意地
……ああ、本当にもうだめかもしれない。あちらでの意識が遠のいてきた。体力が残り少ないからだろうか。
否、少ないなんてものではないな。ひょっとしたら安心してしまったせいだろうな。
否、安心していいんじゃないのかな…………。
少なくとも、いまわかっていることは、私たちの身の保障が不確定になったことであろう。目に見えない
手錠と
足枷をつけられ、愛する者たちにふれる力を奪われ、さらに気力をも
蝕まれていく…………。
あの子は元気にやっていけるのだろうか。
否、そうならないように、こっそりと、ひっそりと、
念力を使って彼のもとへ、私たちの願いを飛ばしたのではないか。気力を失うことと、弱気になることは同義ではないだろう。
私たちは彼を信じることにしたのだ。いまさら不安になってもしかたがない。あの子さえ無事でいてくれたら、私たちは安心していけるのだから!
……いけない! 奴が近づいてくる! 奴にだけはばれないようにしなくては!!