第7.5話 ドジっ子少女の初ゲット
私はリナ。ホウエン地方出身の12歳。そして、旅立ちそうそう偶然出会った同い年の男の子――エイトと一緒に旅をしているの。
いきなり一緒に旅をしようなんて言ったから断られちゃうよねって思ってたけど、エイトは快くうなずいてくれた。本当に、感謝感謝だよ。
それで、今は初のポケモンゲットの真っ最中――なんだけど、さっきモンスターボールと間違ってナナシの実を投げちゃったの。私ってば何やってたんだろう。エイトにも白い目で見られた感じがしてちょっとショックだったっていうのが本音だったり。
でも、落ち込んでばかりはいられないよ。今は目の前のことに集中しないと!
そう、現在私の目の前にはオタチがいる。さっきは失敗したけど、今度は絶対大丈夫なんだから!
「ミズゴロウ、お願い! 」
「ガヤーッ!」
私は、パートナーのミズゴロウを繰り出した。この子はヨシノシティに引っ越す前にホウエン地方のオダマキ博士に譲り受けたの。
さあ、バトル開始だよ!
「ミズゴロウ、体当たり! 」
「ガヤーッ! 」
ミズゴロウは、オタチのいる場所を特定し、そこに向かって駆け出した。
「えっ、うそっ!」
オタチは、器用に動いてみせ、ミズゴロウの攻撃を上手くかわしていた。
くうう、一筋縄ではいかないね。
「ならこれでどう?泥かけ! 」
ミズゴロウは前足を使い、泥を相手にかける。
ズシャッ!
オタチは、泥をもろにかぶった。しかし、オタチは、ブルブルと身震いすると、ミズゴロウに向かって突撃してくる。
もう、これじゃあキリがないよ!
私は、じれったく思っていたが、オタチは、ミズゴロウがいる位置からかなりそれた方向へ向かっていき、挙げ句の果てには近くにある木に激突した。
そう、泥かけの追加効果は相手の命中率を一段階下げること!
木にぶつかってしまったからか、オタチはフラフラとしていて足取りが悪い。このチャンスを逃すわけにはいかないよ!
「今だよ!モンスターボール、ゴー! 」
私の投げたモンスターボールは、オタチに当たり、オタチを吸い込んでいく。
モンスターボールのボタンはしばらくの間点滅していたが、やがてそれがおさまった。
もしかしてゲットできちゃったってことだよね?
私は戸惑いながらも、にじみ出る興奮を押さえられずにいた。
「やったぁ――っ! 」
喜びの気持ちを表したくて、私はありったけの声で叫んでいた。
「ミズゴロウ、おつかれさま。ゆっくり休んでね 」
少し時間がたって落ち着いてから、私はミズゴロウをモンスターボールに戻した。そして、もう片方のボールを取り出す。
「オタチ、出てきて! 」
「オターッ! 」
オタチは、元気よく鳴きながら、私に飛びついてきた。うわあ、可愛い……!
「オタチ、私はリナだよ。これから旅をしていくなかであなたの力を借りたいの!これからよろしくね 」
「オターッオターッ! 」
返事を聞いたあとも、私はしばらくオタチを抱きしめていた。
あっいけない!エイトのところに戻らないと!
必要以上に時間を費やしちゃったよ。エイト、怒ってないよね?
「オタチ、私の仲間のところへ連れていくね 」
「オターッ! 」
「それじゃいくよー! 」
私は、オタチを連れて、エイトを探すために走り出した。
こうして、私の初ゲットは大成功に終わったの。一時はどうなるかと思ってたけど、よかったぁー。