第二章
意地
 ……ああ、本当にもうだめかもしれない。あちらでの意識が遠のいてきた。体力が残り少ないからだろうか。(いや)、少ないなんてものではないな。ひょっとしたら安心してしまったせいだろうな。(いやいや)、安心していいんじゃないのかな…………。

 少なくとも、いまわかっていることは、私たちの身の保障が不確定になったことであろう。目に見えない手錠(てじょう)足枷(あしかせ)をつけられ、愛する者たちにふれる力を奪われ、さらに気力をも(むしば)まれていく…………。

 あの子は元気にやっていけるのだろうか。(いやいやいや)、そうならないように、こっそりと、ひっそりと、念力(ねんりき)を使って彼のもとへ、私たちの願いを飛ばしたのではないか。気力を失うことと、弱気になることは同義ではないだろう。

 私たちは彼を信じることにしたのだ。いまさら不安になってもしかたがない。あの子さえ無事でいてくれたら、私たちは安心していけるのだから!




 ……いけない! 奴が近づいてくる! 奴にだけはばれないようにしなくては!!

野村煌星 ( 2015/02/24(火) 16:09 )