポケモンのタマゴを見たことがないんだよね。
「ありがとう!エイトくん。それじゃあ、頼んだよ 」
「任せてください!すぐに戻ってきますから 」
「ヒノッ! 」
ヒノアラシも僕に続いて返事をした。
さあ、早速30番道路へ向かうか!